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非線形科学 同期する世界 の商品レビュー

3.6

23件のお客様レビュー

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2023/05/26

「同期」をキーワードとして,いろいろな自然科学分野の非線形現象を紹介した本.著者自身が提案した蔵本モデルの有効性がわかる.例は多く紹介されているが,もう少し原理的な話題も知りたかったところである.

Posted byブクログ

2020/05/21

私には、自分がどこかで自分のことを噂されるとくしゃみが出るという特殊能力がありますが、誰も信じてくれません。この事実がわかったのは、何度かのくしゃみの後、噂をしていた本人から電話がかかってきて「あなたのことを話していた」という不思議な体験を何度もしたからです。 バラバラに振れてい...

私には、自分がどこかで自分のことを噂されるとくしゃみが出るという特殊能力がありますが、誰も信じてくれません。この事実がわかったのは、何度かのくしゃみの後、噂をしていた本人から電話がかかってきて「あなたのことを話していた」という不思議な体験を何度もしたからです。 バラバラに振れていた2つの振り子時計がやがてピタリと歩調を揃えたり、時差がある別々のメトロノームが同じリズムを打ち始める・・これは空間を超えた共鳴という現象ですが、私の特殊技能もこの理屈で説明できるのかもしれません、なんちゃって。 本書で扱われるのは同期現象ですが、筆者は非線形科学である複雑系やカオスにも積極的な評価を与えています。科学的精神とはある事象を普遍的な定義にまで昇華する作業だとすれば、わからないものはわからないまま受け入れる(あえて、分解し総合しない)潔さから新しい何かが生まれてくる可能性にも理解を示しています。 本書では、同期現象として、パイプオルガン、ロウソクの炎、コオロギのコーラス、カエルの鳴き声、体内時計、つり橋、拍手、ホタルの点滅、電力ネットワーク、集団リズム、ミミズやアメーバの運動メカニズムなど様々な事象が取り扱われていますが、内容はかなり高度です。 筆者は(蔵本)由紀と書いて「よしき」と読む男性の研究者ですので、お間違いないよう。

Posted byブクログ

2020/01/19

同期現象を中心にして「科学」の理解に必要な「非線形科学の前提知識」をまとめてあって、読んでいてワクワクが止まらない。 複雑系についての書籍は色々あるけども本書は「因果」についていろいろと考えさせられる。

Posted byブクログ

2018/02/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

同期する事象の例を淡々とつづる。ホイヘンスの振り子から始まり、メトロノームやコオロギのコーラスロウソクの炎など、同期現象が次々と紹介される。振動子と振動子の間にフィードバックできる媒体があれば、同期現象は起こりうるとのこと。相互作用を示す数学的モデルに著者の名を冠する蔵元モデルもあるそうな。後半はミレニアムブリッジ、蛍、心拍、アメーバ、信号ネットワークと事例紹介はあるが、淡々と語られる感が大きく、読み物としての驚きはなかったので2点。

Posted byブクログ

2017/02/25

以前読んだ同著者・同新書『非線形科学』の続編みたいな科学読み物。 前著はテーマが漠然としすぎて非常に味が薄く印象のない本だったが、こちらはテーマを「同期現象」に絞り、一転楽しい読み物になった。文体も前のとはちがってわかりすくなっており、これは担当編集者がかなり頑張ったのだろう。 ...

以前読んだ同著者・同新書『非線形科学』の続編みたいな科学読み物。 前著はテーマが漠然としすぎて非常に味が薄く印象のない本だったが、こちらはテーマを「同期現象」に絞り、一転楽しい読み物になった。文体も前のとはちがってわかりすくなっており、これは担当編集者がかなり頑張ったのだろう。 ハヤカワ文庫の『Sync.』と同じテーマなのだが、それとはまた別の具体例がたくさん列挙していて、読んでいて面白い。 互いに作用し合う「全体」と「個」との関係性についての部分は、とても共感した。

Posted byブクログ

2017/01/28

何万匹ものホタルが同時に明滅する、吊り橋上を歩く集団の歩調が自然に揃って橋が大きくたわむ……これら驚くべき現象はすべて「同期(シンクロ)現象」によるものだ。  同期現象は単に奇妙な現象というだけではない。心拍や体内時計といった生命維持活動にも関与し、最新のロボット制御システムの鍵...

