日本の色の十二カ月 の商品レビュー
著者は江戸時代から続く染屋の五代目。日本の四季の中での「染」を日本の染色の歴史、化学染料を使わない染色の方法等を著者の日々の生活、感慨を交えながら紹介している。しかしそれは専門書のような堅苦しいものではなく、エッセイともいえるもので素人の私にも共感できるものだ。「染」の歴史を語る...
著者は江戸時代から続く染屋の五代目。日本の四季の中での「染」を日本の染色の歴史、化学染料を使わない染色の方法等を著者の日々の生活、感慨を交えながら紹介している。しかしそれは専門書のような堅苦しいものではなく、エッセイともいえるもので素人の私にも共感できるものだ。「染」の歴史を語るとき、それは日本の文化の一端とも言えるものである。関わり深い場所、社寺も多く紹介されており、それは畿内に多く、私自身の今生活している場所にも近いところも多く、なんと私は恵まれた場所にいるのだろうと感じた。 明治になり、海外との交流を通じて、化学染料が使われ始めた。そして日本英語が日常的に日本語の中に入り出して、色の表現方法も変わり、またその日本らしい繊細な色自体も失われている。著者は自然の植物染料でなんとか昔の色を復活するための努力もしているのだ。日本中の様々な祭事に必要な道具、衣装等で著者の染めた布、紙が使われていることを知って驚かされた。 なんとか繊細な日本の色の文化を継承してほしいと願う。
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