100分de名著 こころ 夏目漱石(2013年4月) の商品レビュー
『こころ』はなんと報われないだろう.だけど,だからこそ見える世界もあるわけで,そこをガイドしてくれる.
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これまではつならない小説としか思っていかなったが、ひさびさに振り返ってなかなか考えられた小説だなと再評価できた気がする。 ・絶対であった父親を先生という憧れ尊敬が超えた。 ・Kを追い続けた自分は、Kを失ったことで自分も失った。 ・Kと自分は一種の分身であった。 ・その後のストーリーが描かれていない
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衝撃の解釈でした。いやあ~ホモソーシャルって素晴らしいね。興奮するね!(笑顔)。先生はKを(自分を棚に置きつつも)この浮気者が!っていじめていたんだね。それにKは反論もできず情けない自分に自己嫌悪していたんだね。「お嬢さんを巡る男二人」、ではなく「いままで固く結ばれていた男同士の...
衝撃の解釈でした。いやあ~ホモソーシャルって素晴らしいね。興奮するね!(笑顔)。先生はKを(自分を棚に置きつつも)この浮気者が!っていじめていたんだね。それにKは反論もできず情けない自分に自己嫌悪していたんだね。「お嬢さんを巡る男二人」、ではなく「いままで固く結ばれていた男同士の間にお嬢さんが割って入ってきた」って意味での三角関係だよって考えはすごく説得的です。だからこそ、二人の関係をぶち壊したお嬢さんには二人とも「真実は教えない」という手段である意味復讐をしている……。この物語で一番不幸せなのって間違いなくお嬢さんだしな……。まこと、妄想のしがいのある小説です。
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(2013.05.04読了)(2013.03.26購入) 100分de名著のテキストです。 今回のテーマは、夏目漱石の「こころ」です。 高校時代にいちばん多く読んだ作家は、夏目漱石で、9冊です。よく分からずに読んでいたのだろうと思います。「こころ」もそのころ読みました。教科書に載...
(2013.05.04読了)(2013.03.26購入) 100分de名著のテキストです。 今回のテーマは、夏目漱石の「こころ」です。 高校時代にいちばん多く読んだ作家は、夏目漱石で、9冊です。よく分からずに読んでいたのだろうと思います。「こころ」もそのころ読みました。教科書に載っていたので、というのが多分一つの動機だったのでしょう。 このテキストでも、いっていますが、「こころ」は、謎の多い作品です。姜さんの解説は、その謎解きの一つの答えです。解説本を読むよりは、実際の作品と直接向き合うほうがずっといいのですが、作品とあれこれ格闘した後、整理の意味で、解説本を読むのもひとつの方法です。納得できる部分もあるでしょうし、自分の問題意識と違う部分で、置き去りにされることもあるでしょう。文学作品を読むということは、そういうことでしょう。 置き去りにされた部分は、こだわっていれば、いずれどこかで、納得のいく答えに、出会うことがあるでしょう。そのためには、納得のいかない部分をなんらかの形で、メモっておく必要があるでしょう。例えばブクログに。 この本を読んでの結論をいうと、姜さんの解説は、ちょっと、解説のポイントが違うんじゃないのかという印象が残りました。もう一回、「こころ」を読んでみるしかないか? 【目次】 【はじめに】「心」を書こうとした作家 第1回 私たちの孤独とは 第2回 先生という生き方 第3回 自分の城が崩れる時 第4回 あなたは真面目ですか ●デス・ノベル(20頁) 「先生」の妻である「お嬢さん」だけが例外ですが、それを除けば、生き残るのは「私」だけで、それ以外の登場人物は「全員死亡」なのです。こんなに死なせなくてもいいのにと不自然なくらい、ことごとく死ぬのです。漱石の小説を見渡しても、こんなに「死」に取りつかれている小説は他にありません。 ●高等遊民(42頁) 高等遊民とはきわめて漱石的なキーワードであり、ファンの方であればもはやお馴染みでしょう。高い教養を持ち、人品も卑しからず、社会に出て仕事をすればひとかどの活躍はできようと思われるのに、それをあえてやらずに「趣味人的批評家」として家にこもっている人たちです。そして、言うまでもなく、そういう生活が可能な程度に資産に恵まれている人たちです。 ●先生とは(51頁) 漱石は公の「制度」で定められた先生が「先生」なのではなく、自分が「この人だ」と見込んだ人がすなわち「先生」だと言っているのです。 ●淋しくて(66頁) 私は仕舞にKが私のようにたった一人で淋しくって仕方がなくなった結果、急に所決したのではなかろうかと疑い出しました。 ●生きる(100頁) 私は深い恋愛に根ざしている熱烈な記憶を取り上げても彼女の創口(きずぐち)から滴る血潮を「時」に拭わしめようとした。いくら平凡でも生きて行く方が死ぬよりも私から見た彼女には適当だったからである。 ☆関連図書(既読) 「こころ」夏目漱石著、新潮文庫、1952.02.29 (2013年5月4日・記)
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