1,800円以上の注文で送料無料

俺の喉は一声千両 の商品レビュー

0

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2015/09/12

この一週間、わたしの友だちは雲右衛門だけだった。読みたいけど、終わってしまうから頁を繰るのが辛かった。雲右衛門は享年44歳で逝き、頁も尽き、わたしはひとりぼっちになってしまった。 落語や講談から「浪花節とは一緒に出られない」と断られた時代から、浪曲の地位を高め、改良・研究を重ね、...

この一週間、わたしの友だちは雲右衛門だけだった。読みたいけど、終わってしまうから頁を繰るのが辛かった。雲右衛門は享年44歳で逝き、頁も尽き、わたしはひとりぼっちになってしまった。 落語や講談から「浪花節とは一緒に出られない」と断られた時代から、浪曲の地位を高め、改良・研究を重ね、ついには御前公演、歌舞伎座にまで立ち、”日本一と言えば雲右衛門”とまで言われた桃中軒雲衛門。こんなにも大衆の心をつかみ、まばたきを忘れるほどに夢中にさせた人がいたなんて。今では落語も講談も浪曲も三大話芸と並び称される。なにも不思議に思わないけど、わずか100年前はまったく違った状況だったのか。その出自が上の反骨、衝動、熱気を知ることができてよかった。 でも、きらびやかな世界にのぼりつめながらも、晩年の雲右衛門はなんだかさみしそうだったな。雲右衛門はしんどいなぁと思いつつ雲右衛門をやめられなかったのかな…もう本名で呼んだり本音で意見してくれる人なんてほとんど誰もいなかったんだろうな。

Posted byブクログ