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おだまり、ローズ の商品レビュー

4.3

41件のお客様レビュー

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2015/12/18

35年間、アスター子爵の夫人に仕えたメイドの手記。 面白すぎてビックリするぐらい。 時代色たっぷりで、貴重な証言ともなっています。 「ダウントン・アビー」がお好きなら、楽しめますよ。 ローズは、石工の父と洗濯メイドの母との間に生まれた。 旅行をしたいという夢があり、それを聞いた...

35年間、アスター子爵の夫人に仕えたメイドの手記。 面白すぎてビックリするぐらい。 時代色たっぷりで、貴重な証言ともなっています。 「ダウントン・アビー」がお好きなら、楽しめますよ。 ローズは、石工の父と洗濯メイドの母との間に生まれた。 旅行をしたいという夢があり、それを聞いた母がお屋敷の奥様付きのメイドになるように勧め、そのために普通の庶民の女の子よりも長く教育を受けさせる。 当時の召使の仕事は完全な分業で、屋敷には多くの人々がまるでホテルの従業員のように働いていた。 奥様付きになるには縫い物や服の手入れから、フランス語や上品な立ち居振る舞いなども必要だったのですね。 ローズは働き者で、縫い物の腕も確か。 女主人のレディ・アスターは社交界の花形で、なんとイギリス初の女性議員という有名人。 アメリカ生まれで才気煥発、気まぐれで次々にメイドを首にしていました。かなりやりにくい女主人だったのです。 最初は振り回されてローズも一度はやめそうになりますが、黙って言いなりになっているのが悪かったと気づきます。 そこから、女主人との(いちおうの礼儀は守りつつも)丁々発止のやり取りをする関係に。 気の強いレディ・アスターは、じつは言い返してくるぐらいの相手のほうが好きだったんですね。 夫の子爵も実はアメリカ生まれだけどイギリスで教育を受けた穏やかで完璧なイギリス紳士。その旦那さまが隣室の壁際で二人のやり取りを面白がって聞いていたという。 好敵手のようだった二人は互いに理解しあい、家族のような関係に。 仕事に誇りを持つローズはかっこいい。 最後はほろっとさせられます。 このレディ・アスターが毎週末に盛大なパーティを開いていたのはクリヴデンという屋敷。 屋敷を取り仕切る執事も、すばらしい執事として有名だったという。 クリヴデンって、ひそかにナチス・ドイツに共感している人物が集まっているのではないかと新聞に書きたてられたこともある歴史上有名な建物。実際どうだったのか証明はされていないようで濡れ衣説もあり、アメリカ生まれで歯に衣着せぬレディ・アスターへの反感からのような気もしますね。 そこの高名な執事って、つまり「日の名残り」のモデルって事じゃないですか! これにはびっくりでした。 お屋敷の階級性などは伝統が大事にされ、おそらくずいぶん昔からあまり変わっていなかったと思われます。 20世紀前半の話というのに驚きますね。 戦勝国イギリスでも、戦後にもろもろの事情や法律が変わっていくという時代の流れはあったのですね。 今でも王制はあり、貴族もいるけれど‥ こんな昔かたぎのメイドさんはなかなか、いないんでしょうね☆

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2015/09/27

イギリスの階級社会の一端を味わえる。大富豪アスター家に対する知識があればもっと理解できるのではないか。テレビ「ダウントン・アビー」をみているとイメージがわきやすい。

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2015/09/19

子爵夫人付きのメイドのローズさんのクレバーでプロフェッショナルな活躍ぶりと、私にはまったく遠い遠いヨーロッパのお金持ちの世界に、ひたすら感心いたしました!

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2015/08/21

旅行がしたい、とお付きメイドになったローズの回想録。目的意識があって、そのための準備も怠りない姿は、その後の、気まぐれで行動力ある強烈な個性のレディ・アスターとの丁々発止のやり取りにつながっている。仕事へのプライドが小気味好い。それはともに働いていた執事や従僕らにも見えて、そうい...

