風景とローカル・ガバナンス の商品レビュー
「風景」とは何か。そう聞かれると存外難しい。景観保護と言えば、ピンクビラ禁止、建築制限といった「規制」が中心になる。一方、風景には規制は馴染まない。目障りなものを取り除くという発想では、良い景観は得られても、風景は別問題であろう。同じ景観でも、風景は異なる。「景観」と異なり、「人...
「風景」とは何か。そう聞かれると存外難しい。景観保護と言えば、ピンクビラ禁止、建築制限といった「規制」が中心になる。一方、風景には規制は馴染まない。目障りなものを取り除くという発想では、良い景観は得られても、風景は別問題であろう。同じ景観でも、風景は異なる。「景観」と異なり、「人の思いが投影される」というのが一つの答えであるように思われる。 そう考えると、「風景を良くできるか」という問題に突き当たる。個人が投影する思いに介入できるのか。ただの押し付けではないか。都市化によって、価値観、生活リズム、職業、近くに住んでいる人でもバラバラである。風景が違って見えるのは最早不可避であろう。その中で官が景観保護を打ち出しても、それは個々の風景とは無関係な、統計的な、無味乾燥な、平均値になりかねない。 そこに、ローカルガバナンスという、「官による統治」ではなく「住民による協治」の考え方が生まれる。そして、この住民主体の考え方は、単に決定の主体として関わるだけではない。従来官に任せがちであった、風景に積極的関与(川の掃除、公園のルール作成)し、自ら利用者になることでもある。その中で価値観が擦り合わせるのではないか。本書の期待はそこにある。 風景には人々の思いが宿る。そこから、ローカルガバナンスとしての街づくりができるかもしれない。そんな期待を抱いた。
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景観工学と風景の関係?風景は、そこに住む人がつくる、すなわちローカル・ガバナンスが風景を産み出す。具体な手立ては都市計画?工学や法律でなく、そこに住む人の生業や暮らしぶりによるのではないだろうか。どうやって風景を活用するのか残していくのか、手立ては各々の地域で異なるようだ。
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