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坐禅に学ぶ の商品レビュー

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2022/10/10

ただ座り、「いま」・「ここで」自分が自分になることを説いた本。 第一章は坐禅による効果や坐禅のやり方の説明、心構えの説明があります。ここだけでも読み応えあるのですが、第二章~第五章では、法慧和尚の師匠や支えてくれた人々との逸話、古典的な禅の談話からを交えつつ、禅の考えについて情...

ただ座り、「いま」・「ここで」自分が自分になることを説いた本。 第一章は坐禅による効果や坐禅のやり方の説明、心構えの説明があります。ここだけでも読み応えあるのですが、第二章~第五章では、法慧和尚の師匠や支えてくれた人々との逸話、古典的な禅の談話からを交えつつ、禅の考えについて情感豊かにしたためられています。説法とはことなり、まるで詩のような小説のようなやわらかな話にハッとさせられます。 本書において坐わることで得られることは、たとえ明日から会社来なくてもよいと伝えられたり、長期の入院を余儀なくされたり、がんを告知されたり、また最愛の人を失っても、老いを痛切に感じたとしても、どんなときもでも何があってもだ大丈夫な「核」、仏教用語では「安心(あんじん)」を得ることだと言います。この核=安心をもとにすべてよしという心持ちをもって、積極的に人生を生きていくことができるようになる。過去の自分が現在の自分を決めているのではなく、現在の自分が過去の自分に意味を与えていることを自覚し、すべてよしの気持ちになっていく。 坐りたくなること請け合いです。 以下、心に残った箇所を抜粋します。 ・「寄り添うこと」 悲しみに打ちひしがれたものが、すべてを肯定し、やがて自らの力で歩み始めようとするその時まで、そばで待つこと。 これは自分自身にも当てはまり、嫌なことがあったらそれを否定したり、早く歩みを進めようと自分をせかしたりしていることがあります。刹那的に否定も肯定もせず、じっくりと待ってあげたいと思います。 ・「見たことのない景色、訪れたことのない町、心を寄せた人との素敵な時間・・、あなたの目に映るもの、あなたが想うこと、触れるもの、感じたこと、それはあなた自身との出会いです」 すべては自分の意識を通した認識であり、自分の身で起こることはすべて自分との出会いであると思えば、すべて受け入れられる。 ・「八つ風吹けども動じず」 称(しょう)・誉(よ)・・・人前/陰でほめられること 譏(き)・毀(き)・・・人前/陰でそしられ、悪口をいわれること 利(り)・衰(すい)・・・自分の意にかなうこと/かなわないこと 苦(く)・楽(らく)・・・苦しみ/人を喜ばせること この八つの風が吹いても動じない自分を坐ることにより実現する。 ・「眼横鼻直を知る」 道元禅師が中国で禅を会得して帰国の際、修行で体得したものとして、眼は横に鼻は真っすぐに顔に備わっていることを学んだと言って、手ぶらで日本に戻ったという逸話。当たり前のことをありのまま受け入れる。 当たり前のことをありのまま受け入れる。シンプルだけど難しい。自分の価値はんだを入れずにありのまま受け入れられるように坐ろう。 ・「弓矢のたとえ」 弓を弾き、矢が的を射抜いた。あなたが的に狙いを定め、弓をちょうど良い力で弾き、矢の行く先を指先で微調整した結果矢が的に当たったと考えるのか。あなたの放った矢に、目に見える、見えない大勢の誰かが的を描いてくれたと考えるのか。 自分のやったことをすべて実力と考える人よりも、他人のおかげ、運が良かったと言える人になりたいと思った。 ・「椅子になる」 原田祖岳老師が18,19歳のころ、椅子になりたいと思ったことがあった。椅子は、誰が座ろうと拒みもせず、座る人を護って足を楽にし、身体を護ってあげる。そして、用が済み立ち上がって椅子にお礼をいうひとはほとんどおらず、そればかりか足げにされたりする。それでもなすがままで働くときは選好みもせず、いつも全力を尽くしている。 素敵な考えで、宮沢賢治の雨にも負けずの詩を思い出した。

Posted byブクログ