旅行がしたい、とお付きメイドになったローズの回想録。目的意識があって、そのための準備も怠りない姿は、その後の、気まぐれで行動力ある強烈な個性のレディ・アスターとの丁々発止のやり取りにつながっている。仕事へのプライドが小気味好い。それはともに働いていた執事や従僕らにも見えて、そういった使用人に支えられて貴族の屋敷は回っていたことがよく分かる。 それにしても、仕事も社交もあり、旅行をして、屋敷をいくつも持ち、それぞれにいる使用人を使う貴族の姿は、目を見張らされる。

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2015/08/18

20世紀前半のイギリス上流社会。 子どもたちに飲ませる牛乳のために、夏の旅行には乳牛まで貨車に乗せて連れて行くという生活。 外国ということもあって、もう、想像を絶する世界。 お屋敷勤めの人たちにも、なんとまあ、たくさんの職種というか、職掌があったことか。 手作業での洗濯、銀器の...

20世紀前半のイギリス上流社会。 子どもたちに飲ませる牛乳のために、夏の旅行には乳牛まで貨車に乗せて連れて行くという生活。 外国ということもあって、もう、想像を絶する世界。 お屋敷勤めの人たちにも、なんとまあ、たくさんの職種というか、職掌があったことか。 手作業での洗濯、銀器の手入れ、庭木の手入れなど、なんと手のかかる生活であることか。 レディ・アスターという人物も、アメリカ生まれで、イギリスで初めて女性の下院議員になった人でもあるとのこと。 しかし、ここで描かれたご主人は、気まぐれで、情熱的で、忘れっぽく、明るい、なんともいろいろな面を持った人物だった。 三十五年仕えるということは、こんな風に長所も欠点もまるごと理解するということなのだな、と思った。 アスター夫人との距離感も絶妙。 使用人としてギリギリのラインに踏みとどまりつつも、女主人に口答えをするのは、ほほえましい。 でも、主人夫妻が帰依する「クリスチャン・サイエンス」に対し、通常の医療をもっと受け入れていればもっとよい結果が得られたはず、と批判もする。 こういうところは、イギリス的…なのかな?

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2015/07/25
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※このレビューにはネタバレを含みます

レディ・アスターお付きメイドの回想録 文章がさっぱりしていて回想されている場面に スッと入り込むことができた 曲者のレディ・アスター、ザ・紳士のアスター卿 執事のリー氏、皆さん個性的で魅力的な人物ばかり 現実にあったことと思えないほどドラマチックで面白かったです

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2015/05/31

実在した侍女が記した、イギリス貴族のお屋敷での日々。「ダウントン・アビー」が好きな人なら必ず楽しめる本。 当初、子爵夫人と侍女が事件を解決するミステリだと思い込んで読み始めたのだが、実際の写真が出てくるに至って初めて実話だと知り、しかもミステリでもなかったのだと気付いた次第。 ...

実在した侍女が記した、イギリス貴族のお屋敷での日々。「ダウントン・アビー」が好きな人なら必ず楽しめる本。 当初、子爵夫人と侍女が事件を解決するミステリだと思い込んで読み始めたのだが、実際の写真が出てくるに至って初めて実話だと知り、しかもミステリでもなかったのだと気付いた次第。 驚いたのは、屋敷での仕事は完全分業ということ。例えばキッチン担当の者が努力して侍女に成り上がる事などありえないのだった。侍女は最初から侍女として採用される。採用されるにはそれなりのスキル(語学や縫い物など)が必要。現代の日本で商社に採用されるにはそれなりの大学を出ている事が必要なのと同じ。 著者のローズは当初、子爵夫人ではなく、その娘のメイドとして仕えていた。子爵夫人は活動的で社会活動に積極的に参加し、女性政治家にまでなった人だが、実に性格が悪い。いじわるでわがままで、メイドは次々辞めていく。ローズはそんな夫人に能力を買われメイドになることを命じられるが拒否。しかしまんまと罠に嵌まり、夫人の側に付く羽目になる。 タイトルの「おだまり、ローズ」からも分かるように、ローズはこれまでのメイドと違って泣き寝入りなどせず、平気で夫人に言い返す。夫人は、言い負かされて悔しい時は「おだまり、ローズ」、説得された場合は「分かったわ、ローズ」などと返事をする。夫人はローズとの喧嘩を楽しみ、ローズも夫人が息を引き取るその瞬間まで仕えた。

