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司馬遼太郎全集(42) の商品レビュー

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2011/09/04

江戸後期(1800年頃)、淡路島出身の商人・高田屋嘉兵衛の一代記。前半は、商人として成功するため日本の航路をかけめぐる嘉兵衛のサクセスストーリー。蝦夷地をフロンティアととらえ、ひたすら北との貿易を追求する。 蝦夷地(函館)で店を構えた後の後半は、自分の意志とはかかわらずに日本対ロ...

江戸後期(1800年頃)、淡路島出身の商人・高田屋嘉兵衛の一代記。前半は、商人として成功するため日本の航路をかけめぐる嘉兵衛のサクセスストーリー。蝦夷地をフロンティアととらえ、ひたすら北との貿易を追求する。 蝦夷地(函館)で店を構えた後の後半は、自分の意志とはかかわらずに日本対ロシアの国際問題に足をつっこんでしまう嘉兵衛の運命をえがく。特に、ロシア側に拿捕された後のロシアの船長・リコルドとの固い信頼に基づいた友情が秀逸。 作品を通して、商品経済が勃興し血液のように循環するようになった、当時の日本の様子が良く分かる。また、筆者は船に対する造詣が(も)深く、船乗りになって共に旅をしているような気分になってくる。 戦国物・幕末物のように、日本国内だけの物語にはとどまらず日本・ロシアの国際関係にも触れる。当時の世界観が広がり新鮮だった。

Posted byブクログ