文豪たちが書いた 泣ける名作短編集 の商品レビュー
彩図社文芸部編纂『文豪たちが書いた 泣ける名作短編集』彩図社。 10人の文豪による哀切に満ちた傑作短編小説10編を収録したアンソロジー。 これまでに彩図社の『文豪たちが書いた』シリーズは何作か読んでいるが、いずれも面白い。最近はこうした文豪たちの作品に触れる機会がめっきり減っ...
彩図社文芸部編纂『文豪たちが書いた 泣ける名作短編集』彩図社。 10人の文豪による哀切に満ちた傑作短編小説10編を収録したアンソロジー。 これまでに彩図社の『文豪たちが書いた』シリーズは何作か読んでいるが、いずれも面白い。最近はこうした文豪たちの作品に触れる機会がめっきり減ってしまったので、尚更のことなのだろう。 太宰治『眉山』。ノスタルジーを感じながら、どういう結末が待ち受けるのかとヒヤヒヤしながら読んだ。太宰治の短編小説はかなり読んでいるつもりだが、この作品は未読なのか、失念したのか定かではない。 戦後、復興した新宿の街に佇む若松屋には主人公をはじめとする文化人が夜な夜な集う。その店にはトシちゃんという働き者の女中が居り、主人公はその風貌から眉山と名付け、馬鹿にしていた。トシちゃんは知識も無いのに文化人たちの話に加わろうとするのだ。 新美南吉『鍛冶屋の子』。働けど働けどわが生活楽にならず、と詠んだのは石川啄木だったか。今で言うヤング・ケアラーの暮らしぶりが何とも悲しい。 早くに母親を亡くし、鍛冶屋の飲んだくれの父親と白痴の兄を持つ新次は小学校を卒業すると父親の仕事を手伝い、家事の一切をこなしていた。 有島武郎『火事とポチ』。飼犬や飼猫は時に思わぬ助けになることがある。 夜中に泥棒が家に火を放ち、飼犬のポチが騒いだお陰で母屋を焼失したものの、九死に一生を得た一家。 横光利一『春は馬車に乗って』。家族が少しずつ弱り、死に向かう姿を見るのは悲しいものがある。人は永遠には生きられないことは知っていても、永遠であって欲しいと僅かな希望を胸に秘める。 胸を患い寝たきりの妻の看病を続ける夫。時に健康を羨み、時に死を恐れ錯乱する妻に確実に近付く死の影。 芥川龍之介『蜜柑』。この短編の造りはきっと芥川龍之介の作戦なのだろう。最初は主人公が汽車の中に居合わせた十三四歳の小娘の風貌を酷い言い回しでとことん貶すのだが、その結末に手のひらを返すが如く、朗らかな心持ちになるのだ。 横須賀付近を走る汽車がまさに隧道に入ろうとする中、十三四歳の小娘が必死に窓を開けようとする。主人公は眉をひそめながらその様子を見ている。やがて窓が開くと娘は懐に入れていた四五個の蜜柑を窓からばら撒く。 織田作之助『旅への誘い』。姉の妹を思う気持ちとその姉の気持ちを知る妹の清廉潔白な姿。 早くに両親を失った姉妹。姉の喜美子は妹の道子を専門学校に通わせるために洋裁学校で教師となり、見を粉にして働く。しかし、無理が祟ったのか妹の道子が卒業すると肋膜炎を患い、帰らぬ人となる。 久生十蘭『葡萄蔓の束』。北海道の春の風景の描写が素晴らしい。不器用で実直なことは美徳なはずなのに人生に於いては損をしてばかりだ。 トラピスト修道院で修道士を目指すベルナアルさんは生来の不器用さによりなかなか修道士に成れずにいた。 宮沢賢治『よだかの星』。宮沢賢治の有名な童話。自分自身ではどうにもならないことを他人から批判される苦しさ。今の世の苛めなど、もっと凄まじい。 醜さとその名前から皆に嫌われるよだかはひたすら星を目指して飛翔する。 森鴎外『高瀬舟』。あってはならない冤罪事件なのだが、何時の時代も不条理に満ちた判断は存在する。 徳川時代に京都の罪人が遠島のために大阪へと連れ行かれるために乗せられる高瀬舟。ある時、弟を殺めたという喜助という男が遠島となり、高瀬舟に乗るが、これまでの罪人とは様子が違っていた。 菊池寛『恩讐の彼方に』。このアンソロジーの中で一番泣いた。傑作である。大筋や結末は解っているのだが、泣かずには読めない。 主人を殺し、主人の妾のお弓と出奔した市九郎は何時の間にか悪事を生業にしていた。ある日、旅の若い夫婦に手をかけた市九郎は罪の意識に苛まれ、お弓を置いて出家する。了海を名乗る市九郎はこれまでの罪滅ぼしとばかり徳を積もうとする。そして、近くに毎年多くの旅人が生命を落とすという難所があることを知った市九郎はたった独りで隧道を作らんとノミを振るう。それから21年…… 本体価格590円(古本0円) ★★★★★
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泣けるってほどではなかったけど、哀愁漂う10編でした。 文豪ってなんとなく読みにくいイメージがあったんだけど、短編集ってのもあってか思いの外、読みやすかったです。 個人的には「恩讐の彼方に」が心に残った。
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文豪の短編を味わえる。 「泣ける名作短編集」「目頭がじんと熱くなる」とあるが、そこまで感情移入できなかった。けれども、各作品、情景が目の前に鮮やかに浮かんできます。
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4時に起床して早朝ゴルフ。ハーフラウンドしてアプローチ練習して10時前に帰宅。暖かく天気は最高に良かったが、花粉がスゴすぎて目と鼻が崩壊した。 今日は外にいるとヤバい思い自宅に篭り、目薬つけて鼻炎薬飲んで、「文豪たちが書いた泣ける名作短編集」を読んだ。 芥川龍之介「蜜柑」、宮...
