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ばらの樹 小森香子詩選集 の商品レビュー

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2014/08/11

そのとき そのとき きっと 子どもたちは きくでしょう お母さん どうして 反対しなかったの と わたしたちが いつか 親や祖父たちに きいたように 大人は どうして 戦争なんか やったの と あのとき 大人たちは みんな 悲しい顔をして こたえた "とんでもない...

そのとき そのとき きっと 子どもたちは きくでしょう お母さん どうして 反対しなかったの と わたしたちが いつか 親や祖父たちに きいたように 大人は どうして 戦争なんか やったの と あのとき 大人たちは みんな 悲しい顔をして こたえた "とんでもない おまえ そんなことを いったら とらえられ牢獄で 殺されてしまったよ" "ごめんなさい おまえ わたしたち 知らなかったの 正しい戦争だとばかり教えられてきたの"と 美しい地球の すべてのいのち 絶える日を もしも 人間が 許した としたら そのとき きっと 子どもたちは きくでしょう とけてしまった唇 くだけ散った小さな手で もえつきた わたしたちを なお ゆりおこして きくでしょう お母さん どうして 核戦争を やめさせなかったの お父さん どうして 口もきけない法律を 通させてしまったの そのとき わたしたち 知らなかった とは いえない そのとき わたしたち 何もできなかった とは 決して けっして いえない (26p「輝いて生きる」より) 平和新聞の選者として、小森陽一さんのお母さんとして、私的に有名だった詩人小森香子さんの詩集を初めて読んだ。 上記の詩は、1986年の詩人会議の「反核平和詩集」に初めて載った詩らしい。この詩の「核戦争」は時には戦争に、時には原発事故に重点を変えて、今でも、今こそ、わたしたちの心を打つ。 小森香子さんの詩をまとめて読んでみて、この太い芯が一本通った人生に、正直圧倒された。 詠まれる詩は、その時々の母親大会で、子供白書で、運動を励ますために作られた詩が多い。絶対傍観者にはならない、けれども母親の立場は、女性としての立場はけっして忘れない。現在84歳にして、矍鑠として「私はまだ沈黙できない」という。この親有りて、小森陽一有り。詩の中に、よちよち歩きの、あるいは可愛い盛りの、あるいは自立を始めた小森陽一が居る。 装丁は亡き娘さんの切り絵らしい。 2014年8月10日読了

Posted byブクログ