何万匹ものホタルが同時に明滅する、吊り橋上を歩く集団の歩調が自然に揃って橋が大きくたわむ……これら驚くべき現象はすべて「同期(シンクロ)現象」によるものだ。  同期現象は単に奇妙な現象というだけではない。心拍や体内時計といった生命維持活動にも関与し、最新のロボット制御システムの鍵を握るなど、実は我々の生命や社会を形作る上で欠かせない物理現象なのだ。しかし従来の科学手法では解くことができず、「非線形科学」の最新研究によって明らかになったのだ。  著者は同期現象を記述する「蔵本モデル」を編み出したこの分野の第一人者。本書は我々の身近に起こる同期現象を数式を使わずに解説しつつ、世界を支配する知られざる法則を解き明かす。 「集英社新書」より さまざまなところに現れる現象を「同期」を共通項に説明する.一つの分野だけでなくさまざまな分野を駆使し、分かりやすく説明している.

Posted byブクログ

2016/12/08

私たちが「リズムの中で生きている」ということに改めて気づかされると共に,同期(シンクロ)現象の不思議さに惹きつけられます。世の中の不思議は,この現象として,これからもどんどん明らかにされていきそうです。

Posted byブクログ

2016/11/23

同期現象を扱ったものとしては、スティーヴン・ストロガッツの『Sync』が有名である。生命の世界において、非線形の同期現象が想像以上に多くのところで出てくるという。この本でも、『Sync』にあった蛍の同期発光、メトロノーム、心臓のペースメーカ細胞など同じものが紹介されていたりする。...

同期現象を扱ったものとしては、スティーヴン・ストロガッツの『Sync』が有名である。生命の世界において、非線形の同期現象が想像以上に多くのところで出てくるという。この本でも、『Sync』にあった蛍の同期発光、メトロノーム、心臓のペースメーカ細胞など同じものが紹介されていたりする。その他にもローソクの炎、パイプオルガン、ロンドンのミレニアムブリッジ、酵母の解糖反応などが挙げられる。 著者は、「蔵本モデル」 と名付けられた同期現象を説明するための数学的なモデルというものを提唱している。本書でも、同期現象を固有振動数や位相と相互作用の概念を使って説明する。部分の総和が単純な総和を超えて全体として発現する創発の理論にもつながるのだろうが、このあたりの複雑系のモデルはわかったようでわからない。もう少し複雑系の話をわかりやすく説明してくれているとありがたいのだけれども。 『Sync』のレビュー http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4150504032

Posted byブクログ

2015/07/05

同じテーマの本『Sync』を以前に読んだが,内容としては重なっているところが大きい.こちらにしかない同期現象の例も多く,特に生体内部での例が興味深い.

Posted byブクログ

2014/11/28

 蔵本由紀氏の著作は2冊目です。  本書では、マングローブの木に群れるホタルの明滅等の生物界における「同期現象」だけではなく、振り子時計の同期やローソクの炎の同期、電力の送電ネットワークの同期等、さまざまなジャンルにおいて見られる類似現象をとりあげ、その発生原因等を平易に解説して...

 蔵本由紀氏の著作は2冊目です。  本書では、マングローブの木に群れるホタルの明滅等の生物界における「同期現象」だけではなく、振り子時計の同期やローソクの炎の同期、電力の送電ネットワークの同期等、さまざまなジャンルにおいて見られる類似現象をとりあげ、その発生原因等を平易に解説しています。  本書における「同期」や著者の前著における「カオス」のような概念は、異分野を横断的に統合する力を持つもので、その研究の進展はとても楽しみですね。

Posted byブクログ