クラシックレコードの百年史 の商品レビュー
個人的には興味深く楽しく読めたが、この本は、初心者向けではなくマニア向けであるため、数多の音楽家や、レーベル名、プロデューサー名を聞いたことがない様な人は楽しめないだろう。 本書の構成は三部に分かれており、第一部の「巨匠たちの歴史」が半分を占める。第二部と第三部はそれぞれ、記念...
個人的には興味深く楽しく読めたが、この本は、初心者向けではなくマニア向けであるため、数多の音楽家や、レーベル名、プロデューサー名を聞いたことがない様な人は楽しめないだろう。 本書の構成は三部に分かれており、第一部の「巨匠たちの歴史」が半分を占める。第二部と第三部はそれぞれ、記念碑的名盤100枚と迷盤20枚の紹介である。第二部と三部は文字サイズが小さくなるので、文字数としては名盤・迷盤紹介の方が多いくらいである。 第一部の内容はレコード(CDも含める)産業の勃興と衰退を描く。カルショーやレッグなどの名プロデューサーや、カラヤンらの音楽家、音楽産業の仕掛け人たちの内幕を描く。 第二部と第三部も名盤・迷盤紹介の形を借りた内幕ものと言っていいだろう。演奏自体の批評よりも録音時の裏話の方が多い。 全体を通して業界人しか知り得ない内幕ものは読んでいて面白いのだが、文章は毒を含んだ書き方で、ゲイだの薄毛だのといった必要以上の中傷や皮肉も多いのが人によっては鼻につくかもしれない。例えば、ホロヴィッツは「ユダヤ人でゲイで総合失調症」と書かれているし、カラスのライバルであったテバルディの紹介では、「テバルディはカラスより一歳年上で、億万長者とは結婚も肉体関係も持たず、リハーサルに時間通りに現れ、嬉々として歌った」といった具合である。 記念碑的名盤100の選出基準は、最も優れたレコードではなく、レコード史に大きな足跡を残したレコードなので、「レコ芸」の「名曲名盤」や、「不滅の名盤」等でおなじみの名盤とはかなり違うものになっている。フルトヴェングラーの「バイロイトの第九」が選ばれていない一方で、良く売れた、シロス修道院合唱団の「グレゴリアン・チャント」や、「三大テノール世紀の競演」といったものも選ばれている。私は名盤は28枚、迷盤は5枚所有していた。本書を読んで、新たに欲しいと思ったアルバムはなかった。
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レコード会社の、内幕物だが、門外漢にわかりやすいような、イントロダクションがないので、わけがわからなくなる。イントロダクションがいらないような、マニアックを読者に想定している。
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