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現代中国の父 トウ小平(上) の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2023/12/22

尊敬する先生が薦めてくださった本。 毛沢東の決めたルールをいかに解釈するか、 奮闘するところが面白かった。

Posted byブクログ

2023/04/03

鄧小平の軌跡を追いながらアジア近代史を深く理解できる名書。毛沢東という気分屋で言ってることが変わる、被害妄想気味で大変な指導者にうまく仕えてきた立ち振舞はサラリーマンとしても参考になるものがある。江青を始めとする4人組や、周恩来、華国鋒、趙紫陽、胡耀邦、陳雲など、関連人物のキャラ...

鄧小平の軌跡を追いながらアジア近代史を深く理解できる名書。毛沢東という気分屋で言ってることが変わる、被害妄想気味で大変な指導者にうまく仕えてきた立ち振舞はサラリーマンとしても参考になるものがある。江青を始めとする4人組や、周恩来、華国鋒、趙紫陽、胡耀邦、陳雲など、関連人物のキャラもたっていて読み物としても面白い。毛沢東は晩年、死後の自身の評価について最も危惧していたようだが、大躍進、文化大革命、集団農業…政策のほとんどが国民に大損害を与えた結果でも、党のメンツが最重要となるため今でも英雄視されているのか… そもそも装備でも軍規模でも上手である国民党が何故国共内戦に敗れたのかよく分かってなかったが、政治の基盤を作れず、腐敗が国民を幻滅させていたことが原因だったとしても疑問に残った。大混乱状態の広大な中国を短期間で立て直した指導力や実行力を目の当たりにすると、さすが9億人の頂点に上り詰めた人物だと関心させられる。子供の頃から記憶力がよく、フランスやソビエトへの渡航経験から国際感覚もあり、生まれ持った素質があったと感じた。日本とアメリカの国交正常化についても詳細に扱われているが、今の感覚からすると中国の安全保障においてソ連とベトナムが大きな問題となっていた点は新鮮に感じた。西側諸国は開放路線の鄧小平に率いられて中国が専制国家色を薄めていくと感じたかもしれないが、三権分立が中国では成立しえないと鄧小平は考えていた模様で、広大で多すぎる人口をうまく統制するには一党独裁の基盤を固める必要があるとの固い決意はその後の中国の政治を決定付けた感もある。葉剣英元帥は鄧小平への権力集中を懸念して華国鋒を推し出したとの分析だが、この頃の中国は実力者が出世し、党内民主主義の有効性が色んな意見や立場の人に議論を深めていた良い建設的な時代だったように映った。ただ政策に失敗した場合の失脚は恐ろしいが… 開放路線を進めるにあたって毛沢東主義との矛盾をいかにうまく政治的にこなしていくかという手腕がすごい。モスクワ留学時代に蔣介石の息子蔣経国と友人になっていたとはすごい逸話だが、なぜ彼はソビエトを選んだのだろう。日中、米中の国交正常化の時代には、台湾が中国に近々統一される見込みだとの予想が普遍的だったことに驚かされる。

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2016/12/19
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※このレビューにはネタバレを含みます

[皇帝ならぬ皇帝]改革開放政策を強調し,中国の現代化に多大な影響を与えた鄧小平の生涯をまとめ上げた超大作。著者は,『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を世に送り出したことでも知られるエズラ・F・ヴォーゲル。訳者は,著者の研究助手を務めた経験を有する益尾知佐子と東アジアの経済に関する著作を自身でも発表している杉本孝。原題は,『Deng Xiaoping and the Transformation of China』。 尋常ではない分量に読む前から圧倒させられてしまいますが,内容の濃さに読後は更に圧倒させられました。鄧小平の歩みを知るためにはもちろんですが,彼がその人生を捧げた中国,そして中国共産党の歩みを知る上でも欠かすことのできない一冊かと。それにしても,鄧小平の堅実かつ冷静な思考と行動力には恐れ入りました。 〜鄧小平はむしろ,移行期に総合的なリーダーシップを発揮した総支配人だった。彼は考えを一つのパッケージにして,それを同僚チームと大衆に,彼らが受け入れ可能なペースと方法で提案した。〜 今年中に読めて良かった☆5つ ※本レビューは上下巻を通してのものです。

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2016/07/31

「マルクス主義は不変の思想枠組みではなく、むしろ経験を踏まえながら再解釈され続けるものである。」 毛沢東時代からアメリカとの国交正常化までが描かれている。ボリュームはあるが読みにくくはない。 毛沢東時代に3度失脚したが、最終的には華を退け実質的権力者になった。個人崇拝を嫌った...

