ベース・ミュージックディスクガイド の商品レビュー
YouTube/SNS以降、ストリーミングサービス普及以前というタームで作られたディスクガイド、という大まかな印象。ディスクガイドと謳っていながら盤紹介よりも文脈の紹介のほうに比重を置いており、そこが「ストリーミング以前のディスクガイド」という印象を強める。 「まずは聴け!」と...
YouTube/SNS以降、ストリーミングサービス普及以前というタームで作られたディスクガイド、という大まかな印象。ディスクガイドと謳っていながら盤紹介よりも文脈の紹介のほうに比重を置いており、そこが「ストリーミング以前のディスクガイド」という印象を強める。 「まずは聴け!」と言わんばかりに、最近のele-kingのディフィニティブ・シリーズでは各ジャンルの重要作をオールタイムで紹介することに特化しており、まさにストリーミング以降に最適化したディスクガイドといえると思う。で、一方こちらは、主に「2000年代以降のベースミュージック」という期間と対象を明確に絞り、座談会やインタビュー、コラムなどを通じて各サブジャンルの文脈をざっくりと把握させてくれる。 特にTR-808の開発者である菊本忠男氏のインタビューは示唆に富んでおり、読み応えがあります。Diploのインタビューも掲載できているのは価値のあることだと思います。 好みは分かれるだろうけれど、必要最低限の情報を立体的に提示してくれることからクラブミュージック初心者にも非常に易しい。各ジャンルについては専門的な書籍や雑誌などで各自フォローするなり、ディグするなりすればよいとして、00-10年代初頭のクラブミュージックに関してはここまでまとまった書籍がそもそもなく、企画・構成含めてまさに痒いところに手が届く一冊だと思います。
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