リスク視点からの「実効性のある」内部監査の進め方 の商品レビュー
リスクベースでの効果的かつ効率的な内部監査の実践方法を解説。会社法や金融商品取引法では、経営者の善管注意義務の一部としてリスク管理体制の整備を求めている。すなわち、判例においては「健全な会社経営を行うためには、目的とする事業の種類、性質などに応じて生じる各種リスク、例えば、信用リ...
リスクベースでの効果的かつ効率的な内部監査の実践方法を解説。会社法や金融商品取引法では、経営者の善管注意義務の一部としてリスク管理体制の整備を求めている。すなわち、判例においては「健全な会社経営を行うためには、目的とする事業の種類、性質などに応じて生じる各種リスク、例えば、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、事務リスク、システムリスクなどの状況を正確に把握し、適切に制御すること、すなわちリスク管理が欠かせず、会社が営む事業の規模、特性などに応じたリスク管理体制(いわゆる内部統制システム)を整備することを要する」とある。しかし、相変わらず人的要因による事故や不祥事などが絶えることなく報道されており、内部監査が有効に機能していないのではないかとの指摘もある。 そこで本書では、企業等におけるリスクとは何かから、そのリスクへの対応方法を解説し、内部監査の実務に資する情報を記載している。会計監査においても、市場リスクや信用リスク、レピュテーショナルリスク(マスコミ報道、評判・風説・風評などにより評判を下げるリスク)、カントリーリスク(海外における政治・経済情勢の変化や新たな取引規制などにより損失を被るリスク)などは関連してくるであろう。本書では、リスクについて「固有リスク」と「残存リスク」とにわけて把握している点、興味深かった。またリスク対応の実効性が低下する原因には、「陳腐化」、「形骸化」、「属人化」があると解説しており、会計監査でもこの点を注意して内部統制監査の実務にあたりたいと思った。
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