リニア新幹線 の商品レビュー
リニア新幹線の実像は、ほとんど知られていません。全区間の七割が地下走行で、車窓は真っ暗。遠隔操作で運転手不在。乗り換えは不便で、安全対策も環境対策も穴だらけ。中間駅建設は地元負担。これでいいのか検証します。
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[ 内容 ] 最高時速五〇〇キロ超で、東京・大阪を一時間で結ぶ“夢の超特急”リニア新幹線。 しかし、その実像は、ほとんど知られていない。 全区間の七割が地下走行で、車窓は真っ暗。遠隔操作で運転手不在。 乗り換えは不便で、安全対策も環境対策も穴だらけ。 中間駅建設は地元負担。新幹線...
[ 内容 ] 最高時速五〇〇キロ超で、東京・大阪を一時間で結ぶ“夢の超特急”リニア新幹線。 しかし、その実像は、ほとんど知られていない。 全区間の七割が地下走行で、車窓は真っ暗。遠隔操作で運転手不在。 乗り換えは不便で、安全対策も環境対策も穴だらけ。 中間駅建設は地元負担。新幹線の三~五倍の電力を消費。 そして、二〇四五年(予定)の全線開通時には人口が二四%減少するにもかかわらず「移動需要は今より一五%増える」という不可解な試算…。 本当にこんな巨大インフラは必要なのか、徹底的に検証する! [ 目次 ] 第1章 リニア計画はなぜ生まれたのか 第2章 なぜリニア中央新幹線をつくるのか 第3章 どのようにつくるのか 第4章 過去の“失敗プロジェクト”に学ぶ 第5章 経済性を検証する 第6章 技術面、環境面から検証する 第7章 リニア計画の“終着駅” 第8章 リニア計画の政策決定の在り方を問う [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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リニア中央新幹線計画の是非を、過去の失敗プロジェクト例の紹介、経済性、技術、環境面での検証、完成したらどうなるか、政策決定のあり方といった角度から考えている。新書なのでざっくりとした書き方に留まっているのが、要旨はこれで十分わかる。
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JR東海の自社投資計画で報道もあまりされないが、リスクが高すぎる。工事や運用の技術、財政計画、収支予定、環境負担などざっと見ても問題山積。失敗は国家的損失となるだけに、事前評価をもっと徹底すべき。 日本の技術ってすごいんだね、くらいの感覚でしたが、かなり危ない計画であることを知...
JR東海の自社投資計画で報道もあまりされないが、リスクが高すぎる。工事や運用の技術、財政計画、収支予定、環境負担などざっと見ても問題山積。失敗は国家的損失となるだけに、事前評価をもっと徹底すべき。 日本の技術ってすごいんだね、くらいの感覚でしたが、かなり危ない計画であることを知りました。
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日本技術を象徴する最新旅客機、リニア。東京・大阪間をわずか1時間でつなぐ夢の乗物だ。変化する現代社会において、スピードは正義であり、総理大臣も国民も皆が望んでいる。 そりゃ確かに遅いよりも速い方が良いに決まっている。が、問題はそのスピードを達成するための準備だ。リニア鉄道を敷く...
日本技術を象徴する最新旅客機、リニア。東京・大阪間をわずか1時間でつなぐ夢の乗物だ。変化する現代社会において、スピードは正義であり、総理大臣も国民も皆が望んでいる。 そりゃ確かに遅いよりも速い方が良いに決まっている。が、問題はそのスピードを達成するための準備だ。リニア鉄道を敷くための工事に10兆円。走行時の電気消費量は東海道新幹線の5倍。さらに、ほとんどトンネルを走行するため、安全管理費もバカにならない。スピードのための犠牲が大きすぎるのでは。しかも、リニアを運営するJR東海としては、自社のドル箱路線である東海道新幹線の顧客を奪うことになる。 これだけの大プロジェクトをJR東海1社だけで本当に実現し、経営できるのか。著者はリニアの採算性について「ない」と断言する。2013年JR東海社長も「リニアだけではペイしない」と発言する。 なぜリニアなのか。世界に先駆けてリニア先進国になろうとする日本は、逆になぜ日本以外の国ではリニアを走らせないのかを考えるべきだ。完成してしまえば需要があるだろうと、甘い見積もりで作られ、赤字を垂れ流している橋や道路を反面教師とする心意気が今こそ求められる。
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報道によれば新年度となる数日後の2014年度からリニア新幹線の着工が始まるようです。 最近は多くの公共工事が成功していない中で、最も成功している例が東海道新幹線のようですね。その運営主体であるJR東日本が相当の覚悟(総工事費が9兆円以上)をもって工事にとりくむようです。 この...
