テレビが伝えない憲法の話 の商品レビュー
憲法についての正しい理解と学ぶ楽しさを説く。平易な表現で随所に楽しい例や喩えが盛り込まれているので、飽きずに読めた。何より憲法の意義や大切さを学べ、憲法の復習に一念発起した自分にとってもってこいの入門書になったように思う。人々にとって権力は必要であることを認めつつ、現実の国家が正...
憲法についての正しい理解と学ぶ楽しさを説く。平易な表現で随所に楽しい例や喩えが盛り込まれているので、飽きずに読めた。何より憲法の意義や大切さを学べ、憲法の復習に一念発起した自分にとってもってこいの入門書になったように思う。人々にとって権力は必要であることを認めつつ、現実の国家が正しく権力を扱うように定めた最高法規が憲法だという観点は、政治や外交といったどこか対岸と感じてしまう問題だけではなく、日々の生活で感じるアイデンティティに根差す問題を考えることの大切さを教えてくれる。 その他、国民主権と三権分立が正しく国家が機能するための優れた制度であること、憲法制定の背景には(悲惨な過去を含めて)歴史との強い結びつきがあること等、今更ながら、目から鱗的に学べたことが多くあった。 また、個人的には終章で著者が引き合いに出した雨月物語の「白峯」と著者のメッセージが心の琴線に触れた。怨霊となった崇徳上皇と西行の舌戦において、孟子や古事記等の権威ある先例を引き合いに出して双方の主張をやり取りする様の面白さと、論破された崇徳上皇が吐露した心情に対する西行の突き放した優しさを紹介しつつ、押しつけ憲法等の分かりやすい主張が目立つ昨今の憲法議論について、一人の大人として感情論や分かりやすい(でも誤った)論理に迎合せず、きちんと学び理解して客観的な観点で議論しようと呼びかける姿勢に著者の強い信念を感じ取った。 ひとりの大人として、今更ながらきちんと勉強したいと思う。
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改憲、護憲どちらにも偏らないようバランスを重視しながら、わかりやすい言葉でユーモアを交えながら日本国憲法の基礎の基礎と「わかりやすい議論は危険だ」という事を教えてくれる良著。
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TVの「分かりやすさ」を批判し、本というメディアで深い所まで伝えようという試み。著者は護憲派という印象だったが、国際主義の観点からは改憲も検討すべきという立場のようである。ただし、本著の中では集団的自衛権については反対のようである。しかしながら、篠田英朗『憲法学の病』には著者が「...
TVの「分かりやすさ」を批判し、本というメディアで深い所まで伝えようという試み。著者は護憲派という印象だったが、国際主義の観点からは改憲も検討すべきという立場のようである。ただし、本著の中では集団的自衛権については反対のようである。しかしながら、篠田英朗『憲法学の病』には著者が「集団的自衛権は合憲である」と発言していた過去もあるようで、立場が揺らいでいるように思える。その時々の状況によって意見が変わる事は悪い事ではないので、その辺は著者の「柔軟性」ではあるのかもしれないが、首尾一貫性がないと批判されるのは止むを得ないのかもしれない。
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第9条護憲派の筆頭として鉄板の理屈でその正当性を学べると大いなる期待をかけたが、それはさすがにも大きすぎたようだ。確かに国際法と国連憲章を基準にして見れば説得力があるように感じるが、肝心の国際法と国連憲章の正当性や理念はあろうとも、支配力や拘束力が現在ではあまりにも脆弱ではないか...
第9条護憲派の筆頭として鉄板の理屈でその正当性を学べると大いなる期待をかけたが、それはさすがにも大きすぎたようだ。確かに国際法と国連憲章を基準にして見れば説得力があるように感じるが、肝心の国際法と国連憲章の正当性や理念はあろうとも、支配力や拘束力が現在ではあまりにも脆弱ではないか。少しばかり残念であった。 大きく知見を得たのは憲法という生活にも倫理にもアイデンティティにも関わる大きなことに対して単純に感情論やわかりやすさや素朴さで臨むことはとても危うい行為だということ。著者は頻繁に「素朴さ」という言葉で柔らかく表現しているが、つまりは知識や歴史や熟議を疎かにした愚かものということだろう。つまりは馬鹿ということだ。 最後の最後でこの馬鹿に対してすら尊重対処していくといくべきを述べているが、むしろとても高いところからの上から目線で思わず笑ってしまった。 面白くてためになるがかなり意地悪であることも確か。
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題名から判断してしまうと、何か陰謀論的なトンデモ本のような印象を感じてしまいますが、全然違います。 テレビでは伝えきれないのです。 「改憲論」などは割とニュースになりますが、 時間はわずかであるし関心もそれほど高いとは 言えないです。 そうなるとテレビでは必然的に扱いが少なく...
