日本はいかにして中国との戦争に引きずり込まれたか の商品レビュー
日中戦争は侵略かどうかで議論があるが、安倍さんたちはそうではなかったと言いたいのだろう。その根拠となるべき事実をあげて論じているのが本書である。本書は「支那通」軍人佐々木到一の中国とのかかわりを軸に書いているが、これを読んでいくと、中国の軍隊はどうしょうもなく、日本人居民にたびた...
日中戦争は侵略かどうかで議論があるが、安倍さんたちはそうではなかったと言いたいのだろう。その根拠となるべき事実をあげて論じているのが本書である。本書は「支那通」軍人佐々木到一の中国とのかかわりを軸に書いているが、これを読んでいくと、中国の軍隊はどうしょうもなく、日本人居民にたびたび危害を与えていて、日本の軍隊が出動するのもやむを得ないような気になってくる。たしかに、昔中国語を習ったとき、「よい人は兵隊にならない、良い鉄は釘にならない」ということわざを習った記憶がある。中国の軍隊というのはつまるところ傭兵―給料でやとわれているわけで、どこかの街を落とした時には、しばし、略奪させるのが常識だったようだ。そういうわけで、蒋介石の北伐軍が北上したときも、あちこちで略奪強姦を繰り返していて、それが日本居民にまで及んだということであろう。日本軍は中国のあちこちで略奪強姦放火を繰り返したと言われるが、「通州事件」や「南京事件」における日本人虐殺を含め、中国軍も同じかそれよりひどかったことがわかる。人はみなそういう状況に置かれると、往々にして残酷になるのである。たしかに、日本人はへたないいわけをせず、潔くするのを尊ぶが、中国人はねっからの外交官と言われるように、宣伝がうまかった。それは抗日の中心であった国民党だけでなく共産党も変わらない。それに外国の人たちはまんまとのせられ、日本が悪者になったところもある。言い換えれば日本人は単純だったのだ。帝国主義列強の仲間に入ろうとしたが、周りは一枚も二枚も上手だったというしかない。別の言い方をすれば、外交がまずかったから、武力にうったえざるをえなかったということになろう。本書を読みながら、そんなことを考えた。
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