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ファンタジウム(8) の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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2016/04/21

良くん見てると、ちょっと嫌な事があっただけで苛々してしまったり人のせいにしたしする自分が情けなくなる。強さは、人を排除したり跳ね除けたりせずに距離が取れて、相手の存在をきちんと見極める事が出来る事を言うんだなぁ。攻撃力、防御力の高さじゃない。この作品を若い時に読んだとしても、きっ...

良くん見てると、ちょっと嫌な事があっただけで苛々してしまったり人のせいにしたしする自分が情けなくなる。強さは、人を排除したり跳ね除けたりせずに距離が取れて、相手の存在をきちんと見極める事が出来る事を言うんだなぁ。攻撃力、防御力の高さじゃない。この作品を若い時に読んだとしても、きっと良くんの様に振る舞える大人になれたとは思えない。ある程度の年齢を重ね、経験値が上がっている筈の今だからこそ、年を食えばそれなりの人間になれる、などと言う事は幻想なのだと知る。逆に魂の在り様はいつでも変えられるのかもしれん。 良くんの障害を知らず、彼がプロのマジシャンとして注目を浴びているのに嫉妬したクラスメイトの五十嵐くんが自分にないものを持っている同級生の弱みを握ろうとし、良くんの書いた文字を手に入れる。それを公開して良くんがバカにされるのを狙ったのが裏目に出る。良くんは自分の障害を発表する記者会見を開く事に同意する。その際に相棒として良くんのマジックの才能を支えていた北原に良くんが言った言葉 「いわばこれは今迄争いをさけてきた俺の戦いの始まりなんだ」 「敵もいなければ味方もいない…あらゆることから強くならなきゃいけない」 「それはたぶん…自分自身のマジックのために」 …あらゆる人が密かに抱えているであろう「自分の事」に対するのエールの言葉だ。(マジック)の部分を自分の問題と置き換えられる…こう言う言葉が聞けるもの、それが漫画と言う文化。難読症と言う字の読み書きが出来ない良くんの口から出た言葉なのだ…北原が(しかし及ばずながら味方はここにいるぜ 良!)と言うモノローグも素晴らしい。敵には気付きやすい、が、味方がには気付きにくい。 今イジメに遭っている人に対して良くんが言う「勇気を持って…自分の命を守ること…また僕と同じく読み書きが苦手な人がいたら…自分を人より劣った存在と思っていても 他人との間にどうしても越えられない壁があっても 生きる事を奪う権利は誰にもないと思います」…広まって欲しい言葉だ。障害や病気に限らず、社畜と化している大人たちにも聞かせたい言葉だよ。 「自分の命を守る事」は自分勝手でも自己中心的でも恥でも何でもない。自分の味方は自分、自分が自分を守ってやらなくてどうする…勇気を貰える言葉だよなぁ。自分を救う事で一人の人間を守っている事になるんだよね。自分の命を生かす事が最低限自分のすべき事かもなぁ。『ファンタジウム』はもっともっと読まれて欲しい。良くんの「負」に対する対処法・向き合い方は生きている上で普通に「参考」になる、自分が良くんと同じ事が出来ないかもしれないとしても、こう言う考え方も出来るんだ、と知るだけでもいいだろうし。

Posted byブクログ

2015/11/20

難読症の長見良少年は奇跡のようなマジックで大人たちを煙に巻く。トム・クルーズが公表したことで難読症を知る人は増えたように思うが、やはり読み書きが出来ないことは大きなハンデでありまた世間もまだ対策が取れていない。 良くんの類い稀な才能と、難読症ゆえの辛さや孤独。次巻で完結のようだ...

難読症の長見良少年は奇跡のようなマジックで大人たちを煙に巻く。トム・クルーズが公表したことで難読症を知る人は増えたように思うが、やはり読み書きが出来ないことは大きなハンデでありまた世間もまだ対策が取れていない。 良くんの類い稀な才能と、難読症ゆえの辛さや孤独。次巻で完結のようだが、もっと良くんを見ていたい。 マジックマニアの主人の蔵書から拝借。

Posted byブクログ

2014/08/23

待ってました! 3年の休載後も、良くん節は変わらない。周囲の変化に流されず、常に自分はどう生きていくのか生きていきたいのか。それを貫いて人を攻撃してしまった挫折感。そんなときにでも自分にはマジックがあるというあらためての実感。人間国宝の先生へのマジックに感涙。良くんにとっては、生...

待ってました! 3年の休載後も、良くん節は変わらない。周囲の変化に流されず、常に自分はどう生きていくのか生きていきたいのか。それを貫いて人を攻撃してしまった挫折感。そんなときにでも自分にはマジックがあるというあらためての実感。人間国宝の先生へのマジックに感涙。良くんにとっては、生きること=マジックだけれど、お客さんに生への希望さえ与えられるまでになったんだなー。 今後は、成長して日本を離れた良くんの過去を遡る新展開になるらしい。これほど清濁併せてナイーヴな作品を生み出すことは、作者にさまざまな負担がかかるのかもしれない。でもいつまでも続編を待っています。

Posted byブクログ