安全保障の国際政治学 第二版 の商品レビュー
先輩から薦めてもらい、読んでみたが非常に興味深い一冊であった。一読したものの、何回も復習して本書に書かれている理論体系を体得したいところ。 本書は、国際安全保障を軸に政治学の分析視角を体系的に学ぶことができる。全体を通して、ツキュディデスの「ペロポネソス戦争史」から国家の焦...
先輩から薦めてもらい、読んでみたが非常に興味深い一冊であった。一読したものの、何回も復習して本書に書かれている理論体系を体得したいところ。 本書は、国際安全保障を軸に政治学の分析視角を体系的に学ぶことができる。全体を通して、ツキュディデスの「ペロポネソス戦争史」から国家の焦りと傲りにより国際政治の悲劇が引き起こされることを強調している。 本書を読むにあたり、2022年2月から今なお継続するロシアによるウクライナ侵略を国際政治理論からはどう解釈可能なのか興味があったことが背景にあったが、まさにプーチンにはウクライナ(もしくはクリミア)を失うことの焦りやハイブリッド戦でうまく奪えたクリミアの傲りがあったように感じる。 プーチンは「特別軍事作戦」でロシアの主権は強化されたと力説し、さらには現代ロシア軍をソ連に戻すぐらいの増強を指向しているが、ウクライナ侵略によるNATO東翼の軍備増強やフィンランド・スウェーデンのNATO加盟方針への転換等は、まさにセキュリティ・パラドックスに陥っているように思える。 本書はこのように、安全保障政策を軸とした諸国家の行動原理に的確な視座を提供するもので、どの章を取ってみても、興味深いというよりかは共感できるものばかりで、国際政治を学ぶ日本人の必読書に指定されても良いぐらい分かりやすい良書であった。 今後何度も読み返すことになると思う。
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