バニヤンの木陰で の商品レビュー
主人公の実体験を元にした小説。元々学生時代から興味があった事もあり、ポル・ポト政権下の惨状を捉えたルポや、当時を舞台にした小説はかなり読んできたつもりだが、初めて生まれが王族の人々の境遇を知る事ができた。しかし徹底的に知識人・富裕層を排除しようとした政権の思想故か、彼らが辿った末...
主人公の実体験を元にした小説。元々学生時代から興味があった事もあり、ポル・ポト政権下の惨状を捉えたルポや、当時を舞台にした小説はかなり読んできたつもりだが、初めて生まれが王族の人々の境遇を知る事ができた。しかし徹底的に知識人・富裕層を排除しようとした政権の思想故か、彼らが辿った末路はその他大勢のそれと酷似しており、迫り来る飢えや病、暴力に対して富と地位が何ら防波堤にもなり得なかった事を知る。そんな地獄の中で、「言葉」が父を死に追いやると同時に、父からの最後の贈り物として主人公の生きるよすがとなったのが興味深い。何も縋るものがない時に、言葉や詩や物語がどれだけ希望の光となり得るか…。カンボジアの数々の民話と共に、主人公の心情を映す鏡として動植物が生き生きと描かれ、美しい自然描写が挿入されているのも良かった。 同じ題材に興味がある方は、本作と同じく虐殺を生き延びた少女による手記『最初に父が殺された―あるカンボジア人少女の記憶』や日本作家によるSF小説『ゲームの王国』もオススメ。
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「バニヤンの木陰で」http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309206479/ … 読んだ。んー夏休みの課題図書だ。ポルポト下のカンボジアを描いた自伝小説だけど甘美な表現が現実を遠ざけてる。苦労メインの戦争物も嫌いだけど(悲嘆の強調は悪行を駆逐し...
「バニヤンの木陰で」http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309206479/ … 読んだ。んー夏休みの課題図書だ。ポルポト下のカンボジアを描いた自伝小説だけど甘美な表現が現実を遠ざけてる。苦労メインの戦争物も嫌いだけど(悲嘆の強調は悪行を駆逐しない)尊厳や高潔性もなー。本編より作者と訳者の解説がよかった。表紙がきれい
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