真夜中の相棒(新装版) の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
マックに強く依存していないと生きていけない少しポワッとした美青年の殺し屋のジョニーと、ギャンブルばっかして金をすぐにすってしまうがジョニーを守るために一生懸命な相棒のマック。 そして、相棒をジョニーに殺されその復讐のために二人につきまとう刑事のサイモン。 この三人が主体となって話が進みます。 いや、この三人全員ちょっと心に問題があって、最後はすごい切ないやらモヤモヤするやらで…。 マックが言ってたようにこの話にハッピーエンドはないだろうとは思ってたけどやっぱり辛い。 マックとサイモンはジョニーに依存し過ぎだし、ジョニーはジョニーで誰かに依存してないと自分で行動できないような人だし。 最初はサイモンはまともなのかと思ってたら最終的に彼が一番問題だったような…。 幸せになんてあの生き方じゃなれなかっただろうけど、マックとジョニーには幸せになって欲しかった。
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【文春文庫40周年記念・海外ミステリ名作復刊第一弾】美青年の殺し屋ジョニーと彼を守る相棒マック。裏社会でひっそり生きる二人を復讐に燃える刑事が追う。美しく悲しいノワールの傑作。
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不幸せな幼児期を持つベトナム帰りの元兵士で共依存関係にある相棒同士と、相棒を亡くした刑事の三角関係。今となっては(特に同性愛小説界隈では)「よくある物語」なのかもしれないが、どれだけ「よくある物語」であっても、これは救い難い孤独感と淋しさを描いた名作だと思う。ベトナムの闇と月、ア...
不幸せな幼児期を持つベトナム帰りの元兵士で共依存関係にある相棒同士と、相棒を亡くした刑事の三角関係。今となっては(特に同性愛小説界隈では)「よくある物語」なのかもしれないが、どれだけ「よくある物語」であっても、これは救い難い孤独感と淋しさを描いた名作だと思う。ベトナムの闇と月、アメリカの闇、自らの過去と心の闇といくつもの闇が夜中の描写で表現されていて、日本タイトルのうまさが光る。が、原題の意味の重さもよい。読む人を選ぶ作品だが、暗さと重さと孤独さに痺れたい人は是非。
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1984年に出版されたものの新装版。30年を経ているが、時代性に左右されない。時代を超えるものを名作というなら、これも確かに名作。正直なところ、背表紙のあらすじがすべてを語ってくれている。
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ベトナム帰りの殺し屋ジョニーとその相棒のマック。二人は暗黒街の底辺を生きている。 二人を追うのは相棒をジョニーに殺されて復讐に燃える仕事中毒の刑事サイモン。 腐ったところが1ミリもないので、ジョニーとマックの関係は父親と息子と捉えた。 故にどこをどう読んでもマックのダメっぷりが...
ベトナム帰りの殺し屋ジョニーとその相棒のマック。二人は暗黒街の底辺を生きている。 二人を追うのは相棒をジョニーに殺されて復讐に燃える仕事中毒の刑事サイモン。 腐ったところが1ミリもないので、ジョニーとマックの関係は父親と息子と捉えた。 故にどこをどう読んでもマックのダメっぷりが苛立たしく。父ちゃん、もっとしっかりしてやれよ、と。しっかり子供を保護してやれよ、と。 いや、ジョニーも十分大人なんだけど。 サイモンの亡き相棒への執着もそうなんだけど、三人がそれぞれ抱えている孤独と歪んだ愛情の形が、ベトナム戦争後という当時の社会情勢と合間って、重く痛い。
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文春文庫40周年記念とやらで復刊。 新聞の広告を見て、昔の版の男2人が描かれた表紙を思い出し、読んでみようと買ってみた。 きっと30年前に読んだことがあると思うのだけど、お話は全く覚えてなくて、解説読んで思い出したけど、そうそう、作者は女性だったよねぇ。 戦争で心に傷を負ったジョ...
文春文庫40周年記念とやらで復刊。 新聞の広告を見て、昔の版の男2人が描かれた表紙を思い出し、読んでみようと買ってみた。 きっと30年前に読んだことがあると思うのだけど、お話は全く覚えてなくて、解説読んで思い出したけど、そうそう、作者は女性だったよねぇ。 戦争で心に傷を負ったジョニーとマックが徐々に裏の世界に絡め取られて堕ちていく第一部。 ジョニーによって相棒を殺されてしまった警官サイモンがまだ見ぬ殺人犯を追っていく第二部。 ジョニーに少しずつ近づいていきながら壊れていくサイモンにとって、まだまみえぬ犯人だけが心慰める相手となっていく様の息苦しさ。 思えば、あの頃はアメリカがまだベトナム戦争の影を引き摺っていた時代で、当時の影を色濃く残す物語の中で、語られる3人の人生はどれも切ない。
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名作の新装版。なにかにすがるしかないベトナム帰りの殺し屋と相棒と刑事の三人。恋に見えるものはあるいは刷り込みであったり、からっぽの入れ物に都合のよい夢をしまおうとしているのかもしれない。そう考えると真夜中の闇はさらに深くなる。
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ゲイ・ミステリというジャンルがあるらしい。 三十年前に初めてこの本が出版された時には同性愛を扱った作品はまれで、海外ミステリ史的にはその先鞭をつけた作品だそうだ。 たしかに男性同士のそれを匂わせる描写はある。 しかしこの『真夜中の相棒』は曇りなき眼で読んでほしい。 これは孤独な魂...
ゲイ・ミステリというジャンルがあるらしい。 三十年前に初めてこの本が出版された時には同性愛を扱った作品はまれで、海外ミステリ史的にはその先鞭をつけた作品だそうだ。 たしかに男性同士のそれを匂わせる描写はある。 しかしこの『真夜中の相棒』は曇りなき眼で読んでほしい。 これは孤独な魂を抱える者たちの話。 できそこないの父と子の悲しい物語だ。 淡いブルーのBMWからすべり降りる金髪の若く美しい殺し屋、ジョニー。 そして運転席で見守る相棒。 裏社会の顔役パパガロスともう一人を消音機つきの銃で始末した後、きびきびと車へとって返す。 「僕が何を欲しがっているかわかりますか?」 ジョニーの殺しの報酬は、ストロベリーアイスクリームのダブルを一つ。それだけで充分なのだ。 この物語にハッピーエンドはありえない。 本を開いた最初の作者の献辞には、 本書を世の”母親”と そのすべての信者にささげる。 とある。 しかしこの本には母や母性といったものはほとんど出てこない。あるのはあらゆる父と子の関係や男同士の友情、信頼といったものばかりだ。 いやあるいは、このカッコつきの”母親”とは、父や父性のなかに母性までも見ざるを得ない者たちへ向けられた言葉なのかもしれない。 犯罪小説、警察小説として素晴らしい出来。 そして読了後、それを越えた言い知れぬ切ない余韻が残る。 書店で見かけたら手に取ってほしい。 帯に書かれた桜庭一樹氏の推薦文に心掴まれるはずだ。 ★★★★★でも良かった。 星一つ分の欠落は、自分自身の欠落や孤独を認めたくなかった気持ちの表れかもしれない。 著者テリー・ホワイトが女性であると知り驚く。 加えて本作の原題が「Triangle」と聞き、物語を読み終えた今では、ただ嗚呼と溜息を漏らすばかりだ。
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