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向こう側の遊園 の商品レビュー

3.7

14件のお客様レビュー

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2021/06/24

ハルチカよりは『トワイライト博物館』寄りなお話。書きたいんだって芯がしっかり通っているところと、ちゃんと意外性を狙ったストーリー展開の工夫が、良い。ただ少し、全体としてどこを目指してるのかがわからず、ボヤけてしまった感はあったかもしれない。一話完結の短編にされた方がスッキリはした...

ハルチカよりは『トワイライト博物館』寄りなお話。書きたいんだって芯がしっかり通っているところと、ちゃんと意外性を狙ったストーリー展開の工夫が、良い。ただ少し、全体としてどこを目指してるのかがわからず、ボヤけてしまった感はあったかもしれない。一話完結の短編にされた方がスッキリはしたかも。

Posted byブクログ

2021/05/24

昔、向ヶ丘遊園にある大学に通っている人とお付き合いしていたので、思い出してなんだか懐かしかった。心臓破りの坂とか、本当に懐かしい。 廃園になった遊園地の跡地。 そこは様々な花が咲き乱れる動物のための霊園だという噂がある。そしてそこには霊園を管理する若者がいて、彼に自分が一番大切...

昔、向ヶ丘遊園にある大学に通っている人とお付き合いしていたので、思い出してなんだか懐かしかった。心臓破りの坂とか、本当に懐かしい。 廃園になった遊園地の跡地。 そこは様々な花が咲き乱れる動物のための霊園だという噂がある。そしてそこには霊園を管理する若者がいて、彼に自分が一番大切にしているものを差し出せば、それと引き換えに、この霊園にペットを埋葬してくれるのだという。 わたしは去年から猫を飼い始めて、ペットという言葉を口にするたびに少し違和感を感じるようになった。餌という言い方にも。一緒に暮らしていると、ペットという領域を超えて家族という意識が強くなるのかなと思う。 さて、この本は5つの章から成る。 ひとつ目のゴールデンレトリバーの話はなかなか面白かったので期待して読み進めたが、ビッグフットの章でボルテージが急激に下がってしまった。有名な某小説を彷彿とさせるこの話は、なんていうか、心に訴えかけてくるものがない。言いたいことは分かるけど、登場人物の温度を感じることができなかった。 墓守をしている謎の青年がなぜここにたどり着いたのか、青年に嘘をついたものが酷い目に合うという噂は本当なのか、謎の回収ができないのもちょっと物足りなくて、中途半場な感じが否めない。 でも文章は美しく、特に夜の描写はとても印象的だったと思う。

Posted byブクログ

2019/04/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

廃墟になった遊園地にある、花が咲き乱れる庭園。そこにあるのは秘密の動物霊園。 相変わらずはなしの内容は重めだけど読みやすい。 墓守の青年は、月の光の下でだけ人間と意思疏通ができる。 森野くんが謎を解く、というか、呪いを解くというか暴かれたくないものを暴くというか。 どれも切ないはなし。 似鳥さんの本と平行して読んだので、動物との関係を考えてぐぬぬとなる。 デカルトが唱えた「動物機械論」。動物行動学では、動物は感情がないよくできた機械だという態度を今も取っているのだとか。うーん、あんまり人と同じに考えるのもどうかと思うけど、これはこれで極端だなー ビッグフットのはなし。最後に出した答えが辛い。知能を持ったインコのはなしも。 最後に森野くん本人のはなしが知りたかったなあ。

Posted byブクログ

2018/02/14

そこは、ひとが愛を葬る墓地だった。 花々が咲き乱れる廃園となった遊園地。そこには、謎めいた青年が守る秘密の動物霊園があるという。「自分が一番大切にしているものを差し出せば、ペットを葬ってくれる」との噂を聞いて訪れる人々。せめて最期の言葉を交わせたら……。ひとと動物との切ない愛を紡...

