ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか の商品レビュー
よくできたドキュメンタリー。NHKの底力を感じさせられ、丁寧な取材を行っていることがよく伝わってくる。出版直後に読んだが、いまよんでもおもしろい。 とはいえ、やはり最後は物足りない。興味深いと思う事例、やや疑問を感じる事例など、さらに深く確認したいと思っても、元となる文献などの資...
よくできたドキュメンタリー。NHKの底力を感じさせられ、丁寧な取材を行っていることがよく伝わってくる。出版直後に読んだが、いまよんでもおもしろい。 とはいえ、やはり最後は物足りない。興味深いと思う事例、やや疑問を感じる事例など、さらに深く確認したいと思っても、元となる文献などの資料が一切ついていない。どこどこ大学の〇〇先生がこう言っていたということばかり。元が全て取材によるものだから仕方がないのは分かるのだが、そのあたりが、こうしたジャーナリストさんによる出版の限界。
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NHKスペシャルの番組の取材を書籍にしたものだ。NHKスペシャルは『沸騰都市』や『ヤノマミ』など書籍化されるものも多い。NHKスペシャルのような人と手間をかけた作品においては映像と書籍とは、相補的な関係にある。枠が決められた放送番組だけでは伝えきれないものを書籍で伝えることができ...
NHKスペシャルの番組の取材を書籍にしたものだ。NHKスペシャルは『沸騰都市』や『ヤノマミ』など書籍化されるものも多い。NHKスペシャルのような人と手間をかけた作品においては映像と書籍とは、相補的な関係にある。枠が決められた放送番組だけでは伝えきれないものを書籍で伝えることができる。また文字だけで伝えられないことを映像で表現することができる。たとえば『ヤノマミ』はまさしくそのような作品であった。 「この本は、人類の壮大な歴史のなかに、私たちの心の進化を追いかけるものだ」 グレート・ジャーニーと呼ばれるアフリカからの出発と全地球規模の人類の拡散。この過程において、人間の心はどのように発展していったのだろうか、というのがこの作品のテーマだ。『イヴの7人の娘たち』などの書籍でも一般的になったが、現生人類は5万年ほど前に東アフリカの大地で生活をしていた非常に少ない数の人類から全世界に広がったと言われている。その中で、人類の攻撃性と協調性とがどのような役割を担ったのかが提示される。 本書のひとつの大きなトピックは、現生人類とネアンデルタール人の交流と比較だろう。ネアンデルタール人がなぜ滅亡をしたかについて定説は確立していない。本書でも挙げられているように、現生人類に対する単なる種としての優劣ではなく、多くの原因が重なったものだろう。本書では、現生人類が最終的に生き残った想定要因のひとつとして、投擲具の利用を挙げている。ネアンデルタール人は、その大柄な体格から必要がなかったのではないかと。また、その事実が現生人類の持つ攻撃性の問題につながる。 いずれにせよ、彼らが現生人類の祖先と遭遇したのは確実であるようだ。ある研究によるとアフリカ以外の人類で1~4%の遺伝子がネアンデルタール人と共通しており、異種交配の可能性を示しているとのことだ。それは真実なのだろうか、またそれは進化の過程においてどのような影響があったのだろうか。まだまだ分からないことがたくさんあるということはある意味ではよいことだ。 人間の持つ攻撃性については、なぜ人類が全地球規模に広がっていったのかという考察にもつながる。ひとつの要因として、子どもが増えたときに食糧不足の原因もあるだろうが、本来的に持つ攻撃性によるグループ間の戦いの結果として、あるグループが別の場所を探していったということが継続的かる広範に起きたということも理由としてあるのかもしれない。コンピュータシミュレーションでも、身内に対して利他的で、対外的に非友好的なグループが最終的に優勢になったという結果も紹介されている。もちろん、こういうシミュレーションはルールの設定にも依存してしまうので拙速に結論を出すべきではないのだが。 「意識しようがしまいが、人間のなかには、闘争に駆り立てられる生理的な仕組みがある。その仕組みはなぜ、私たちに広く組み込まれることになったのだろうか」 放送は4回にわたって行われた。章立てと同じく、助け合いについて、投擲具(=攻撃性)、農耕(定着と摩擦)、貨幣(交換と不平等)の登場をキーテーマとして展開される。おそらくは番組制作の企画段階で練られたものだと想定するが、結論ありきで仮説を集めているところもある。目的のひとつでもあるのだろうが、取材の過程に割かれるパートも多く科学書としてはやや物足りない。たとえば、 「そもそも類人猿の社会は、優劣がはっきりした階級社会で、平等ではない。人類の遠い祖先もおそらく不平等の社会をつくっていたはずだ。つまり平等主義に基づく社会は、人類が誕生し、その進化の過程で築きあげたものなのだ」 格差社会批判をやりたいとも取れるが、考察がやや足りていないように感じる。作品全体としてやや消化不足かなという印象だ。NHKスペシャルといった作品の可能性とともに限界が出ているように思う。ただ、NHKの資産としては何等か有益なものが残ったと思う。重要で興味深いテーマだと思うので、NHKさんには予算を付けてもらってこの先もまた何度か取り上げてほしい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
遺伝子の99%を共有するヒトとチンパンジー。その大きな違いは「共感性」にあるという。チンパンジーも「道具を渡す」という利他的な行動をすることはできるが、「貸してくれた御礼をする」とか「前に助けて貰ったからお返しをする」ということはできないらしい。人間が進化の過程で獲得した特性は「助け合うことができる」「分かち合うことができる」ということなのだ。 しかしその一方で、人間ほど同種間で殺し合うものもいない。その矛盾を解き明かしていく試みは興味深い。 人間を闘争的にするテストステロンと、信頼し、共感することを促進するオキシトシンという、相反するふたつのホルモンが、我々の中では分泌されている。その働き如何で人間は殺し合ったり愛し合ったりの間を揺れ動きながら、現在まで何万年も生きてきた。 その矛盾した存在である私たちがこの先も生存できるかどうかは、そのバランスをいかに均衡させるかという心の持ちようなのかもしれません。
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人間が一番進化して、もっとも優れた知性を持つという見方自体、松沢さんは否定する。それは、「人間中心の世界観」だというのだ。その世界観のなかでは、自ずと人間が一番賢く、チンパンジーは劣った存在だということになってしまう。しかし、どんな生き方、どんな環境でも優れた知性というようなもの...