「マルクス主義は不変の思想枠組みではなく、むしろ経験を踏まえながら再解釈され続けるものである。」 毛沢東時代からアメリカとの国交正常化までが描かれている。ボリュームはあるが読みにくくはない。 毛沢東時代に3度失脚したが、最終的には華を退け実質的権力者になった。個人崇拝を嫌った点は毛沢東時代からの反省だろう。 中国の近代化を強く推し進めた、まさに中国中興の祖だ。

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2014/02/06

ジャパン・アズ・ナンバーワンを書いたハーバード大のエズラ・ヴォーゲル教授が書いた鄧小平の一生をまとめた本。膨大な資料とインタビューをもとに書かれており、史実が緻密に描かれている。鄧小平の三回の左遷と、1970年代の改革開放、及び1979年に最高指導者となってからの改革開放の様子は...

ジャパン・アズ・ナンバーワンを書いたハーバード大のエズラ・ヴォーゲル教授が書いた鄧小平の一生をまとめた本。膨大な資料とインタビューをもとに書かれており、史実が緻密に描かれている。鄧小平の三回の左遷と、1970年代の改革開放、及び1979年に最高指導者となってからの改革開放の様子はとりわけ詳述されている。最期の左遷をされる前は、資本主義や科学技術に対する先進的な考えはありつつも、毛沢東および党古参幹部の前では立場の保全を図り、左遷時にも耐え、反省を認めた書面を何度も党中央に送っている。文化大革命から復権したあとは、より自分の考えを押し出すようになり、3回目の左遷を毛沢東に迫られるも固辞。毛沢東の死後復権してからは、華国鋒、胡耀邦、趙紫陽という3人の党主席を、実質の最高指導者として指導し、ときには利用し、ときには改革開放を強く押しすすめた。各国との関係改善、既存の社会主義と「社会主義市場経済」との理論的(理屈的)接合、中央集権から分権への推進、イデオロギー主義から専門家主義への移行、膨張した人民解放軍の規模縮小など難題を次々と解決。今の中国の発展の礎を築いている。彼の死後の、江沢民、胡錦濤は鄧小平のやり方を踏襲しているだけと言えるかもしれない。深圳や広州、珠海という経済特区の発展、上海の発展の流れもよくわかり、今の中国の地理的経済を知る上でも勉強になる。その意味で、今の中国の状況を知るには欠かせない本。

Posted byブクログ

2013/11/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

鄧小平に寄せる毛沢東の信頼が厚く75年の復活は毛の意向、しかも周恩来への牽制の意味があったとは驚き。毛が中国経済を破綻させた男として自らの歴史を汚すことを恐れ、鄧に期待をかけたということは確かに間違いないだろう。そして75~77年の不思議の連続のように思われたエレベーター人事の意味が解き明かされていく。全てが毛の猜疑心から起こり、そこからの脱却を図る鄧や他の幹部たちの慎重な言葉の選び方に興味を感じる。75年の失脚前の毅然とした姿が、76年の毛死去後に尊敬を集めたということも分かる。そして77年の復活後、主席・首相というポストに就かない中で、事実上No1として華国鋒をしのぎ、権力を確立していく過程を見る中でこの人の並外れた実力、そして毛亡き後の中国の舵取りの難しさを感じる。鄧という英雄の凄さを痛感する。長大な大河ドラマを見る思いがする。それにしてもここまでの真実が良く調べられたもの!

Posted byブクログ