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大田南畝 江戸に狂歌の花咲かす の商品レビュー

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2024/04/10

『江戸はネットワーク』で太田南畝のことを知って本書を読んでみました。 「狂歌」を江戸に大流行させた南畝はどのような人物か?作品を織り交ぜながら「狂歌with南畝」の軌跡をわかりやすく解説している本でした。 ざっくりまとめると、平賀源内をロールモデルにしながら滑稽者として文芸の世...

『江戸はネットワーク』で太田南畝のことを知って本書を読んでみました。 「狂歌」を江戸に大流行させた南畝はどのような人物か?作品を織り交ぜながら「狂歌with南畝」の軌跡をわかりやすく解説している本でした。 ざっくりまとめると、平賀源内をロールモデルにしながら滑稽者として文芸の世界で有名になった南畝だが、悪意や批判のスタイルに限界がくる。次は大根太木を慕い、「宝合わせ」という狂文を披露しあう催しなどを通して底抜けに明るい笑いのスタイルを確立していく。南畝は「狂歌師」として当時天災で憂いた世をあえて「祝福」する戦法で江戸を囃し立て、仲間をどんどん増やしていく。 こういった本を通して江戸時代の雰囲気を味わったり、現代との違いを実感できると楽しいものです。 本書では、江戸時代は身分や職業といった【役割】が何よりも重要で、現代のような「個」を大事にする感覚はなかったとのこと。そのなかで南畝は「狂歌師」という役割を発明し、その役を演じ切ったといいます。「役割」や「型」といったキーワードで江戸の文人を分析しているのがユニークで面白かったです。 この本のもうひとつの楽しみは、狂歌をはじめとした作品がふんだんに紹介されており、解説付きでその面白さを味わえるところです。 韻や掛け言葉を多用して世の中を面白おかしく語る作品は、『江戸はネットワーク』で読んで脱帽し、「江戸の人って頭いいんだなー」と思いましたが、ここまでゴリゴリに技巧を盛り込んだ作風は南畝ならではのようです。 現代でいうと、「お笑いやってる人はカッコイイ」みたいな感覚で江戸でバズったんだろうな。

Posted byブクログ