パリの断頭台 の商品レビュー
家族も親族も基本処刑人という、家族経営の断頭チェーンを生み出したサンソン家。 下層民扱いでも収入は良く、ギヨタン博士が考案したギロチンによって仕事が機械化・効率化されます。 しかし、ギロチンの発明はフランス革命と恐怖政治という混沌の時代に重なったため、夥しい人命が感情的かつ事務的...
家族も親族も基本処刑人という、家族経営の断頭チェーンを生み出したサンソン家。 下層民扱いでも収入は良く、ギヨタン博士が考案したギロチンによって仕事が機械化・効率化されます。 しかし、ギロチンの発明はフランス革命と恐怖政治という混沌の時代に重なったため、夥しい人命が感情的かつ事務的に奪われました。 サンソン家はギロチンが無い時代から処刑を行っていましたが、機械化や助手任せが増えたことで精神的に弱くなっていたように思います。 7代続いた家業も個人的な堕落によって終わりを迎えます。 折角先祖が続けてきた家業を勿体ない…と思えない違和感が残ります。 リストラ後に孤独な田舎暮らしとなった最後の処刑人としてのサンソンに、質素ながら幸せな生活があったことを願います。
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サンソン家の年代記を通して見えてくるのは、フランス革命の進行とともに処刑方法が近代化していく様です。ギロチンによる処刑は当時の他の処刑法に比べて人道的なものでした。執行方法の平等、最小限の苦痛、処刑人の負担軽減などは画期的なことでした。処刑の公開は前近代的に感じることもありますが...
サンソン家の年代記を通して見えてくるのは、フランス革命の進行とともに処刑方法が近代化していく様です。ギロチンによる処刑は当時の他の処刑法に比べて人道的なものでした。執行方法の平等、最小限の苦痛、処刑人の負担軽減などは画期的なことでした。処刑の公開は前近代的に感じることもありますが、実際に執行されたことを国民に周知、証明する目的においては近代的だと思います。日本で公開処刑が行われなくなった後にも、フランスでは続いていた理由になるのではないでしょうか。しかしギロチンは、そのあまりの効率の良さのため多用されすぎました。発案者のギヨタンの理想とはかけ離れた使い方でした。 一般的に近代性というコインの表には基本的人権や効率性があり、裏には大量殺戮や狂気が見え隠れします。ギロチンはその象徴的なツールに見えます。 あとがきは、書かれた時代が70年代なので、フランスで死刑制度が継続していることが前提にされていました。今このあとがきを読むことの意味を思うと、大変感慨深いものがあります。
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