疑問が解ける放射線・放射能の本 の商品レビュー
正しい批判のためには正しい知識が必要である。自然からの放射線と人工的に発生した放射線は同じものであるという全くの基本的なことから、被曝許容量の指標の成り立ちのようなかなり深いところまでをQ&A形式で解説している。普通に生活しているだけでも相当量の被曝をしていたり、体内に...
正しい批判のためには正しい知識が必要である。自然からの放射線と人工的に発生した放射線は同じものであるという全くの基本的なことから、被曝許容量の指標の成り立ちのようなかなり深いところまでをQ&A形式で解説している。普通に生活しているだけでも相当量の被曝をしていたり、体内には食品などからにより放射性物質が蓄積されているということが分かりやすく説明されている。また、放射能に関する”都市伝説”の元ネタともいえる様々な指標の誤解についても解説している。 健康への影響に関する章はかなり衝撃的である。白血病、がんなどの健康被害は、放射線よりもむしろ喫煙やそのアスベストなどの化学物質のほうが影響が大きい事が示され、さらに『呼吸による酸素の影響は、1年間にほぼ300ミリ・シーベルトの放射線被ばくの影響に相当すると評価されている』というにわかには信じがたい指摘もあった。 放射能を極度に怖がったり、間違った知識で脱原発を主張しているような人たちに対する皮肉を織り交ぜつつ説明しているが、そこには正しい説明をしなかった時の政府である民主党やマスコミ、”専門家”に対してかなり苛立っていることが伺えた。 余談であるが、放射線・放射能に付いて大声で騒いでいる人達が無知で良かったと言えることがある。それは原発の放射線は有害であるが、そうでないものは有害ではないという誤った認識である。もし、正しい認識、つまり原発の放射線もそうでないものからの放射線も同じである、という認識を持っていたならば、今頃病院は打ち壊され、温泉は埋め立てられていたに違いない。
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