岩波 新・哲学講義(6) の商品レビュー
川本隆史の誌上講義では、「共生」というテーマに関連するさまざまな思想家たちの考察が紹介されています。竹内敏晴、花崎皋平、石原吉郎らの仕事がとりあげられるほか、ギリガンのケアの倫理学や、教育、臨床、エコロジーに関する諸問題が扱われています。ややとりとめのない印象もありますが、「共生...
川本隆史の誌上講義では、「共生」というテーマに関連するさまざまな思想家たちの考察が紹介されています。竹内敏晴、花崎皋平、石原吉郎らの仕事がとりあげられるほか、ギリガンのケアの倫理学や、教育、臨床、エコロジーに関する諸問題が扱われています。ややとりとめのない印象もありますが、「共生」というテーマを中心に、さまざまな議論が緩やかにつながっていくことを実感することができたように思います。 四つのセミナーは、三品(金井)淑子、鄭暎惠、金子郁容、中村尚司が担当しています。三品(金井)は女性の視点から、鄭は定住外国人の視点から、日本社会の問題を論じています。金子は、経済学の合理的人間観の狭さを批判しつつヴォランティアに見られるような「弱さ」のネットワークの可能性について考察をおこない、中村は「共生」というテーマの広がりを活かして生態学から地域主権までの諸問題を一つのまなざしのもとに捉えようとしています。
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