フェルメールの帽子 の商品レビュー
フェルメールが生きた17世紀オランダは1602年に設立された東インド会社の繁栄によって黄金時代を謳歌していました。 その莫大な財とグローバルな市場があったからこそフェルメールの絵はフェルメールの絵たりえたのです。 そしてフェルメールの絵に出てくる数々の「もの」はまさしく中国や...
フェルメールが生きた17世紀オランダは1602年に設立された東インド会社の繁栄によって黄金時代を謳歌していました。 その莫大な財とグローバルな市場があったからこそフェルメールの絵はフェルメールの絵たりえたのです。 そしてフェルメールの絵に出てくる数々の「もの」はまさしく中国やアジアからやって来たものです。これらの「もの」に注目することで17世紀のグローバルな世界を概観することができる。 それがこの本の大まかな流れになります。
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カナダ中国史研究家による17世紀の世界経済史。タイトルはフェルメールだが、フェルメールに描かれた事物を元に、当時の経済流通のダイナミズムを各種の史料の引用や史実から描き上げる。 デルフトから北米大陸を越える旅、ビーバーの帽子、中国陶器、地理学と地図制作、タバコ(阿片も含む)の蔓延...
カナダ中国史研究家による17世紀の世界経済史。タイトルはフェルメールだが、フェルメールに描かれた事物を元に、当時の経済流通のダイナミズムを各種の史料の引用や史実から描き上げる。 デルフトから北米大陸を越える旅、ビーバーの帽子、中国陶器、地理学と地図制作、タバコ(阿片も含む)の蔓延、南米から世界を回り中国に流れる銀など、中国史の専門家だけあって、中国やフィリピン、日本、朝鮮を含む言及と当時の人々への想像力は見事。
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161001 中央図書館 フェルメールの絵に登場する小物や風景から、17世紀中頃に世界からヨーロッパへ流れ込み始めた情報と産品について思いを馳せ、グロバリデーションを考察する手がかりとする。著者はカナダのブリティッシュコロンビアの中国史の教授。 『デルフトの眺望』には、東インド会...
161001 中央図書館 フェルメールの絵に登場する小物や風景から、17世紀中頃に世界からヨーロッパへ流れ込み始めた情報と産品について思いを馳せ、グロバリデーションを考察する手がかりとする。著者はカナダのブリティッシュコロンビアの中国史の教授。 『デルフトの眺望』には、東インド会社が描かれていたり、『兵士と笑う女』に登場する帽子はカナダのビーバーの毛皮でできていたり、『窓辺で手紙を読む女』には中国製陶磁器が描かれている。そして喫煙の習慣が新世界から全世界に拡がり・・。
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フェルメールの作品に現れる品々が、なぜそこにそうしてあるのか?という理由を当時の世界情勢から読み解く。フェルメールが創作に勤しんだオランダ・デルフトという町は東インド会社などを通じて世界とつながっており、絵画の中にも世界の様子が垣間見えるのである。フェルメール作品の特徴である青色...
フェルメールの作品に現れる品々が、なぜそこにそうしてあるのか?という理由を当時の世界情勢から読み解く。フェルメールが創作に勤しんだオランダ・デルフトという町は東インド会社などを通じて世界とつながっており、絵画の中にも世界の様子が垣間見えるのである。フェルメール作品の特徴である青色、ウルトラマリンに関する逸話も盛り込んでほしかったところである。
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カナダ人の中国史研究者がフェルメールを論ずるというだけでもその意外性に驚くのだが、その絵画に描かれた帽子や皿、天秤などを糸口として、オランダのデルフト市の背後に控える17世紀のグローバル経済を活き活きと蘇らせるのだから、何とも刺激的で、スケールの大きな歴史書である。 それにし...
カナダ人の中国史研究者がフェルメールを論ずるというだけでもその意外性に驚くのだが、その絵画に描かれた帽子や皿、天秤などを糸口として、オランダのデルフト市の背後に控える17世紀のグローバル経済を活き活きと蘇らせるのだから、何とも刺激的で、スケールの大きな歴史書である。 それにしても、大航海時代にスペインに流れ込んだ大量の銀の最終的な行き先が中国で、17世紀には中国は<銀の墓場>となったという指摘はじつに鮮やかで、ただただ脱帽!
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デルフト眺望、帽子、皿(陶器)、地図、煙草、銀。フェルメールの絵画から展開する世界史の広さと深さに驚かされる。絵画は取っ掛かりなので、純粋に美術鑑賞したい人は肩透かしなのかもしれないが、自分としては好み。情報量が膨大で図書館の貸出期間ではとても把握できない。解説にある通り、手塚治...
デルフト眺望、帽子、皿(陶器)、地図、煙草、銀。フェルメールの絵画から展開する世界史の広さと深さに驚かされる。絵画は取っ掛かりなので、純粋に美術鑑賞したい人は肩透かしなのかもしれないが、自分としては好み。情報量が膨大で図書館の貸出期間ではとても把握できない。解説にある通り、手塚治虫「鳥人大系」のような、細かなエピソード(史実)を重ねて大きな物語を描こうとする手法は非常に面白い。
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作品から読み解くグローバル化の夜明け、というサブタイトルのとおり、本書の内容のほとんどは、15世紀のオランダの海外での活躍?について書かれている。 いわゆる大航海時代の後半、オランダ、ポルトガル、スペインが、大西洋をわたりアメリカへ、喜望峰をまわりインド、フィリピン、中国、そし...
作品から読み解くグローバル化の夜明け、というサブタイトルのとおり、本書の内容のほとんどは、15世紀のオランダの海外での活躍?について書かれている。 いわゆる大航海時代の後半、オランダ、ポルトガル、スペインが、大西洋をわたりアメリカへ、喜望峰をまわりインド、フィリピン、中国、そして日本へ、南アメリカのペルーへは銀の取引のため。 まさに、世界中を船でかけめぐっている姿が、いきいきと描かれている。 フェルメールの絵の中の背景、人物という扉のむこうに、大きく躍動する世界の動きを見せる、この手法に、本当にやられた、というしかない。
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