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下剋上受験 の商品レビュー

4.5

28件のお客様レビュー

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2021/08/08

試論、2冊同時感想。 米国の繁栄から取り残された、工場撤退後の産業地域、通称ラストベルト(錆びたベルト地帯)。ここの白人労働者層の不満の鬱積が、トランプ旋風の推進力だったことは大統領選の報道で知られているとおり。 その実情を余すことなく描いているという「ヒルビリーエレジー」を...

試論、2冊同時感想。 米国の繁栄から取り残された、工場撤退後の産業地域、通称ラストベルト(錆びたベルト地帯)。ここの白人労働者層の不満の鬱積が、トランプ旋風の推進力だったことは大統領選の報道で知られているとおり。 その実情を余すことなく描いているという「ヒルビリーエレジー」を読んでいて、日本における参考文献は「下剋上受験」だと思った。こちらは、祖父の代から中卒の著者が、娘だけは違う人生を、と最難関中学受験にパパ塾で挑む記録文学(私としては躊躇いなく文学という言葉を使いたい)。 この2冊のテーマは、ある意味において強くシンクロしている。 テーマとはと言われると難しいが、自称「下層階級」に可能な「努力」とはなにか、といっていいかもしれない。 そして、著者の才能もかぶるのだろうか、エリート社会を垣間見た自称「下層階級」が放つ乾いたユーモアのテイストまで一緒なのだ(テーブルマナーネタ、そして受験や就職の面接での痛恨の失敗などなど)。 念のため、日本での出版年次は下剋上のほうが3年ほど早い。 「いまの状態は、彼自身の行動の結果である。生活を向上させたいのなら、よい選択をするしかない。だが、よい選択をするためには、自分自身に厳しい批判の目を向けざるを得ない環境に身を置く必要がある」(ヒルビリー、p304) 「私は今まで努力することを避けて生きてきた。その生き方を反省している。努力しようとしたことはあるがいつも挫折するのだ。結果に届くまでに諦めてしまうのだ。その生き方の中でなんとなく掴んだことがある。確かではないが、なんとなく思うことがあるのだ。『ブルドーザーのようにがんがん努力することは傍目には立派に見え誰もそれを馬鹿にすることはできないが、なぜか届くことなく終わり、その努力だけを褒められ、結果を褒められるには至らない』という理不尽な結末をなんとなく意識している」(下剋上、p152) もちろん、この2冊の人たちのように家族が支えてくれる幸運に皆が恵まれているわけではない。チャレンジしたくてもその機会さえない人もいる。 しかし、社会が悪い、と善意の補助することでより事態が悪化する場合もありうることも、この、2冊はまた正確に言い当てている。 難関中の受験を終えた父娘の会話には、何度読み返しても涙腺を決壊させられてしまう。土木工事の経験からだろう、このお父さんは「流路を変える」という言葉を何度も使う。娘の人生だけでも変える、そう、過酸化水素水を酸素と水素に変えるけれど自分自身は何も変わらないあの二酸化炭素マンガンのように、私は娘にとっての触媒になるんだ、と。 ヒルビリーはより深刻で、幼少期の厳しい家庭環境がいかにトラウマとして残るか、という点に光があてられている。著者自身、薬物依存の母親に悩まされ続けてきた。 著者が理想の伴侶を得て少しずつトラウマを乗り越え、今かつての自分のような境遇にある子どもたちに想いを馳せる最終章には胸が熱くなる。 社会の分断を「貧しい善玉 対 悪いエリート」の対立構図で語ることを、一国の政党ですら恥じない今の世の中にあって、まだ突破口は残されていることを人々に伝え、必要な支援を惜しまない、そんな社会について考えさせられる2冊であった。

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2021/05/01

中卒のお父さんが、娘を難関中学に受験させるという、なんとも破天荒な話。 それも塾頼みではなく、親塾と称してお父さん本人が教える役となるため、猛勉強をするのだから凄い。 中卒とは思えないほどのウィットに富んだ文章力で、するする読める。 これがこの1年と5ヶ月の成果なのか。 途中...

中卒のお父さんが、娘を難関中学に受験させるという、なんとも破天荒な話。 それも塾頼みではなく、親塾と称してお父さん本人が教える役となるため、猛勉強をするのだから凄い。 中卒とは思えないほどのウィットに富んだ文章力で、するする読める。 これがこの1年と5ヶ月の成果なのか。 途中何度か涙ぐみながら読みました。 頭も体も限界まで使い果たして、父と娘で一つの目標に向けて努力をし続ける。 これ以上できないと言うところまで頑張り続ける。 そうした姿そのものも感動するんですけど、一緒に走り続けたことで、受験中の娘の心中を慮るお父さんの気持ちや、勉強の面白さ、勉強の重要性を知るお父さんが、失われた過去、戻れない昔を思い涙する気持ちに胸が痛みました。 私自身も、過去に頑張れなかった人間。 今は学ぶことの面白さを知ったけれど、あのときは頭の中がむちゃくちゃで、勉強なんて出来なかった。 すごく、共感しながら読んでいました。 努力や根性なんて古いと言われるのかもしれないけれど、身と心を削ってでしか得られないものがあって、自然と涙腺にくる。 勉強することの本質や、お父さんの独自の戦略も面白く読めた。 物事の本質をついた分析で、ハッとさせられるフレーズも多い。 子供をやる気にさせる親の言葉は、子育てをする人にも響くと思います。 とにかく完走したことが本当にすごい。 お父さんも娘も。 

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2017/06/27

受験というワードはどうしても気になってしまう。 受験生を持つ(持っていた)親ってそんなもの。 お父さんは中卒だったけど、凄く研究熱心だし根気もあるし、頑張ってたら絶対大学には行ってたと思う。 こんなに子供と一緒になって勉強しようという親はなかなかいない。 お子さんも凄い。途中...