4時に起床して早朝ゴルフ。ハーフラウンドしてアプローチ練習して10時前に帰宅。暖かく天気は最高に良かったが、花粉がスゴすぎて目と鼻が崩壊した。 今日は外にいるとヤバい思い自宅に篭り、目薬つけて鼻炎薬飲んで、「文豪たちが書いた泣ける名作短編集」を読んだ。 芥川龍之介「蜜柑」、宮沢賢治「よだかの星」、森鴎外「高瀬舟」、菊池寛「恩讐の彼方に」などなど、あまりにも有名過ぎる名作の数々。 どれも若い頃読んだはずなのに超感動。文体も物語も、ため息がでるくらい美しく素晴らしい。引き込まれて時を忘れ、花粉症も吹っ飛んだ。文豪ってホント凄い。 小説は子供の頃から好きで学生時代はいつも何かしら読んでいたが、社会人になって自由な時間が大幅に減り、ストレスも重なってお酒で気分転換する日々が続いた。 小説に向き合う時間がどんどん少なくなった。忙しくてとか言い訳したが、小説を読もうとする心の余裕も気力も無かったんだと思う。 何十年も時間を費やして、最近やっと小説の世界に戻ってくることができた。小説が好きという心の中の灯火は、完全には消えていなかった様だ。 そうなると読みたい小説は国内外問わず沢山ある。もちろん小説のみならず、哲学書や歴史、経済本など読みたい本は数え切れない。 今、読み始めてるのは三島由紀夫とドフトエフスキー。 「カラマーゾフの兄弟」は2度頓挫して3度目挑戦中。NHKテキスト「100分de名著」も購入して対策は万全だ。
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太宰治「眉山」 新美南吉「鍛冶屋の子」 有島武郎「火事とポチ」 横光利一「春は馬車に乗って」 芥川龍之介「蜜柑」 織田作之助「旅への誘い」 久生十蘭「葡萄蔓の束」 宮沢賢治「よだかの星」 森鴎外「高瀬舟」 菊池寛「恩讐の彼方に」。 南吉作品が貧困層を描いた作品でうわぁ…となった次に主人公の生活にブルジョワ感漂う有島作品で違う意味でうわぁ…となった。
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短編とは……となるくらい厚みに満ちた作品ばかり。芥川の蜜柑がとても好きでした。 描写が丁寧であればいいわけでもない、心情描写ばかりでは周りが見えない、そんなジレンマを全て解決していて気持ち良く読み進められる作品たちでした。文豪ってすごいなあ。
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収録されている短編の中では特に「眉山」「春は馬車に乗って」「蜜柑」が好きでした。「高瀬舟」「よだかの星」のような国語の教科書に載っている超有名作も収録されています。
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内容紹介 弟を殺した男、死にゆく妻と向き合う夫、疲弊していく家族…10人の文豪達が綴る哀切に満ちた短編作品を中心に収録したアンソロジーです。 内容(「BOOK」データベースより) 10人の文豪が描く哀切に満ちたストーリーを集めました。哀しくも切ない小作品集。
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現代小説ばかり読んでいたので文章の書き方も新鮮。 短編集なので比較的読みやすいかと思っていたが、人の死ばかりがでてくるので暗い気持ちになる。 もっと色んな時代やジャンルのものを読みたいと思った。
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文豪たちの泣ける短編集。 泣きはしないけど、切ない話は多かった。 やっぱり1番は太宰。 太宰の『眉山』は、笑いあり、驚きあり、悲しみあり、なんだか人情落語のようでもあってイイ。
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