ランサローテ島 の商品レビュー
スペイン領ランサローテ島をウエルベックが旅行する。波に浸食された岩肌が名物のランサローテ島は、北大西洋上のアフリカ寄りに位置し(モロッコのすぐ西)、サボテンと石だらけで何もない火山島だ。 「火山による創造と大洋による破壊」 そんな島の旅行記なのだが、おそらくフィクションが入っ...
スペイン領ランサローテ島をウエルベックが旅行する。波に浸食された岩肌が名物のランサローテ島は、北大西洋上のアフリカ寄りに位置し(モロッコのすぐ西)、サボテンと石だらけで何もない火山島だ。 「火山による創造と大洋による破壊」 そんな島の旅行記なのだが、おそらくフィクションが入っているのだろう。まぁ色んなエロいことが起きる。ウエルベックをひとことで言うとゲスな哲学者がふさわしいが、そんなゲスな哲学者の目で見た世界は、読んでる方からしたら面白い。実在する新興宗教団体、ラエリアン・ムーヴメントも出てきて、話は短いが刺激的だ。 だが本の半分が何の変哲もない島の写真。これで定価2400円なのだから高い。
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冒頭の写真集を無味乾燥な絵だなあとつまらなくめくり、続く物語で、その光景に意味があったことを感じ取り、末尾の訳者解説で、わたしの読みがいかに浅かったか思い知る。 アンチモダンの系譜があったとは!そういえば、カルト宗教も3pも合点が行く。
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ウォモシロかったでーす。とてもコンパクトによくまとまってました。 短い文章で登場人物も少ない中、ツアー参加者の、冴えないベルギーの秘密警察に勤める鬱病のオッサンにとても愛着を持ちました。私も現実世界では、あんな雰囲気を人に与えてるとウォモいまーす。
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表紙、草間彌生⁉︎かと思ったら、ホンモノのサボテン。驚いた。 ランサローテ「人類なき後の世界というヴィジョンを具体化している」島。その姿は作者自ら撮った写真で、たっぷり堪能できる。 ラエリアンネタなど新興宗教と科学の結合の必然性とその命運についてなど、『ある島の可能性』のテーマは...
表紙、草間彌生⁉︎かと思ったら、ホンモノのサボテン。驚いた。 ランサローテ「人類なき後の世界というヴィジョンを具体化している」島。その姿は作者自ら撮った写真で、たっぷり堪能できる。 ラエリアンネタなど新興宗教と科学の結合の必然性とその命運についてなど、『ある島の可能性』のテーマはすでにここでも取り上げられていたのだな。『ある島の〜』を読んだ後では、短編ゆえ仕方ないが物足りなく感じた。
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斜に構えたおっさんのいささか品のない旅行記…かと思っていたら、後半の普遍的な悲しみに驚いた。 ちょっと苦役列車の作者を思わせるような露悪的な主人公だが、同じように孤独に耐えている男性は多そう。本の半分はランサローテ島の写真で、本の風景描写の一助になっている。
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写真、装幀、造本、文章、全部ひっくるめた佇まいがかっこいい。手元に置いておきたい。 内容に関して、『素粒子』もそうだったけど、一度読んだだけではわからない。フランス文学も、ついでにフランス映画も難しい。 さすがは子どもにボードレールを暗唱させて「残酷だと思うかい?でも人生は残酷...
写真、装幀、造本、文章、全部ひっくるめた佇まいがかっこいい。手元に置いておきたい。 内容に関して、『素粒子』もそうだったけど、一度読んだだけではわからない。フランス文学も、ついでにフランス映画も難しい。 さすがは子どもにボードレールを暗唱させて「残酷だと思うかい?でも人生は残酷なものだからね」の国だ(『地獄の黙示録』)。
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サボテンだしウェルベックさんだしと思って読んでみたらまんまとランサローテ島に行きたくなった。 荒涼としたなかに浮かぶ蛍光色にも見えるサボテン。 旅のふくらみは旅の終わりからという感じの小説。
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買い損ねていたものを漸く購入。 旅行記風小説ながら皮肉な視線が見え隠れしているところが目を惹いた。他にも邦訳が出ているようなので読んでみたい。 単行本には著者が撮影した現地(ランサローテ島)の写真が多数収録されている。色鮮やかなサボテンと青い空が美しい。 写真と併せて小説を読むと...
買い損ねていたものを漸く購入。 旅行記風小説ながら皮肉な視線が見え隠れしているところが目を惹いた。他にも邦訳が出ているようなので読んでみたい。 単行本には著者が撮影した現地(ランサローテ島)の写真が多数収録されている。色鮮やかなサボテンと青い空が美しい。 写真と併せて小説を読むと、思い浮かぶのは、腐敗寸前の美しさであったり、爛熟という単語であったり……。
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小さな火山島ランサローテ島を訪れた「私」の旅行記風小説。 世紀末的なヨーロッパから抜け出した「私」は、ランサローテの大自然を満喫して、倦怠感を吹き飛ばした。おかげで元気にバカンスしています。 のだけれども。この非文明圏においても、文明圏からの不穏さは届いていた…。 皮肉で卑猥...
小さな火山島ランサローテ島を訪れた「私」の旅行記風小説。 世紀末的なヨーロッパから抜け出した「私」は、ランサローテの大自然を満喫して、倦怠感を吹き飛ばした。おかげで元気にバカンスしています。 のだけれども。この非文明圏においても、文明圏からの不穏さは届いていた…。 皮肉で卑猥なウエルベックを、ビジュアルでも楽しめる一冊ですね。
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