題名から判断してしまうと、何か陰謀論的なトンデモ本のような印象を感じてしまいますが、全然違います。 テレビでは伝えきれないのです。 「改憲論」などは割とニュースになりますが、 時間はわずかであるし関心もそれほど高いとは 言えないです。 そうなるとテレビでは必然的に扱いが少なくなります。 それではいけません。 「憲法とは、こういうものだよ」と教えてくれる本です。 その第一印象は「憲法ってとても良くできてる法律 なんだな」 戦後の混乱した時代に施行されたにもかかわらず、 よくまあこんなに考え込まれた、バランスの良い法律 が出来たものだ」というものです。 もちろん長年の研究で「この条文はこういう意味を指しています」という解釈による結果もありますが、 国家の根幹をなす法律としては世界に誇れるものであると言えます。 日本国民必読の一冊です。
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憲法は三原則に止まらず、それ以外に書かれていることこそ、っていう論旨だと思う。思うじゃいかんけど、どうも読み進める気が起こらんかった。今がその気分じゃなかったことかも知らんけど、とりあえず積読。といっても、読み直す機会は来ない気が…
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学校教育やメディアだけでは分からないことが多く、 いざ憲法学者の本を読んで自分の考えを整理したく読み始めた。 まず主観的ではあるが、木村草太氏についてかなり硬派な方だと思っていたが、随所にユーモアを含めて、一般人にも分かりやすい工夫を凝らしていると感じた。 そして、憲法9条...
学校教育やメディアだけでは分からないことが多く、 いざ憲法学者の本を読んで自分の考えを整理したく読み始めた。 まず主観的ではあるが、木村草太氏についてかなり硬派な方だと思っていたが、随所にユーモアを含めて、一般人にも分かりやすい工夫を凝らしていると感じた。 そして、憲法9条について。 私は改正反対だと思う。 世界各国において、国際法(国連憲章)で武力行使については規律されており、「武力の行使」「武力による威嚇」つまり戦争は禁止、例外的に安保理決議に基づく軍事措置や、武力攻撃に対する自衛のみ認められているのである。 なので、現憲法9条を改正することで直ちに戦争を実行できる話ではないし、万一の有事の際に備えた自衛隊が存在する現日本国憲法で問題ないだろう。 ◆心に響いたフレーズ 現憲法について「押し付け憲法論」だという指摘があるが、制定過程にとやかくいう必要はなく、内容の問題を指摘すべきである。 なお、私の知識不足であり、理解できない部分もあったちめ、星4とさせていただいた。
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【由来】 ・ダイヤモンドの佐藤優 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・P118 【目次】
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
国際法とも照らし合わせ、憲法をわかり易く説明している。 法学者なので当たり前といえばそうなのだけど、感情論に流されることなく、いいか悪いかというわけでもなく、あくまで論理的整合性を追求する。 良書だと思います。
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日本国憲法とは何か。学校の授業レベルの知識しかなかったため、本書を手に取った。 「戦争」という単語一つをとっても、分かったつもりでいたが分かっていないことだらけだった。非常に勉強になった。 減点要因は、筆者のユーモアセンスが結構サムい点と、一部政治家をばっさり否定している点。...
日本国憲法とは何か。学校の授業レベルの知識しかなかったため、本書を手に取った。 「戦争」という単語一つをとっても、分かったつもりでいたが分かっていないことだらけだった。非常に勉強になった。 減点要因は、筆者のユーモアセンスが結構サムい点と、一部政治家をばっさり否定している点。政治家をどう判断するかは、飽くまで有権者たる読者が各々判断すべきだと思う。
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