僕だけに甘い継母 の商品レビュー
悶々とした切なさを湛えた継母への想い
タイトルから激甘の明るいテイストを予想したが、最近の作風をどことなく引きずる悶々とした切なさを湛えた内容だった。憧憬にも似た愛情を秘めているだけに継母へ強くあたってしまう主人公は大学受験を控えた浪人生の19歳。対する継母とは10年前から母子の関係であり、24歳の瑞々しさから34歳...
タイトルから激甘の明るいテイストを予想したが、最近の作風をどことなく引きずる悶々とした切なさを湛えた内容だった。憧憬にも似た愛情を秘めているだけに継母へ強くあたってしまう主人公は大学受験を控えた浪人生の19歳。対する継母とは10年前から母子の関係であり、24歳の瑞々しさから34歳の熟れた魅力までを主人公が彼女に恋慕することの理由付けにしているのはなかなか秀逸。これに普段から天然気味で無邪気に甲斐甲斐しく主人公の世話をする溺愛っぷりが加わるのだから、継母は相当に強力なヒロインと言わねばならない。 それだけに継母の心が傷つくのは読み手としても不憫に感じてしまうのだが、意地悪(?)な作者は継母にドラマチックな悲劇を用意している。継母の実妹(主人公から見たら叔母)と継母を巡る確執のような関係は作品全体にも影を落とし、主人公にも無軌道な情動を誘発させる。しかし、恋愛沙汰はかくも複雑で難しいといった現実味をも感じさせる展開とも受け取れ、これによって皮肉にも最後は収まるところに収まる、その必然的な出来事だったと捉えたい。 その前段階としては、友人の母や予備校の英語講師といったサブヒロイン達による、主人公の想いを汲み取った慰めと癒しの情交が描かれている。サブ、準、本命といった3層のヒロイン構成が見られることも本作のドラマ性を底上げしているのと同時に、それぞれの立場で主人公への心の込もった情交描写があるのは奥深いと感じた。それだけに、最後で可愛い可愛いと愛でながらも母の矜恃は残しているかの継母は、情交時にもう少し弾けてもいいかな?という気もした。
DSK
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