空色カンバス の商品レビュー
親鸞についてやその宗教については、いくらか小説や「歎異抄」などを読んである程度は理解していたつもりだったが、禅宗については殆ど知らなかったことに気がついた。禅宗の教えは「心から、心に伝える」のだという。それはまるで恋心を伝えるようなものじゃないか。 物語は幾つか伏線を張ってミス...
親鸞についてやその宗教については、いくらか小説や「歎異抄」などを読んである程度は理解していたつもりだったが、禅宗については殆ど知らなかったことに気がついた。禅宗の教えは「心から、心に伝える」のだという。それはまるで恋心を伝えるようなものじゃないか。 物語は幾つか伏線を張ってミステリー形式も踏襲して進んでゆく。しかし、確信犯的にいくつか提示された謎の解明を示さなかった。大きな謎と、どうしても知りたいゆかりの進路希望は分からなかった。まるで、そのこと自体が完結しない縁の輪のように。 最近ガンジーの「獄中からの手紙」を読んだ。非暴力運動は無抵抗主義ではない。遥かに積極的な運動であり、まさに「愛する」ということなのである。ガンジーの宗派は自らの強い意思で悟りを開く小乗仏教に違いない。だとすると、この禅宗の教えとは通じる処があるだろう。
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前2作は講談社BOXから出ている靖子さんですが、今回はガチ文芸誌・小説現代連載作。 進路、家族、謎の美女、過去の後悔などなど、色々詰め込みすぎなきらいもありますが、お寺という舞台と話の根底に流れている仏教思想や亡くなったお父さんの言葉が、それらの要素を優しく包み込んでいました。...
前2作は講談社BOXから出ている靖子さんですが、今回はガチ文芸誌・小説現代連載作。 進路、家族、謎の美女、過去の後悔などなど、色々詰め込みすぎなきらいもありますが、お寺という舞台と話の根底に流れている仏教思想や亡くなったお父さんの言葉が、それらの要素を優しく包み込んでいました。 靖子さんの他の作品にも言えることですが、ライトな語り口の根底には、この世界や命の受け止め方といった大きいテーマが潜んでいて、そこのバランス感覚が絶妙。 ラストのちょっとした謎解きも楽しめました。
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