記憶力の正体 の商品レビュー
<目次> 第1章 「忘れる」とはどういうことか? 第2章 「忘れられない」の正体 第3章 「思い出せない」理由 第4章 記憶は意識を超えていく 第5章 忘れないと覚えられない 第6章 記憶を強くするヒント 第7章 忘却を使いこなす <内容> 記憶を中心に大変丁寧に...
<目次> 第1章 「忘れる」とはどういうことか? 第2章 「忘れられない」の正体 第3章 「思い出せない」理由 第4章 記憶は意識を超えていく 第5章 忘れないと覚えられない 第6章 記憶を強くするヒント 第7章 忘却を使いこなす <内容> 記憶を中心に大変丁寧にわかりやすくまとめた本。最初に興味を持っていた「暗記」部分については、今までの既書の情報を越えるものはないが、「記憶」全般についての現在の研究成果について、実例を交えながらわかりやすい記述であった。 なので、「暗記法」の本に書いてあったことが効力のあるものであったと証明できた、と思うことがたびたびあった。たとえば、インプットよりもアウトプットを意識せよ(「覚える」よりも「思い出す」方が記憶の定着がいい)とか、五感を大事に、多くのヒントと共に覚えよう(記憶には多くの手がかりが必要である)とか…。
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※このレビューにはネタバレを含みます
心理学の領域で、記憶に関して研究してきた著者が、記憶に関してまとめた1冊です。記憶の変容性と忘却がテーマとなっています。記憶は医学的な分野からと心理学的な見方で異なっている感じがしました。逆に言えば、視点が大きく異なるため、非常に参考になる部分が大きいのではないかと思います。つらい記憶を乗り越えるために、記憶を語らせ、不快な出来事を語る立ち位置を変えさせ、その記憶の意味合いや感情を書き換えるというナラティブ・セラピーなど初めて記憶内容も多かったです。記憶に関する本によくある内容ですが、記憶には詰め込むよりも想起を繰り返す方が重要であることなど、日常にも役立つ情報が多いと思います。
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これまで「記憶」というものを、自分で好きなように増強することも、また恣意的に消し去ることもできないものと考えていたが、そのような固定観念に緩やかな一撃を加えてくれる本。題名からは記憶術が連想され、そのような点に触れた箇所もないわけではないが、本書ではむしろ「忘却」のポジティヴな側...
これまで「記憶」というものを、自分で好きなように増強することも、また恣意的に消し去ることもできないものと考えていたが、そのような固定観念に緩やかな一撃を加えてくれる本。題名からは記憶術が連想され、そのような点に触れた箇所もないわけではないが、本書ではむしろ「忘却」のポジティヴな側面にスポットライトが当てられている。 興味深かったのは終章、ネガティヴな記憶の意図的な忘却方法について。記憶とそこから形づくられる「物語」=人生を固定的なものと捉える限りでは我々にトラウマから逃れる術はないが、これらの記憶を新たな意味づけ(語り口)の元で想起することにより、「物語」をそれまでとは違った視点から書き換えることができるとする。つまり筆者は「忘却」を記憶そのものの抹消ではなく、記憶に纏わるネガティヴな感情のリライトと捉えているのだ。人間は常に可変的な、未来に向かって開かれたものだとする筆者の見方には共感を覚えた。 全般を通じて、辛い記憶を持つ人々への柔らかな視線が感じられる。語り口も優しく読み易い。
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