グラディーヴァ 妄想と夢 の商品レビュー
難しいところは一切ないので一気に読める。世紀末的な空気を如実に描き出しているのはいいとして、終わり方は実にちゃちい。浮世離れしすぎて斜向いの家に住んでる従姉妹をポンペイに蘇った貴婦人の亡霊と勘違いする研究者はいそうな気もするけど…。実はフロイトによる解説?の方が面白い。
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ドイツの作家イェンゼンの小説「グラディーヴァ」と、 それを精神分析的に評論した フロイトの「妄想と夢」のカップリング本で、 翻訳は種村季弘――なので、 既読『砂男(ホフマン)/不気味なもの(フロイト)』と 同趣向の一冊。 「グラディーヴァ」は 軍神マルスの異称で「進軍する者」を意...
ドイツの作家イェンゼンの小説「グラディーヴァ」と、 それを精神分析的に評論した フロイトの「妄想と夢」のカップリング本で、 翻訳は種村季弘――なので、 既読『砂男(ホフマン)/不気味なもの(フロイト)』と 同趣向の一冊。 「グラディーヴァ」は 軍神マルスの異称で「進軍する者」を意味する グラディーヴスの女性形の名前。 古美術館で甚く気に入ったレリーフの 石膏複製を作らせ、 独特の足付きを示すその乙女の像を 「歩み行く女」の意であるグラディーヴァと名付けた ノルベルトは、夢の啓示に従い、 彼女の姿を求めてポンペイへ旅立ったが……。 要は、研究に没頭するあまり 視野狭窄に陥った青年考古学者が 現実に着地するまでを描いた幻想小咄なのだが、 主人公の抑圧された記憶とエロティシズムを 浮き彫りにしようとメスを振るう、 ブラッディ・ジギーの解剖学講座――なんちゃって。 というか「無意識」も「抑圧」も何も、 あからさまに足フェチじゃないですかノルベルト君(笑)
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