新約聖書 の商品レビュー

フランシスコ会聖書研究所(訳者)

2013/04/06

フランシスコ会の訳注による新約聖書。読みやすく明快な構成にまとまっている。訳語は平易で、注はそのページ内にあるので参照しやすい。解説や地図もついている。本文は大きめの活字、全ての漢字にルビ有り。イエスは本書ではイエズスと表わされている。

新約聖書は、四福音書、使徒行録、パウロ書簡、全キリスト者への手紙、ヨハネの黙示録によって構成される。

マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネによる福音書はそれぞれ、イエズスによってもたらされた全人類に対する救いの喜ばしい知らせ、すなわち福音を記す。キリストの生涯と言行をそれぞれの表現で伝えている。最初に書かれたのはマルコで、マタイとルカはその影響を受けている。ヨハネは最後に書かれたもので他の三書と趣が異なる。「初めにみ言葉があった」という有名な書き出しはヨハネ。

使徒行録はルカによって記され、福音書の続編にあたる。イエズス復活後の使徒たちの活躍を描く。前半はペテロと初期教会の発展、後半は異邦人への宣教の主役となったパウロの回心と伝道旅行を述べる。

パウロ書簡は、以下の書簡からなる。
ローマ人への手紙、コリント人への手紙(第1、2)、ガラテヤ人への手紙、エフェソ人への手紙、フィリピ人への手紙、コロサイ人への手紙、テサロニケ人への手紙(第1、2)、テモテへの手紙(第1、2)、テトスへの手紙、フィレモンへの手紙、ヘブライ人への手紙。すべてがパウロの手になる訳ではないらしいが、パウロの神学をよく伝えている。

全キリスト教徒への手紙は、ヤコブの手紙、ペトロの手紙(第1、2)、ヨハネの手紙(第1、2、3)、ユダの手紙からなる。

ヨハネの黙示録はやがて来たる終末の様子を、ヨハネの視た幻に託して描き出す。新約聖書中唯一の預言書であり、象徴的描写が多様される。迫害を受ける教徒を勇気づけるために書かれたらしい。

2009/11/06

所有分はフランシスコ会聖書研究所訳注・中央出版社刊のもの。
1980年11月1日初版発行。
1991年1月10日改訂19刷発行。