そこは、ひとが愛を葬る墓地だった。 花々が咲き乱れる廃園となった遊園地。そこには、謎めいた青年が守る秘密の動物霊園があるという。「自分が一番大切にしているものを差し出せば、ペットを葬ってくれる」との噂を聞いて訪れる人々。せめて最期の言葉を交わせたら……。ひとと動物との切ない愛を紡いだミステリー。 ライカは僕が付けた名前だ。 最初の出会いは去年の五月で、 駅前の雑居ビルの隙間にラブラドールのライカは ひっそりとうずくまっていた。 P267より

Posted byブクログ

2017/08/02

わけありの動物たちを埋葬してくれる動物霊園の話。 夜寝る前に1話づつ読んでいました。 冷静に読み返せば首を傾げたくなる場面もあるし疑問も残るのだけれど、登場人物(動物)たちの痛みも舞台である廃墟の遊園地の描写も綺麗で、切ないながらに気分が落ち着く一冊でした。

Posted byブクログ

2017/01/12

花々が咲き乱れる廃園となった遊園地。そこには、謎めいた青年が守る秘密の動物霊園があるという。「自分が一番大切にしているものを差し出せば、ペットを葬ってくれる」との噂を聞いて訪れる人人。せめて最期の言葉を交わせたら…。ひとと動物との切ない愛を紡いだミステリー。

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2016/06/11

《人・動物・植物。心・倫理・科学。謎。》 しんと静まった冬の月夜、花が咲き乱れる不思議な動物霊園。 人と動物の間に在るのは、人と人とのそれと何が違うというのだろうか。 せめて、彼らの最期の言葉を聞けたなら、そう思わずにはいられない。 「カマラとアマラの丘」の信念とプライドが好...

《人・動物・植物。心・倫理・科学。謎。》 しんと静まった冬の月夜、花が咲き乱れる不思議な動物霊園。 人と動物の間に在るのは、人と人とのそれと何が違うというのだろうか。 せめて、彼らの最期の言葉を聞けたなら、そう思わずにはいられない。 「カマラとアマラの丘」の信念とプライドが好き。 「ブクウスとツォワノクの丘」の狂気を孕んだ恐怖も好き。 「シレネッタの丘」の、純粋な愛も好き。 「ヴァルキューリの丘」の覚悟と決意も好き。 「星々の審判」の、これからも続きそうで、終わりが近づく寂しさも好き。

Posted byブクログ

2016/06/02

閉鎖された遊園地、そこには四季の花が咲き乱れる秘密の動物霊園があるという。 各話ごと埋葬される動物の語りで始まるが、墓守の青年と訪問者たちとのやりとりが会話方式で行われ、読者を意外な真実へと導いていく。 此岸と彼岸の狭間。切ない愛を書きつつ、動物の素直さに対して人間の醜さも強く書...

閉鎖された遊園地、そこには四季の花が咲き乱れる秘密の動物霊園があるという。 各話ごと埋葬される動物の語りで始まるが、墓守の青年と訪問者たちとのやりとりが会話方式で行われ、読者を意外な真実へと導いていく。 此岸と彼岸の狭間。切ない愛を書きつつ、動物の素直さに対して人間の醜さも強く書かれていて、その落差をうまくまとめてあるのだろうけれど、私には捩じれた世界に放り込まれたような感覚で少しぐらぐらする読後感であった。

Posted byブクログ

2015/09/25

あらすじをサッと読んだ印象で、 これはもう絶対ガッツリ泣かせてくる系に違いない! と身構えてずっと読むタイミングをなくしていたのだけど やっと読了 そうしたら、いい意味で予想とまったく違う話で 裏切られた感 でも確かに裏のあらすじにミステリとちゃんと書いている 人間と動物の、...

あらすじをサッと読んだ印象で、 これはもう絶対ガッツリ泣かせてくる系に違いない! と身構えてずっと読むタイミングをなくしていたのだけど やっと読了 そうしたら、いい意味で予想とまったく違う話で 裏切られた感 でも確かに裏のあらすじにミステリとちゃんと書いている 人間と動物の、複雑でそれゆえに愛しい繋がり、絡まり 真実はどこにあり、 動物たちと、そして向き合う人間とが互いに何を感じたのか ときに言葉として、ときに雰囲気として 体感できる 良い作品だったと思う 冒頭からインパクトのある展開だったけど クマネズミの話が堪えた 犬好きとしては一話と最終話がもう極まる

Posted byブクログ

2014/08/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

廃園となった遊園地、真夜中の訪問者たちは それぞれに理由を抱えた動物たちを弔うためにやって来る。 痛みも強い、哀しみが伝わってくる物語ばかりだけれど を逸らせない。

Posted byブクログ