トポロジカル絶縁体入門 の商品レビュー
“近年、物性物理学の分野では「量子物質」の研究が盛んになっている。量子物質とは、量子力学的に興味深い物性を示す物質の総称であり、超伝導体、量子スピン系、マルチフェロイック物質などさまざまなものがあるが、その中でも異彩を放っているのがトポロジカル絶縁体(topological in...
“近年、物性物理学の分野では「量子物質」の研究が盛んになっている。量子物質とは、量子力学的に興味深い物性を示す物質の総称であり、超伝導体、量子スピン系、マルチフェロイック物質などさまざまなものがあるが、その中でも異彩を放っているのがトポロジカル絶縁体(topological insulator)である。トポロジカル絶縁体の定義を一言で言えば、その電子状態を記述する波動関数がヒルベルト空間の中で非自明なトポロジーを持つ絶縁体、ということになる。(p.1)” トポロジカル絶縁体・超伝導体の入門書。夏休みに5章まで読んだが、しばらく続きを進める時間がとれなさそうなので一旦中断。 この分野を中心に扱った日本語の教科書は代表的なものが2冊あるが、本書は実験家の方が書かれたもの(もう一冊は野村健太郎『トポロジカル絶縁体・超伝導体』)。そういうこともあってか、具体的な実験の手法や最近の進展がかなり手厚く解説されている印象を受けた。もちろん理論面に関しても、ほとんど行間なく、丁寧に式変形・議論を展開してくれていて非常に分かりやすい。前半数章を、本書で必要となる量子力学や固体物理の復習に割いているのもありがたい。自分も途中までしか読めていなくてなんだが、トポロジカル物質に興味がある人には強くオススメする。 1 トポロジカル絶縁体とは 2 量子力学のおさらい 3 固体物理学のおさらい 4 フェルミ面の観測法 5 トポロジカル絶縁体の基礎理論 6 トポロジカル絶縁体物質 7 トポロジカル絶縁体の物性 8 トポロジカル超伝導体 9 応用への展望
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