ダヴィッド・ゴルデル の商品レビュー
著者が26歳の時に描きあげたと知り驚いた。 一人の実業家の怒涛の晩年の話。 周囲にいる人物が絶望的に感じ、どれだけ頑張って働いても何一つ報われないのが少し比喩的に感じた。 ユダヤ人男性の主人公を皮肉たっぷりに描かれている。 あっという間に読了。 疾走だった。 フランス組曲で名を知...
著者が26歳の時に描きあげたと知り驚いた。 一人の実業家の怒涛の晩年の話。 周囲にいる人物が絶望的に感じ、どれだけ頑張って働いても何一つ報われないのが少し比喩的に感じた。 ユダヤ人男性の主人公を皮肉たっぷりに描かれている。 あっという間に読了。 疾走だった。 フランス組曲で名を知り、読んだがもっと読みたい作家だ。
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1929年に書かれた、ネミロフスキーのデビュー作。 主人公はシャイロックばりの金持ちで強欲で高齢で孤独な死にかけのユダヤ人の男。 まわりの人々も似たようなもので、ゴルデルを憎んだりさげすんだりしながら金に群がる。 みんな強欲で身勝手だけど、ひどい話ではなく悲しい話。 金だったり愛...
1929年に書かれた、ネミロフスキーのデビュー作。 主人公はシャイロックばりの金持ちで強欲で高齢で孤独な死にかけのユダヤ人の男。 まわりの人々も似たようなもので、ゴルデルを憎んだりさげすんだりしながら金に群がる。 みんな強欲で身勝手だけど、ひどい話ではなく悲しい話。 金だったり愛だったり言葉だったり仕事だったり、そんなものを信じてるわけじゃないけれどそこにすがるしかない。 食べ物と愛情の距離は近いから、人の代わりに食べ物を拒んだりつめこんだりする話はたくさんある。 この本の中の人たちは、食べ物ではなく金を欲しがったり与えたり、たかったり使い方がわからなかったりする。 同じ著者の『クリロフ事件』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4896424409もそうだったけど、「女のくせに」「ユダヤ人め」といった言葉がちょこちょこ出てくる。 『タブー』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4861870747に女を貶める言葉としての「売女」を女自身が使ってしまう話があったのを思い出す。 著者はユダヤ人の女性で、1942年にアウシュヴィッツで亡くなった。 ヒトラーが台頭してきて、この作品はヘイトを助長すると批判されたそうだ。 著者は、執筆時にヒトラーがいればもっと違う書き方をしただろう、でもそれは作家として誤りだろう、と言ったという。 マイノリティがマイノリティの一部分、特に暗い部分を描くとマイノリティ叩きに利用されることを恐れる内部に批判される。 しかも本当にマイノリティ叩きに利用される。 だから言葉を選ばなければならない、それ自体が置かれた状況の理不尽さを示す。 とかは本当は余計な感想なんだ。 ただ話を味わいたいのに、時代と著者の置かれた状況を考えないわけにはいかない。 訳というか言葉の選び方にやっぱり違和感がある。 文無し状態を「無一物」(私はつい、むいちもつと読んでしまう)、 「砂糖漬け」アーモンド(たぶん糖衣)、 「かまど」や「経帷子」(なぜ和風)、 「あなたっきゃいない」(何度も出てくる)とか、 間違いではないけどひっかかる。 1ト月(一か月)は誤植?
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