正義への責任 の商品レビュー
この世界に生きる私たちは皆、複雑に絡み合う行為によって、構造的不正義、すなわち貧困や抑圧、疎外、差別などを作り出し維持する一因を無意識に担っている。私たちはその事実を自覚し責任を負うべきだという筆者の主張に納得した。それが正義への責任を果たすということに繋がるのだということを理解...
この世界に生きる私たちは皆、複雑に絡み合う行為によって、構造的不正義、すなわち貧困や抑圧、疎外、差別などを作り出し維持する一因を無意識に担っている。私たちはその事実を自覚し責任を負うべきだという筆者の主張に納得した。それが正義への責任を果たすということに繋がるのだということを理解した。
Posted by
本書は、アメリカの政治哲学者アイリス・ヤングの遺稿にして初めて翻訳されたもの。おもに貧困や格差問題に関して「自己責任論」が跋扈するようになった現代において、ヤングは、明らかに過失責任を課せる者がいない構造的不平等に対して、人びとを向き合わせるためにいかなる動機づけがなし得るかを検...
本書は、アメリカの政治哲学者アイリス・ヤングの遺稿にして初めて翻訳されたもの。おもに貧困や格差問題に関して「自己責任論」が跋扈するようになった現代において、ヤングは、明らかに過失責任を課せる者がいない構造的不平等に対して、人びとを向き合わせるためにいかなる動機づけがなし得るかを検討している。本書で提起されているのが、「社会的つながりモデル」である。構造という社会的プロセスは、意図していなくても誰もが行為を通じて生産・再生産している。そして、そうした社会的プロセスが、ある特定の立場や状況に置かれた人びとに対して、とくに不利になるように作用してきた/しているのならば、すべての人に公正なものになるよう、私たちは構造的不平等を是正し、監視する「責任」があるのだと論じている。
Posted by
- 1