神学の履歴書 初学者のための神学書ガイド の商品レビュー
著者自身がこの書の中で繰り返し述べているように、入門書というよりは著者の神学の学びの履歴を書き著したものというべきもの。カール・バルトが圧倒的な存在感である。バルトと弁証法神学を共に推進しながら、ナチスへの対応を巡ってバルトと道を別にしたゴーガルテン。そしてナチスを逃れて米国亡命...
著者自身がこの書の中で繰り返し述べているように、入門書というよりは著者の神学の学びの履歴を書き著したものというべきもの。カール・バルトが圧倒的な存在感である。バルトと弁証法神学を共に推進しながら、ナチスへの対応を巡ってバルトと道を別にしたゴーガルテン。そしてナチスを逃れて米国亡命し、その地でナチス抵抗を支えたフロマートカは親共主義として戦後白眼視される中で、共産主義に対する姿勢で表面的にはバルトと一致した。バルトの告白教会が早くから無神論者ナチスの危険性を認識し、また戦後は反共に流れる教会の危険性を指摘したがゆえに、教会からの批判を浴びたか、その経緯が良く分かる。西田幾多郎、田辺元らの京都学派の哲学者にも影響を与えたバルトの凄さを改めて知らされる。バルトにとっては信仰について語ることは信仰に基づいた行動、倫理について語ることと同義、神からの呼びかけに対する人間の応答責任について語ることとの言葉はある意味で厳しい。ゴーガルテンに限らずルーテル教会中心の「ドイツ的キリスト者」運動は私自身の拠って立つところにも関係があるだけに、こそばゆい内容だった。 「フロマートカ神学を解く鍵は、民族と福音の理解にある。プロテスタンティズム、特にルター主義はドイツのナショナリズムと深く結びついている。フロマートカが所属しているチェコ兄弟団福音教会は、ルター派と改革派の合同教会である。フロマートカ自身はルター派の出身だ。ルター主義についてフロマートカはこう述べる。『われわれは、ルターの極端な主観主義に、義認と和解の内的体験と内的試練に対するルターの集中、さらにルターが救いの確実性について語る際のほとんど超人的なあつかましさに当惑した。ルターは、恐らくドイツ主観主義の源泉の一人であろう。』」ナチズムの源泉の一つが、ルターの極端な主観主義であることは間違いない」と著者は語る。ルター主義に対する言葉は鋭い。
Posted by
卒論の参考文献。 おもにプロテスタント神学の神学書についての通覧的な一冊。100冊の選書もありがたい。 手もとに置いて参照している本でもある。
Posted by
キリスト教徒として生きるということは神の思し召しに忠実に従うということ。 キリスト教徒は困難の時代状況から逃避するために教会を利用してはいけない。 歴史を神秘家せずに、歴史から学び、歴史と対話することが重要なのである。
Posted by
- 1