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出雲の阿国 改版(下) の商品レビュー

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2024/07/01

上下で1000ページに及ぶ大作でしたが、一気に読み駆け抜けました。阿国の壮絶な人生に、読み終わった後もしばらく呆然としてしまいました。 都で名が売れた阿国は、事実上の夫と妹のように可愛がっていたお菊の2人に裏切られ、更に炎のように恋に燃えた山三とのつらい別れも経験します。踊りの才...

上下で1000ページに及ぶ大作でしたが、一気に読み駆け抜けました。阿国の壮絶な人生に、読み終わった後もしばらく呆然としてしまいました。 都で名が売れた阿国は、事実上の夫と妹のように可愛がっていたお菊の2人に裏切られ、更に炎のように恋に燃えた山三とのつらい別れも経験します。踊りの才能に溢れ天下一の歌舞伎者といわれた阿国を前にすると、天下一になれなかった自分が惨めに思われて阿国の前から去ることを決意する山三や結城秀康などの切なさも胸に沁みます。 終盤では、阿国は出雲に戻りますが、自分の出自であるたたらの山に入り、出雲の里に洪水を起こす元凶である砂止めを願いでて、育った里への恩返しをします。「たたら」と聞いて思い出す方もいるかもしれませんが、もののけ姫に出て来た製鉄の「たたら」の舞台です。足踏み式のふいごを足で踏んで炎を起こし製鉄作業をしていた山奥のたたら者たちの生活も垣間見ることができます。 壮大な物語をぜひ読んで頂きたいです。

Posted byブクログ

2024/04/13

歌舞伎の創始者・出雲阿国が出雲から都に出てきて踊り、歌舞伎役者になり、出雲で死ぬまでの話。 豊臣秀吉・徳川家康の時代の話で、当時の時代の流れ、街の様子、公家や庶民の様子が分かるのも面白い。 有吉佐和子は心情も描けるし、世相も描けるしすごい人。 勉強家なんだろうな・・・。 なん...

歌舞伎の創始者・出雲阿国が出雲から都に出てきて踊り、歌舞伎役者になり、出雲で死ぬまでの話。 豊臣秀吉・徳川家康の時代の話で、当時の時代の流れ、街の様子、公家や庶民の様子が分かるのも面白い。 有吉佐和子は心情も描けるし、世相も描けるしすごい人。 勉強家なんだろうな・・・。 なんといっても主人公の阿国が魅力的。踊りに生涯をかけ、自分の道を極めるたくましさがある。 その道の途中で悩みながら誰の指図も受けない代わりに、誰も恨むことない、かっこいい生き方をしている。 阿国の周りの人たちも細かく描かれているが、私が一番好きなのはお松。 自分が愛し夫婦になった傳助は、阿国を愛し自分を愛すことはなかった。 自分を愛すことはないと知りつつ、最後まで愛さざるえない不器用さに引きつけられる。 そして、傳助亡き後も、傳助が生きていたならば阿国と共にいるだろうと自分も阿国と共にいる祖母譲りの強さが辛い・・・。 どちらかというと夫の心を奪っていた阿国を憎んでいるだろうに。 一筋縄ではいかない感情・・・! 最後は阿国一座の者が一人、二人と抜けていき、お松と2人きりになってしまう。 歌舞伎の創始者として華々しい最後だと想像していたので悲しかった。 が、阿国当人はそれもしょうがないと執着せずにいたような気がする。 長編で読むのが大変だったけれど、それだけの価値のある作品でした。

Posted byブクログ

2023/02/25

「天下一」と呼ばれ自身の踊りに誇りを持ち、苦しい時も悲しい時も踊りで昇華して生きたお国。見事な生き方。

Posted byブクログ

2017/04/02

三九郎は、彼の権力志向に従おうとしないお国を捨て、故郷の出雲からお国を追ってやってきた若いお菊にみずからの将来を託そうとします。一方のお国は、名護屋山三の庇護を受けますが、彼もお国の芸への情熱を受け入れるほどの器ではなく、お国の孤独はここでも満たされることはありません。やがて彼女...

三九郎は、彼の権力志向に従おうとしないお国を捨て、故郷の出雲からお国を追ってやってきた若いお菊にみずからの将来を託そうとします。一方のお国は、名護屋山三の庇護を受けますが、彼もお国の芸への情熱を受け入れるほどの器ではなく、お国の孤独はここでも満たされることはありません。やがて彼女は、男の装いで人びとの前で踊りを披露して喝采を浴びることになります。 一方、お国を追って出雲から京都へやっていた九蔵は、「若上臈」という遊女屋で頭角を現わし、お国に対して復讐することに暗い情熱を注ぎます。彼が始めた遊女歌舞伎は多くの客を集めますが、お国はみずからの芸に対する誇りを失わず、江戸に活躍の場を求めようとします。しかし、長い間彼女を支えていた傳介を労咳で失い、お国はますます孤独を深めていくことになります。 お国の身の内におこりのように燃えたぎる情熱に突き動かされて、物語が終局へ向けて一気に進んでいく流れにスリリングなおもしろさを感じました。

Posted byブクログ

2016/09/19

天下一の阿国歌舞伎。 豊臣〜徳川の時代を駆け抜けたお国の生涯と、呆気ない最期。 豪気に本能のまま駆け抜けたなお国と、対照的な山三や一座の面々、縋りながら生きるそれぞれの人間模様。 戦乱から泰平に移り変わる時代の摩擦熱を感じた。

Posted byブクログ