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2015/05/24

クリブデンの所有者だった人の使用人だった人なんだ! 知っている地名、人名、事件など、歴史上の出来事を実際に見聞きした人の目線から書かれているのがおもしろかった。 雇い主と対等に、でも振り回されながら、信頼を得て過ごしていった過程が読みやすくかかれている。 この人だったから、ここま...

クリブデンの所有者だった人の使用人だった人なんだ! 知っている地名、人名、事件など、歴史上の出来事を実際に見聞きした人の目線から書かれているのがおもしろかった。 雇い主と対等に、でも振り回されながら、信頼を得て過ごしていった過程が読みやすくかかれている。 この人だったから、ここまで長く仕えられたんだろうなぁ。

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2015/03/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『メイド』という職業、階級なども含め誤解していたことが多々あったという気にさせられました。 メイドモノの小説を読んだ直後だったけれど(だからこそこの本に手を伸ばしてしまったわけで)20世紀初頭のイギリス貴族の奥様付きメイドの明と暗、表と裏、虚像と真実を読むことができ大変楽しいひとときでした。 それにしても、メイドイコール使用人ではなくかなりハイソな人品骨柄。 格差社会云々はもうとっくに慣れっこだけど、こんなお屋敷もあるんだとびっくり。同時にこんな貴婦人もいたんだぁと。ノンフィクションだから恐れ入る。

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2015/02/27

メイドや執事、乳母といった「お仕えする人たち」はフィクションではしばしば登場するけれど、実際にその立場にいた人が手記を書くのは珍しい。普通ならまずご縁のないハイ・ソサエティの生活実態を垣間見させてくれるんだもの、そりゃもう、面白いに決まっている。 しかも著者がメイドとして長年仕...

メイドや執事、乳母といった「お仕えする人たち」はフィクションではしばしば登場するけれど、実際にその立場にいた人が手記を書くのは珍しい。普通ならまずご縁のないハイ・ソサエティの生活実態を垣間見させてくれるんだもの、そりゃもう、面白いに決まっている。 しかも著者がメイドとして長年仕えたのは、イギリス女性初の国会議員となった子爵夫人で、第二次大戦前の社交界の花形的存在だった。この上流社会の晩餐会やらレセプションやらの様子が、いやはや「華麗」としか言いようがない。女王をはじめとした王族に始まり、チャーチルやらガンジーやらが次々登場し、千人以上招待した舞踏会があったり、もう大変。その「舞踏室」ってそこらの体育館より大きいよね?どんな邸宅なんだ。 この本がユニークなのは、その子爵夫人と著者が、普通想像するような「立派な奥様と忠実なメイド」というありきたりなパターンから大きく外れていることだ。奥様も奥様ならメイドもメイド。丁々発止のやりとりがおかしい。この著者、奥様だけでなく、その家族や友人知人に対しても、かなり厳しいことをさらっと書いていて(基本的には愛情を持ってるけど)、そのストレートな筆致が他にない味わいを生んでいると思う。 ヨーロッパ、特にイギリスのものを読むといつも思うのが、どうしても私たちには「階級社会」に生きる人たちの心性というのはわからないんじゃないかなあということだ。これを読んで、その思いはさらに強くなった。著者の誇りは「自分の職分を立派に果たす」ことにあり、上流の方々にはまたそれにふさわしい義務がある、という強い信念があることが見てとれる。これはいたってシンプルなようだけど、考え出すと奥深い。 ともあれ、これが読み物として非常に面白いのは間違いない。あとがきによると、「おだまり、ローズ」という邦題は冗談から生まれたそうだが、なんとも絶妙。お堅い白水社もやるじゃないですか。

Posted byブクログ