受験というワードはどうしても気になってしまう。 受験生を持つ(持っていた)親ってそんなもの。 お父さんは中卒だったけど、凄く研究熱心だし根気もあるし、頑張ってたら絶対大学には行ってたと思う。 こんなに子供と一緒になって勉強しようという親はなかなかいない。 お子さんも凄い。途中で投げ出さず、お父さんと一緒に頑張って。小学生でその意気込みは、これからもずっと人生頑張っていけるはず。 レビュー書くのに、作者を見たら、参考書も出してたとは。

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2017/05/14

桜井真一氏は本質を見抜く目を持っている。 コツコツ努力しているのに届かない子と楽々受験を突破していく子の違い。超一流の壁は「アウトプットを前提としたインプット」ができているかどうかだという桜井氏の結論は正にその通りだと思う。 また、受験で親が子にしてあげられるのは、理想を掲げ...

桜井真一氏は本質を見抜く目を持っている。 コツコツ努力しているのに届かない子と楽々受験を突破していく子の違い。超一流の壁は「アウトプットを前提としたインプット」ができているかどうかだという桜井氏の結論は正にその通りだと思う。 また、受験で親が子にしてあげられるのは、理想を掲げて目標を持たせることと勉強の楽しさを教えることに尽きるのだろう。桜井氏は、正にそれをやっていた。

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2017/03/15

最近ドラマもやってるけど気になってた原作も読みました。 だんだん子供に勉強教えたりすることも増えたので心得として?読んでよかったかな。 この作者、中卒とかって自虐してるけど色々発想がすごいなー。情熱も。 元々は賢いんだろうな、と感じます。 奥さんの事バカにしてる感じが嫌だけど。。...

最近ドラマもやってるけど気になってた原作も読みました。 だんだん子供に勉強教えたりすることも増えたので心得として?読んでよかったかな。 この作者、中卒とかって自虐してるけど色々発想がすごいなー。情熱も。 元々は賢いんだろうな、と感じます。 奥さんの事バカにしてる感じが嫌だけど。。。

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2016/07/09

この本はただの中学受験ノウハウ本を超えて、かなりの感動ドキュメンタリー。文章もうまい! 2人のママ友に勧めてみたが、どちらも感動して泣いたと言ってた。泣きはしなくても、ここまでの親子の頑張りには、素直に頭が下がる。ただ、マネはできないわ。。。

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2016/03/24

くどい。中卒だ、中卒だ、だから、何なんだ。と思うくらい中卒だから中学受験は・・・・とくる。 しかし、努力する、最後までやってみる。素敵なことだなって思った。中学受験いいことかもしれないなんて思った。

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2016/01/31

途中から著者は中学受験に精通した塾講師でフィクションでないかと思ってしまった。そんなことが頭を掠めながらも面白かった。 中学受験は受けたことないだけに、受験について未知である著者のリアクションは疾走感を持って読み手も体感できる。しかし著者は頭が良すぎる。算数の計算のコツに気づいて...

途中から著者は中学受験に精通した塾講師でフィクションでないかと思ってしまった。そんなことが頭を掠めながらも面白かった。 中学受験は受けたことないだけに、受験について未知である著者のリアクションは疾走感を持って読み手も体感できる。しかし著者は頭が良すぎる。算数の計算のコツに気づいてトイレで隠れて涙するシーンが好き。

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2016/01/22

このお父さんは本気で、死ぬ気で、必死で、娘の事を考えたんだなと伝わってくる迫力の文章。塾・受験・学校の勉強というものを本当によく考察・洞察しています。 ビジネス書並みの考察もあり、”ミスをしないよう注意する”は対策になっていない、ミスをしない方法を考えるのではなく、”ミスを防ぐ...

このお父さんは本気で、死ぬ気で、必死で、娘の事を考えたんだなと伝わってくる迫力の文章。塾・受験・学校の勉強というものを本当によく考察・洞察しています。 ビジネス書並みの考察もあり、”ミスをしないよう注意する”は対策になっていない、ミスをしない方法を考えるのではなく、”ミスを防ぐ方法を考える”のが本当の知恵であるとか。 がんばりを評価してもらおうというのは間違っていて、結果にこだわる。結果にこだわるからそのプロセスが評価されるのだとか。 う~~ん、うならされた。 その他 ・会話のキャッチボールではなく、すぐドッジボールになってしまう奥様との会話 ・生活のために労働する、それだけのための労働に生きがいがあるはずない、というご本人の深い後悔

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2015/10/17

中学受験のことを調べていて出合った本。 タイトルがどぎついので始めはまったく興味は無かったが、著者のブログを読むにつれ、娘さんへの思いと、これから中学受験を迎える親たちへの励ましが感じられ、読んでみることにした。 内容は娘と共に最難関中学を受験するまでのことが書かれているものだが...

中学受験のことを調べていて出合った本。 タイトルがどぎついので始めはまったく興味は無かったが、著者のブログを読むにつれ、娘さんへの思いと、これから中学受験を迎える親たちへの励ましが感じられ、読んでみることにした。 内容は娘と共に最難関中学を受験するまでのことが書かれているものだが、娘さんへの愛と、それがなす、著者の努力、工夫、成長の物語であり、涙しながら読んだ。

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