1,800円以上の注文で送料無料

殉教の刻印 の商品レビュー

5

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2017/03/04

1597年、長崎は有家(現南島原市)にあったセミナリヨ(キリスト教の教育機関)で制作された銅版画「セビリアの聖母」を復刻した渡辺氏が、復刻にいたる経緯や、復刻において浮かんできた謎を独自の考察で解き明かしたノンフィクション。銅版画の技法なぞ全くわからなくても、とっても面白い! 現...

1597年、長崎は有家(現南島原市)にあったセミナリヨ(キリスト教の教育機関)で制作された銅版画「セビリアの聖母」を復刻した渡辺氏が、復刻にいたる経緯や、復刻において浮かんできた謎を独自の考察で解き明かしたノンフィクション。銅版画の技法なぞ全くわからなくても、とっても面白い! 現在の所有者であるカトリック大司教区が絵を見せてくれないから、二十六聖人が歩いた道を実際の日数であるきながら当時の受刑者に想いを馳せたり、復刻のなかで「白い鳩」が消えているのを発見し、その白い鳩が何を示しているのか、そもそもそれは白い「鳩」なのか、なぜ作者は鳩を消したのか、などさまざまな疑問に大して丹念に考察を重ねている。もちろん、科学的根拠というよりは筆者が復刻する過程で感じた感情を元にした考察もあるため正確な推論となっているかは疑問が残るが、逆にそれが読者を渡辺氏本人の経験を追体験させる効果を生んでいる。長崎県美術館で渡辺千尋展を開催しており、実際の版画と復刻版を並んでみることができたのもよかった。

Posted byブクログ