人間が一番進化して、もっとも優れた知性を持つという見方自体、松沢さんは否定する。それは、「人間中心の世界観」だというのだ。その世界観のなかでは、自ずと人間が一番賢く、チンパンジーは劣った存在だということになってしまう。しかし、どんな生き方、どんな環境でも優れた知性というようなものは存在しない。安易な優劣論議は無意味なのだ。 A,4,K,7 母音のカードの裏にはいつも偶数 16歳,コーラ,22歳,ビール 20歳未満はアルコール禁止のルール違反 バンダー数 脳みそのサイズから計算した一度に築ける集団のサイズ テナガザル=15 ゴリラ=34 オラウータン=65 ヒト=148 自分の子どもの未来を詳細に想像する、自分以外の誰かの将来に思いを馳せる、これを未来と呼ぼう そもそも類人猿の社会は、優劣がはっきりした階級社会で、平等ではない。人類の遠い祖先もおそらく不平等の社会をつくってきたはずだ。つまり平等主義に基づく社会は、人類が誕生し、その進化の過程で築きあげたものなのだ。そこまでして、不平等を排し、平等社会を築いた理由は明確だ。そのほうが進化上、有利だったのだ。 いま、われわれが、どこかに価値の基準をさだめ、自分自身を停泊させようとしても、その座標軸自体が動いていってしまう。価値の基準が動きてしまうから、選択したことの意味を自分に確証する方法がない。
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聖地 アイルランド火山噴火2010 南アフリカケープタウン 洞窟 化粧 象徴 首飾り ペンタゴン 笑顔 チンパンジー 袂を分かつ 自他の落差の認識 報酬回路 協力と対立の両方向へ作用 チンパンジーのフィールド調査 隣接集団の弱者に対して相当な暴力で対応 凄絶な闘争を勝ち抜いた者た...
聖地 アイルランド火山噴火2010 南アフリカケープタウン 洞窟 化粧 象徴 首飾り ペンタゴン 笑顔 チンパンジー 袂を分かつ 自他の落差の認識 報酬回路 協力と対立の両方向へ作用 チンパンジーのフィールド調査 隣接集団の弱者に対して相当な暴力で対応 凄絶な闘争を勝ち抜いた者たち 本来の攻撃性が牙を剥いた 黒曜石 グレートジャーニーと呼ばれる大移動 南極を除く全ての大陸 出アフリカ ホモエレクトス北京原人ジャワ原人 丘陵きゅうりょう オーカー 似て非なる人類ネアンデルタール人 投擲具 弓矢 必要は発明の母 飛び道具 スポーツハンティング アボリジニ銃殺 ウーメラ 制裁用の槍 イニシエーション 通過儀礼 フリーライダーただ乗り アミメアリ アトラトル カラシニコフ 相互作用 投げるという行為は人間に特有の行為 鉄砲魚 贈答品ぞうとうひん 150人の集団 被捕食者が減っても、自らが減ることはありません 身内か否かの判定が闘争心鍵になっているメカニズム コムギ パプアニューギニア 豚の生姜焼き 闘争を駆り立てるテストステロン 信頼関係を構築していくためのオキシトシン 憂えてない 瞬間記憶 チンパンジー 知性のトレードオフ仮説 我々人間とは随分と違う心の世界を生きている 達観は、希望と絶望の交錯の果てにしかない 福音ふくいん コインによって、人類の欲望に日がついた。 際限のない欲望が暴走 欲望はフロンティアを求めて漂流している 1970〜2010の間に世界人口が2倍になるという人口爆発 ヒトゲノムの進化 人間とは、心を動機として行動する生き物 グリーンランド氷床コア10万年 農耕の定着 超安定期 SNS150 行動経済学 人間がどう動くか考えないで総論ばっかり唱えても物事がうまくいかない 戦略を練るには敵を知ることが必須だ。この場合の敵は自分自身の心である。 生物的にそうなっているから、そうしなければいけないという話ではないのだ。 谷川俊太郎こころの色
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人とは何かを知るために、類人猿の過去から現代の資本主義を形作る貨幣経済の誕生までの歴史を追うドキュメンタリー。 同名のテレビ番組の書籍化。
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