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カフカらしくないカフカ の商品レビュー

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2020/08/05

この本ではカフカはまず商人の家庭に生まれ、実際に商売をしていたという事実や、お金に非常に細かかったという点が公開された『ミレナへの手紙』では省略されているといった事実、父との確執が直接的なものではなく間接的なものであった点について詳細に触れた上で、「金銭に疎い、世俗に縁のない、純...

この本ではカフカはまず商人の家庭に生まれ、実際に商売をしていたという事実や、お金に非常に細かかったという点が公開された『ミレナへの手紙』では省略されているといった事実、父との確執が直接的なものではなく間接的なものであった点について詳細に触れた上で、「金銭に疎い、世俗に縁のない、純粋で高潔な人間としてのカフカ像」が、編集者であったブロートやカフカの周囲の人物、文学者の評論によって作られていったものであることを喝破しています。商売を営む家庭に生まれたこともさることながら、本当は欲深く、商売っ気たっぷりの、金に細かい、嘘つきの、面倒臭い作家であった、という本著の投げかけるカフカ像は、カフカを神格化せず、ありのままのカフカを提示してくれるので、とても面白いです。ミラン・クンデラやエリアス・カネッティのような高名な文学者や編集者マックス・ブロートが作り上げた偽のカフカ像に、我々は踊らされていたのだよ……という、ギャグ漫画日和のクマ吉風の世界観が見えてくる本の構成になっています。良書と言えましょう。

Posted byブクログ

2014/10/02

柄谷行人さんの書評から読んでみました。 カフカさんの痩せて神経質そうな写真からくるイメージに今まで誰も疑問を感じていないという。もしかしたらそういった疑問は最初からあったのかもしれないけれど敢えて触れようとしなかった。文学という世界の欺瞞と言えるのかもしれない。カフカはそういっ...

柄谷行人さんの書評から読んでみました。 カフカさんの痩せて神経質そうな写真からくるイメージに今まで誰も疑問を感じていないという。もしかしたらそういった疑問は最初からあったのかもしれないけれど敢えて触れようとしなかった。文学という世界の欺瞞と言えるのかもしれない。カフカはそういった欺瞞にこそもっとも敏感だったのだという。そういった疑問と欺瞞に焦点を当てていてかなりおもしろかった。カフカさんの本を読んだのはずいぶん昔でタイトルなど変わっているのだなとも思った。 面白い。カフカを読んだのはずいぶん昔だけれど読み返してみたくもなった。

Posted byブクログ