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小学4年生の世界平和 の商品レビュー

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16件のお客様レビュー

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2014/09/06

外国の教育実践の取り組みを読んだのは初めて。ワールドピースゲームという教材の話はもちろんの事、それを取り巻く子ども達の様子や心の動きが盛り込まれていて、読み物としても面白かった。 それにしても子ども達のレベルが往々にして高い。

Posted byブクログ

2015/04/04

世界平和のための想像力 これはアメリカ黒人教師のライフワークの記録です。彼が30年以上続けているワークショップがある。それは「ワールド・ピース・ゲーム」。ゲームの中で子供達は4つの国の首相や大臣、国連事務総長や世界銀行総裁となり、世界に迫る50の課題を解き、すべての国の経済を成長...

世界平和のための想像力 これはアメリカ黒人教師のライフワークの記録です。彼が30年以上続けているワークショップがある。それは「ワールド・ピース・ゲーム」。ゲームの中で子供達は4つの国の首相や大臣、国連事務総長や世界銀行総裁となり、世界に迫る50の課題を解き、すべての国の経済を成長させ、平和に導かなければ、ゲームに勝利しない。他に2つの少数民族に武器商人、秘密の破壊工作員、はたまた気象の女神(気象現象や戦争の勝敗などで賽をふる)までいて、さながら国際政治の縮図のようだ。課題も環境破壊、貧困、民族紛争に原発問題・・・。すべての問題が複数の国に跨がっていて、問題を見ただけで悲鳴をあげそうだ。しかし、今まですべての子供達が最後には勝利を勝ち取っている。そのプロセスは一様ではなく、またピンチの連続だ。自分を過信して、世界を自分の力で掌握できると思い、失敗する子供もいる。その挫折で自分を発見し仲間に再び受け入れられる。普段はもの静かで行動も遅い子が、ある時ゲームの状況のすべてを掌握し、一気に解決策を提示することもある。子供達が最後に手に入れるのは集団的英知だという。最初はバラバラだったクラスメイト達が課題に取り組むプロセスで、心を一つにして解決策を導きだしていく。だれも答えを知らない課題に取り組み自分たちの解をみつけ出す。そこには世界平和を生み出す想像力がある。しかも彼らは小学4年生だ。考案者のジョン・ハンターが何よりも大切にするのは、エンプティスペースだ。その目的は「まだ見えていないもののために場所を空けておいてやること、可能性や潜在能力が生まれる余地を与えるため」である。「充実と空隙、決まった枠組みと自由さ、知識と創造性など」の両方が必要であるという。このエンプティスペースこそが子供達を集団的英知へと誘って行く。日本でもこのような教育は実践できないのだろうか?「ワールド・ピース・ゲーム」は、何よりもジョン・ハンターその人の英知によっているところが大きいのであるが、そう願わずにはいられない。

Posted byブクログ

2014/07/14

この本ほど、読み手が試される本も無いと思う。浅く読めば教育実践ストーリー。だがその深さは読み手次第でどこまでも深くなる。私は、今まで読んだ本の中でも相当上位に来ると思った。「ワールド・ピース・ゲーム」を9歳の子ども達と繰り返し、現実の地球さながらの難題や争いが起こり、全体の平和と...

この本ほど、読み手が試される本も無いと思う。浅く読めば教育実践ストーリー。だがその深さは読み手次第でどこまでも深くなる。私は、今まで読んだ本の中でも相当上位に来ると思った。「ワールド・ピース・ゲーム」を9歳の子ども達と繰り返し、現実の地球さながらの難題や争いが起こり、全体の平和と繁栄を目標に、苦悩や歓喜が巻き起こる。それを見ている著者・教師の目を通して語られる、子ども達の洞察・行動・選択と彼の思い。 私の場合は読みながら、宮沢賢治は出てくるし、孫子の兵法の下りでは黒田官兵衛、かつてのセミナーの数々のゲーム、世界の首相たち、平和のために闘ってきたリーダーや名も無き人たち・・・思いが広がりすぎて、実にエキサイティングな読書だった。決して単純に世界平和のために頑張りましょう式の公式解法ではなく、答えのみつからない状況・人間の暗い面をも組み込んだゲームだからこそ、学びの大きいものに設計されている。 いつか、やってみたいな。

