行人 の商品レビュー
著者、夏目漱石(1867~1916)の作品、ブクログ登録は、5冊目になります。 漱石の作品で、修善寺の大患後に書かれた作品は、次のようになります。 『彼岸過迄』(1912年) 『行人』(1913年) 『こゝろ』(1914年) 『道草』 (1915年) 『明暗』(1916年) ...
著者、夏目漱石(1867~1916)の作品、ブクログ登録は、5冊目になります。 漱石の作品で、修善寺の大患後に書かれた作品は、次のようになります。 『彼岸過迄』(1912年) 『行人』(1913年) 『こゝろ』(1914年) 『道草』 (1915年) 『明暗』(1916年) で、本作は、1912年12月6日から1913年11月5日まで、『朝日新聞』に連載されました。 本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 気さくな性格で暢気な高等遊民生活をおくる長野家の次男・二郎。対照的に兄で学者の一郎は常に張りつめた神経を持ち、妻・直と二郎の仲を邪推するまでに精神が追い詰められていた。あるとき彼は二郎に、直の貞操を試すため一夜を共にしてくれないかと言い出す。人を信じ、伸びやかに生きたいと願いながら、出口のない迷宮を巡り続けるひとりの知識人の心理状況を克明に描いた、『こころ』へとつながる「後期3部作」第2弾!写真で見る漱石・用語の注釈・年表・解説文・鑑賞文付き。 ---引用終了 そして、本作の書き出しは、 ---引用開始 梅田の停車場を下りるや否や自分は母からいいつけられた通り、すぐ俥を雇って岡田の家に馳けさせた。岡田は母方の遠縁に当る男であった。自分は彼がはたして母の何に当るかを知らずにただ疎い親類とばかり覚えていた。 大阪へ下りるとすぐ彼を訪うたのには理由があった。自分はここへ来る一週間前ある友達と約束をして、今から十日以内に阪地で落ち合おう、そうしていっしょに高野登りをやろう、もし時日が許すなら、伊勢から名古屋へ廻ろう、と取りきめた時、どっちも指定すべき場所をもたないので、自分はつい岡田の氏名と住所を自分の友達に告げたのである。 ---引用終了
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「寝られないとどうかして寝よう寝ようと焦るだろう」と私が聞きました。「まったくそうだ、だからなお寝られなくなる」p423 ****以下ネタばれ?アリマス 本書は『こころ/エピソード零』といえるのではないでしょうか。孤独な主人公、長文の手紙、そして死の予感…。「こころ前夜」感...
「寝られないとどうかして寝よう寝ようと焦るだろう」と私が聞きました。「まったくそうだ、だからなお寝られなくなる」p423 ****以下ネタばれ?アリマス 本書は『こころ/エピソード零』といえるのではないでしょうか。孤独な主人公、長文の手紙、そして死の予感…。「こころ前夜」感、満載です。 なにもそんなことで悩まなくても…。漱石先生のたくさんの主人公たちに言ってあげたくなりますが… 「心のほかの道具が彼の理智と歩調を一つにして前へ進めないところに、兄さんの苦痛があるのです」p452 ちょっと乱暴な言い方をすれば、日本はこのとき〈思春期〉だったのかもしれません。 近代自我確立といわれる明治時代、体(頭)の成熟に心がともなわないもどかしさ…。 その苦しみは、 「死ぬか、気が違うか、それでなければ宗教に入(い)るか。僕の前途にはこの三つのものしかない」p431 と思春期どころではない激しさなのですが…。(この三つの結末は『こころ』『それから』『門』でなんとなく描かれています) **** 「そういう僕が既に僕の妻(さい)をどのくらい悪くしたか分からない。自分が悪くした妻から、幸福を求めるのは押しが強すぎるじゃないか」p466 結婚していても妻とわかりあえず孤独を感じる主人公の苦悩は現代の我々にも通じるものがあるように思います。 本書の帯には【『こころ』より先に現代人の孤独を予言した書】と是非書いてほしいものです。
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長い時間かかってようやく読了。一郎が抱く苦悩は現代を生きる男性達にも通じる心理なのかもしれないと思った。妻や子供がいても通じ会えず孤独を感じ、生きることに疑問を感じ、気が触れるか宗教的な考え方になっていく。死んだ魚の目をしているサラリーマンは共できるのではないか。しかし私自身は女...
長い時間かかってようやく読了。一郎が抱く苦悩は現代を生きる男性達にも通じる心理なのかもしれないと思った。妻や子供がいても通じ会えず孤独を感じ、生きることに疑問を感じ、気が触れるか宗教的な考え方になっていく。死んだ魚の目をしているサラリーマンは共できるのではないか。しかし私自身は女であるためか、それを客観的にみられる。巻末でHさんが言うように、「世の中が自分の思うとおりにならないのは、自分の以外の大きな意思が働いていると考えざるを得ない。そしてその意思は自分より偉大なもの」。全く共感。一人一人皆孤独なのは、悩むことすら必然なのだ。そういうものとしてただ受け止めればいい。
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前半はそれなりに面白く読めたが、後半、特に最後の章は漱石特有のまどろっこしさに読むのが疲れた。 巻末の精神科医の解説が興味深かった。一郎は精神的な病気だと述べているが、現代でも一郎的な人って案外その辺に居そう。むしろHさんみたいな人の方が稀有でないかと感じた。
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よくわからなかった。頭悪いからな。でも最後になってお兄さん(一郎)の人柄の謎がようやくわかって、二郎と嫂の関係云々って結局あんまり関係なかったのかなーって。
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