ここを過ぎて悦楽の都 の商品レビュー
理不尽な仕打ちに遭い、社会とのつながりを少しずつ切っていく主人公。夢の中で繰り返し現れるのは、人工的に快楽を作り幸福を実現する、科学の都エピキュロポリス。じきに主人公の人生は好転、何もかもうまく行っているはずなんだが・・・。僕は、この作者の描写、リズム、結論を信頼し切っているよう...
理不尽な仕打ちに遭い、社会とのつながりを少しずつ切っていく主人公。夢の中で繰り返し現れるのは、人工的に快楽を作り幸福を実現する、科学の都エピキュロポリス。じきに主人公の人生は好転、何もかもうまく行っているはずなんだが・・・。僕は、この作者の描写、リズム、結論を信頼し切っているようです。同じ作者の小説を十冊以上読んでいると、展開や服装の描写等に他の作品との共通点がにじみ出てきて面白い。主人公が僕なら、エピキュロポリスからは絶対に逃れられないでしょう。その幸福がいくら死とそっくりでも。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 再読。この作家さんの描写は、何故か落ち着く。温度感のようなものが、熱くも冷たくもなく、自分に近く感じる。街並みとかの描写も、いつ誰が見てもそう表現される感じではなく、「特定の感情の時に周りがそのように見えてくる」感じが自分の記憶と重なる。特に終盤、砂李と充がすれ違うところからは、今までの作品よりさらに表現が自分の体感に近づいている気がした。後半スピード感が上がり、終わりは含みをもたせた展開。子供の頃よく見た映画のようで、僕は好きだ。そのせいかこの人の本はよく、最後数十ページを突然読み返したくなる。
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現実の世界ともう一つの世界を平行に生きる主人公。現実の世界はもう一つの世界に操られており、やがて彼はそちらの世界に... ぼんやりとした現実感が、自分が住む世界の現実感すら失わせていくような感覚があった。 不思議な小説だった。
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- ネタバレ
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世界観は悪くないんですが、ストーリー展開が唐突で読者は置いてけぼりを喰らいます。回収し切れていない伏線も残ったままで、かなり消化不良な結末です。
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