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キャプテンメッシの挑戦 の商品レビュー

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2014/03/23

 まず、このような質の高いサッカー本を日本人が書いてくれるということに、感謝したい。本当に希有なことである。  海外サッカーを伝える多くの書籍は、日本にいる人が自分なりの解釈を伝えるものか、海外記事の切り抜きか、あるいは訳書となる。  訳書はどうしてもタイムラグが生じるし、他の二...

 まず、このような質の高いサッカー本を日本人が書いてくれるということに、感謝したい。本当に希有なことである。  海外サッカーを伝える多くの書籍は、日本にいる人が自分なりの解釈を伝えるものか、海外記事の切り抜きか、あるいは訳書となる。  訳書はどうしてもタイムラグが生じるし、他の二つはそこに存在する文脈を整理しきれないことがほとんどだ。  そうしたマイナス点無しに、現地の空気を的確に表現しながら身の詰まった内容を書いてくれる作家がいることは、本当に有り難いことである。  さて、この本はメッシがキャプテンマークを腕に巻いてから、いかにしてアルゼンチンにおいて受け入れられていったのか、代表が予選を突破するまでの二年間を通じて見守ったルポである。  コパでの敗戦前後においては、メッシはアルゼンチンにおいて軽んじられていたと言う記述にはたいそう驚かされた。それも説明を読めば、なるほどとうならされる。  作者自身も、メッシに対するやや否定的な視点が徐々に変化していくのだが、その変遷が丁寧に描かれていて、いたずらに感情的なことはなく、賛美に終始するのでもなく、実に冷静なルポタージュである。  良い本だった。掛け値無しの星五つである。  さすがはワールドカップイヤー。良質なサッカー本の発売が続いているよ。

Posted byブクログ