コンプリケーション の商品レビュー
不気味な幻想タッチで、まさかのオカルト系ホラーなのかとドキドキしたけど、そうきたか!驚愕のラスト。期待していたアクション系とは違ったけど、これはこれで楽しめました。
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5年前の弟の死の真相を知るという女性の手紙に導かれてシカゴから向かったプラハでの3日間。鍵となるのは盗まれた16世紀のコンプリケーション時計。共産党時代の国家秘密情報局尋問調書と共産主義者犯罪記録捜査警察局の報告書、ナチス侵攻前夜のユダヤ人骨董商の手紙、錬金術師の伝説などが次々と物語に絡みついてくる。「チェコ人を誰か知ってるか」「カフカ」。不穏な出会いにボロボロになりながらもゴールは見えず、ミステリというより、まさに「城」。最後のどんでん返しを受け入れない主人公自身がどんでん返しの一部となって読者を惑わす。
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とても難解でシュールな感じである。しかりオリジナリティは凄いので、新人作家のそういう切れ切れな感性のようなものを味わいたい向きにはフィットする作品であるのかもしれない。 舞台はプラハ。アメリカの作家がなぜこのようにマイナーな都市を舞台にこのように奇妙なストーリーを作ろうと考...
とても難解でシュールな感じである。しかりオリジナリティは凄いので、新人作家のそういう切れ切れな感性のようなものを味わいたい向きにはフィットする作品であるのかもしれない。 舞台はプラハ。アメリカの作家がなぜこのようにマイナーな都市を舞台にこのように奇妙なストーリーを作ろうと考えたのかはよくわからないが、コンプリケーションと呼ばれる作品タイトルにもなっている錬金術師が作った皇帝の時計と同様に、意外な道具立ての一つなのかもしれない。 主人公は父の遺品の中に、幼い頃死んだ弟のポールが実は洪水で溺れ死んだのではないとの手紙と四時間後に飛び立つ父名義のプラハ行の航空券を見つけ、手紙の差出人である女性に会いに慌ててプラハに向かうという発端から展開してゆく。もちろんプラハでは、思いもかけぬミステリアスな冒険と迷宮と宿命とが彼を待ち受けていたのである。 『プラハ自由自在』という謎のガイドブックを片手に、謎の少女や元刑事、連続殺人犯などの横行する幻想的世界に入り込む文脈は奇妙でありながら意欲に満ちている。あまりの混沌と錯綜に難解さを感じるほどの小説であり、唐突に切り取られ提示される調査報告書や供述調書とのつながりを含めて、仕掛け時計のような構成の小説である。 悪夢のような通路を走り抜けてゆくと思いもかけぬラストで印象深く終わってゆくという、最後には人間の心の迷宮にまで踏み入ってしまうというニヒルなテクニックに満ちた本書はエドガー賞のペイパーバック部門の候補作にあがる作品であるそうな。 ポケミスとしては冒険心に満ちた出版だったと思うが、たまにはこうした跳躍のような出版も悪くないか。
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レビュー記事に惹かれて半信半疑でTRYしたらイヤな予感が当たったパターン。 序盤は面白かったが、プラハへ飛んだあたりからストーリーは迷走を始める。途中、取調記録や手記やらを挟み、もはやどっちの方向へ向かってるのかわからなくなる。プラハの描写は当初はガイドブックっぽく思えたのだが...
レビュー記事に惹かれて半信半疑でTRYしたらイヤな予感が当たったパターン。 序盤は面白かったが、プラハへ飛んだあたりからストーリーは迷走を始める。途中、取調記録や手記やらを挟み、もはやどっちの方向へ向かってるのかわからなくなる。プラハの描写は当初はガイドブックっぽく思えたのだが、この迷走ぶりが功を奏したのか、ガイドブック色は消え、不思議な世界観を伴った町並みへと変貌していく様はなかなか面白い。 ミステリとして見ると、徐々に破綻していく展開なので、そっちへの過度な期待はしない方が無難。サプライズが用意されているけれども、途中からのキナ臭さが半端じゃないので、勘のいい読者には見通せそう。それよりも、いろんなネタを放り出せる作者の潔さ(?)に驚愕。 口直しが必要だー。早く次の一冊を読もう。
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