報道によれば新年度となる数日後の2014年度からリニア新幹線の着工が始まるようです。 最近は多くの公共工事が成功していない中で、最も成功している例が東海道新幹線のようですね。その運営主体であるJR東日本が相当の覚悟(総工事費が9兆円以上)をもって工事にとりくむようです。 この本では、数あるリニア礼賛本とは一線を画して「人口減少となる日本において果たしてスピードに拘った、リニア新幹線を建設する必要があるのか」を、経済面・技術面・環境面から検討しています。 特に、経済性の試算は綿密な調査をふまえて、何ケースかに分けて行っています。採算を取ろうとすると、現在黒字を出している「現行新幹線」の旅客が移動することを前提にして、さらに他の移動手段からの需要が増えることが起きないと難しそうという結論です。 これが人口減少(特にビジネス使用する生産年齢人口の減少度合いが激しい)のなかで達成されるか、この本を読んでその難しさを感じました。 東海道新幹線は成功したけれど、リニア新幹線は、東京湾岸道路・コンコルド等と同じ悪名高い失敗例にならないように、計画を見直す勇気を持って欲しいと思いました。 更に、この本では批判だけでなく、代替案である、新幹線方式による中央整備新幹線への変更、つまり、1)リニア計画の自主的な凍結、中止、2)技術進歩が期待できる在来型新幹線(p174)を提言しているのも良かった点です。 以下は気になったポイントです。 ・従来の鉄道と決定的に違う点は、膨大な電力を使う、他の路線への乗り入れがまったくできないこと、これは柔軟なネットワーク性を持つ在来鉄道と比較すると大きな弱点(p21) ・正しい目的とは、必要性・妥当性があり、多くの人に納得されること、JR東海があげた3つの目的とは、1)輸送力限界のための増強、2)老朽化・経年劣化や大規模災害に対処、3)移動短縮のための高速化、をあげている(p28) ・輸送力の実態を確認できるデータは、新幹線座席利用率、2009年以降は50%台(p30) ・既存の鉄道との乗り換えが15分程度で可能なのは、相模原市の橋本駅のみ、またリニア中間駅に停車する運行本数は、毎時1本程度なので乗降客は限定される(p38) ・1キロ当たりの建設単価で見ると、計画ベースで206億円で、ほかの整備新幹線の2.5-3倍の建設費が必要、初期投資が大きすぎると開業後の長期採算にとって致命的足かせとなる(p46) ・これまでの整備新幹線と異なるのは、1)全額JR東海の負担で建設して運営、2)リニアという新しい走行方式(p50) ・コンコルドの赤字の原因として、1)高い騒音のため各空港から受け入れ拒否、2)1席あたり通常の航空機の6倍という燃費の悪さ(p73) ・正しい目的(必要性・妥当性・納得性)と最適の手段があってはじめて成功する(p81) ・需要が本当に予想通りになるか疑問、慎重な見方をしているJR東海でも19.4%増加の529億人キロである、現在でさえ座席利用率が60%程度なのにさらに伸びるだろうか(p100) ・新幹線移動需要の大半を占める生産年齢人口は、2011年の8130万人から、2050年には5100万人まで減少する(p101) ・2013.9.18に、JR東海社長が記者会見において、東海道新幹線の収入で、リニア建設費をまかなっていけるとコメントした(p124) ・電磁波でリニアが問題視されるのは、速度を制御する周波数の変化によって、電磁波の強さがどのように変化するか、人体に影響するか完全に解明されていない(p137) ・16両編成で時速500キロ走行の場合、新幹線の4-5倍の電力が必要である(p139) ・リニアが大電力を必要とする理由、1)走行中の空気抵抗が速度の2乗に比例、2)走行エネルギーも速度の2乗に比例、3)車両重量に比例してエネルギーが必要となる(p140) 2014年3月30日作成
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※このレビューにはネタバレを含みます
言っていることがめちゃくちゃ。 論証が論理的でない。 86ページの一覧表を見れば、この著者が都合のいいように論証し、ダブルスタンダードであることが明らか。 国鉄末期に老朽車の放置などの記載は、国鉄時代が慢性的な車両不足にあったこと、新幹線開業による旧客等の淘汰等事実と明らかに異なる。 リニアは、新幹線の代替性としては大きなメリットがあるが、貨物輸送が出来ない旨の記載も、そもそも、新幹線自体貨物輸送ができない。 最後の方になると、JRに貨物車両の所有を義務づけるなどの記載もあり、貨物を牽引する機関車はどうするのか。 そもそも本州のJR三社は完全民営化されているから国が口出しできない(国が口出しできないようにしたスキームが分割民営化)。 リニアが在来線と接点がないのは、JR他社が経営する並行在来線の問題を回避するためなのに、そのような検討もいっさいされていない。 このように基本的な部分での誤謬が認められる。
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