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茶道の稽古場 役立つ100の知恵 の商品レビュー

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2014/09/30

著者は昭和3年生まれ。裏千家14代無限斎(淡々斎)、15代鵬雲斎に学び、50年もの間、自身も稽古場を構えて茶道を教えてきた人です。 本書は、『茶の湯稽古場日誌』という別の本に、一部、他からの抜粋を加えて再構成したものです。茶の稽古に役立つあれこれを100の短文で指南します。 裏...

著者は昭和3年生まれ。裏千家14代無限斎(淡々斎)、15代鵬雲斎に学び、50年もの間、自身も稽古場を構えて茶道を教えてきた人です。 本書は、『茶の湯稽古場日誌』という別の本に、一部、他からの抜粋を加えて再構成したものです。茶の稽古に役立つあれこれを100の短文で指南します。 裏千家の点前自体の話も含まれるため、他流であったり茶道と関わりがなかったりといった人にはちょっと、と思われる部分もあります。 ただ、全体としては、茶道の歴史や道具について、また、もてなしに向かう心構えといった話も多く、個人的にはとてもおもしろく読みました。茶道具を作る千家十職や、和菓子の話、季節の行事の由来など、知らない話もあって勉強になりました。 稽古にあたって知っておくと便利な豆知識的なものもありますが、もっと深い「知恵」も含まれているようにも感じます。 お茶の「先生」として半世紀を過ごしてきた人の「奥行き」を感じさせつつ、「当たり」が柔らかい。気さくな先生のお話をふむふむと聞いているうちに知識が得られるといった体裁です。 14代宗匠の「お茶は何のために稽古するのか」との問いに、恥をかかないためであり、自分自身の修行であると思っていた著者。宗匠の答えは「人様に恥をかかせないように稽古するのだよ」でした。 人をもてなすためにはまず自身が心身ともに健康でなければならず、人の心に添っていく気遣いが大切というところでしょう。 なかなか一朝一夕ではいかないところではあり、そのための稽古でもあるのでしょうね。 今年3月に出た新刊だったので、読み終わるまで著者が故人とは気づかす、5年前に亡くなっていた旨の添え書きを読んで、何だか胸を突かれました。 凛としつつもどこか慕わしく「かわいらしい」雰囲気もある先生だったのではないかなぁ・・・。 *井伊直弼の『茶湯一会集』の引用があります。井伊直弼といえば安政の大獄・桜田門外の変のイメージが強いですが、茶人としても一流だったようで。こちらは岩波文庫でも出ているようなので、機会があったら手に取ってみたいと思います。

Posted byブクログ