Posted byブクログ

2014/06/27

アメリカらしいというか。TED受けしやすい内容 だと思いました。小学生が世界平和に対して真剣に 対峙してあらゆる問題を解決していく。という あまりにお手軽な内容のような部分もあります。 所謂日本でいうと、なんでもかんでも大学生を 読んできて、地域のコミュニティーを作って というや...

アメリカらしいというか。TED受けしやすい内容 だと思いました。小学生が世界平和に対して真剣に 対峙してあらゆる問題を解決していく。という あまりにお手軽な内容のような部分もあります。 所謂日本でいうと、なんでもかんでも大学生を 読んできて、地域のコミュニティーを作って というやつとあまりかわらない部分も感じます。 でも。一方では、教育の素晴らしさ。大切さ。 教育の本質。は非常によく語られている 本だと思います。今個人的に感じているのは 仕事上の閉塞感について解消するポイントは教育だと 思っているこのごろです。

Posted byブクログ

2014/05/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

戦争・民族問題・地球温暖化・エネルギー不足等の問題を抱える「地球」を4つの国の首相・閣僚、少数民族、世界銀行や国連、武器商人、破壊工作員、気象や株式市場など無作為に変動する現象を司る気象の神の役割を担った小学4年生がシミュレーションするボードゲームの話。(これまで自身ですら認識していなかった)創造力と集合知を発揮して解決していく様を開発者であり教師の目線で振り返る。大人でも解決できなさそうな難問を前に打ちひしがれる子供。ついつい口を出したくなるけれどもそこをぐっと我慢すると思いもよらない案が出てくるのだ。「ワールドピースゲーム」は知識を伝える教育では学べない貴重な体験が子供たちの才能を見出し伸ばしてくれる素晴らしいツールだ。

Posted byブクログ

2014/05/12

 タカラトミーの「人生ゲーム」がアメリカン・ドリームの追体験だとすると、米国の黒人教師が小学4年生の教材として開発した「ワールド・ピース・ゲーム」は、夢破れた世界で生じる紛争や貧困を集合知を頼りに解決する盤上演習だ。本書は、ゲームによる児童の学びや成長を教師が記録したノンフィクシ...

 タカラトミーの「人生ゲーム」がアメリカン・ドリームの追体験だとすると、米国の黒人教師が小学4年生の教材として開発した「ワールド・ピース・ゲーム」は、夢破れた世界で生じる紛争や貧困を集合知を頼りに解決する盤上演習だ。本書は、ゲームによる児童の学びや成長を教師が記録したノンフィクション。  子供たちは4つの架空の国、2つの少数民族、国連などの国際機関の構成員としてゲームに参加。教師が仕組んだ数々の危機を克服し、いずれの国、民族の富も増やす。これが「あがり」。1ゲームに10コマの授業が充てられる。  女神のダイスで自然災害や国境紛争も頻発。児童は混乱のなかで決断し、時に手勢を戦死させ悩む。そんなとき教師は孫子「兵法」を参照し、大局的解決を促す。解決手段には軍事的威嚇も含まれる。首相に指名された児童は裁量権を持つが、独裁的な行動が目に余れば閣僚がクーデターを起こすこともできる。戦争と平和をめぐる駆け引きにのめり込む教室の息づかいが聞こえてきそうな筆致がいい。  圧巻は、ゲームに関心を持ったペンタゴンに児童が招かれ、オバマ政権のパネッタ国防長官と会談する場面。著者は名誉に浮かれることなく、「戦争の殿堂」が招待した意味も考察する。著者の人間的魅力が伝わる。伊藤真訳。 (KADOKAWA・1600円)

Posted byブクログ