まいない節 の商品レビュー
一力小説では『くじら組』がお気に入りで、土佐の勇壮な鯨漁に魅せられた。その中で、鯨を見張る山見が「黒船」を確認する件が描写されるものの、その事件が物語の進展に影響なく消化不良だった。ここにそれを引き継いでくれた。主人公・佐吉が奉公する「献残屋」についても、つい先日読んだ『宝の山』...
一力小説では『くじら組』がお気に入りで、土佐の勇壮な鯨漁に魅せられた。その中で、鯨を見張る山見が「黒船」を確認する件が描写されるものの、その事件が物語の進展に影響なく消化不良だった。ここにそれを引き継いでくれた。主人公・佐吉が奉公する「献残屋」についても、つい先日読んだ『宝の山』でほやほやの知識を得ており、何やら嬉しい。寺田屋永承、ゑさ元後兵衛、吉羽屋政三郎、伊勢屋四郎左衛門、十間堀の利三、まあ善田屋昭兵衛も含めて、表社会に裏社会と舞台は違えども、したたかに生きる町人たちが一力節で描かれている。善悪問わず、信義にもとるふるまいをしでかす野郎には容赦ないぜ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
わたしは生業に貴賎はないなどと、おためごかしをお前に言う気はない。生業には歴然とした貴賎はある しかし佐吉、いかなる生業についていていようとも、器量は生業に左右されない
Posted by
面白かった。 悪役の悪人を、裏の世界に顔が利く人たちが協力して成敗!という感じ、かな。 でもちょっと悪を悪が裁く感じに矛盾を感じた(笑) 「献残屋とは、大名や幕臣の屋敷を回って進物を買い取り、転売するのが仕事。そんな献残屋のひとつ、寺田屋の手代・佐吉は、一本筋が通った男。得意先で...
面白かった。 悪役の悪人を、裏の世界に顔が利く人たちが協力して成敗!という感じ、かな。 でもちょっと悪を悪が裁く感じに矛盾を感じた(笑) 「献残屋とは、大名や幕臣の屋敷を回って進物を買い取り、転売するのが仕事。そんな献残屋のひとつ、寺田屋の手代・佐吉は、一本筋が通った男。得意先である浦賀奉行所の役人が抜け荷の片棒を担いでいることを知り、肚をくくって知恵を絞り、不逞の輩に挑んでいく。」 公な賄賂を斡旋している仕事をしている人が「不逞の輩に挑む」って・・・
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
6/13【十五夜読書会】で読了。大名や幕臣に賄賂として持ち込まれた進物などを買い取って転売する献残屋・寺田屋の手代・佐吉が、得意先である浦賀奉行所の役人の不正に巻込まれていく様を描く。静岡焼津の鰹節焼津節を使った賄賂の仕組みから物語は始まり、舞台は江戸深川から浦賀、三浦三崎、焼津へ展開するが、山本さんの他の作品の情景をただ繋いだ印象が強く、黒船ペリーの来航でお茶を濁した様な作品、役人の都合の悪い事は蓋をして隠す。タイトルの主人公となる「献残屋佐吉」は取次と傍観者の扱い。献残屋の仕事は理解できたが、後は中途半端。
Posted by
「起承転」まではいつもの山本節で文句なしだったんですが、「結」がなんともせわしなくって落ち着きませんでした。連載時はページ数の都合もあるでしょうから致し方ないとしても、単行本化するときはリライトして欲しかった。
Posted by
- 1