天使の子 の商品レビュー

小手鞠るい(著者)

2022/02/17

実話を元に書かれたということが、読み終えてもなんだかピンとこない感じ。
｢天使の子｣というタイトルと、表紙の森のデザインからのイメージとは、個人的にかなりのずれがあった。

2022/01/12

失恋を機に渡米留学し、そこで素敵な人と出会うという実話を元にしたお話。
実話を元にていると思って読み始めたものの、最後にはもう一度実話を元にした話なのか確認したくなるような話でした。
しかし、読み進めていくうちに、カオリの気持ちがよくわかります。
最後まで真相は語られないものの、カオリと同じように疑い、疑心暗鬼になり、それでもそんな自分の方が間違っていると思いたいという心の流れまでもが汲み取れるようでした。
結局はとってもしんどいストーリーになり、それでも生きている2人やその家族を思うと、「過去の自分が今の自分に繋がっている」と、そう信じたくなる気持ちがわかりました。
2度読みするとさらに感情移入出来ると思います。
フィクションですので大どんでん返しや不可能なストーリーではないことが最後には何か…物言えぬ気持ちにさせました。
どんな形でも愛されていると言うことに、誇りを持って生きていきたいと思える作品でした

2015/11/17

留学先で恋に落ちた物語。
でも、恋に落ちた相手、ダニエルがある日突然レイプの容疑で逮捕。
それも事件から4年7ヵ月後の、時効ギリギリ。
レイプした相手は、病気で動かなくなった姉。
姉は妊娠出産していて、産んだ五才の子どもは母の妹の家に預け育てられていた。
アメリカでは出生後に父親が分からない場合、届出を出さなきゃいけない。
そのとき、DNAを採った。のに、4年7ヵ月後に逮捕。
その理由は、父親と子どものDNA一致率は98.9％、逮捕されたダニエルは99.9％。たった1％の違いで逮捕された。

しかし、そうなると真犯人は誰だ？
ダニエルはずっとはぐらかし、最後の最後に明かした。

姉は、動かなくなった。
20代後半に。
姉は夢があった。
子どもを産みたい。
ダニエルに迫ったこともあった。
でも、19歳のダニエルは、受け入れなかった。
ある日、出て行った酒癖の悪い兄が帰ってきて、姉に乱暴していた。
それを止めに入り、姉と共に姉の部屋へ弟は篭った。
そこで、子どもは作られた。

姉の子は、ダニエルの子。
でも、姉とダニエルは本当の兄妹ではない。
でも、近親相姦。

それを話し終え、主人公カオリとダニエルは、別れた。

姉とダニエルの子の名前は、エンジェル。
つまり、天使の子。

2014/09/22

初めて読んだ小手鞠さんの作品「アップルソング」が素晴らしかったから次の作品をと思って読んだのだけれど、正直がっかりだった。

実際にNYで起きた事件を元に書かれた作品と言うことらしいが、どんな理由があれこの状況を恋愛だとか、神聖なものとして扱ってしまうのはどうなの。
きれいごとすぎますよ。

他の作品を読みたい気力すらなくなってしまった。
でもそれも残念だし。
どなたか小手鞠作品でお勧めがあったら是非教えてください。

2014/05/04

いくら寝たきりの実姉の願いだったとしても子孫を
残すためでも、そんな取って付けたような理由、
受け入れられないよー。
遺伝子的にいいの？大丈夫なの？　
ダニエルはその夜のことを美化しすぎてるんじゃない？
ただの行為だけだったら、まだ見て見ぬふりできなくも
ないけれど（いや、やっぱりかなり抵抗ある）
産まれてきた子供の成長や将来のことを考えると・・・
だって犬や猫の子じゃないんだから。
当の本人たちには「素晴らしい体験だった」かも
しれないけど、産まれてきた子供に対して無責任
すぎるんじゃないか？と思ってしまったのですが、
これってちょっと言い過ぎかなぁ？

2014/04/26

読み始めはなんだかフワフワした言葉がたくさん出てきて
なんじゃこりゃって感じだったけど
ダニエルが捕まったあたりからグイグイ読めた。
実際の事件をモチーフにしてるみたいだけど
もっと掘り下げて書いた方がよかったんじゃないかなぁ。
ラストもフワっって感じ。

2017/09/20

切ない恋愛小説です。

著者のコメントを引用させて頂きました。

ニューヨーク州の片田舎で私がこの事件に遭遇したのは
今から十年ほど前のことでした。
ひとりの女性として、人の子として私は事件に興味を抱き
吸い寄せられるようにして、取材を始めました。
けれど当事者や関係者の話を聞けば聞くほど真実は
遠ざかってしまい書くことを封印したまま長い歳月が流れました。
そんなある日、ふと手に取った古い詩集を開いたとき
この小説の一行目が舞い降りてきたのです。
まるで光に包まれた天使のように。

主人公の香はニューヨーク州立大学に留学中
夏休みのバイト先でダニエルと出会い
お互い惹かれ合っていくようになるのですが
事件が二人の運命を分けてしまいます。

病に伏せっているダニエルの姉の願いを
ダニエルが叶えることで事件は起きてしまいます。

事件は衝撃的でダニエルが
「自分のした事は罪なことだったのだろうか」と
香に問うシーンがあるのですが、正解の言葉がみつからない
私が香の立場だったらどんな言葉をかけ
ダニエルとの関係をどう決断するのか想像もつきませんでした。

香は真実を知ることで傷ついても二人で傷ついた心を
貼り合わせていけば希望が生まれるのではないかと
儚げな希望を持ちますが
ダニエルの心は真実を語ることで砕け散ってしまう。

たったひとつ誰にも選べない、決められない事がある
それは人との出逢いだ、香は出逢えたことに奇跡を感じ
ダニエルを大切に思う
そんな香の一図な思いが伝わる作品でした。

人を信じ、その人を受け入れることの重さを
考えさせられます。
彼らにとって傷つき苦しんだ先に見えた希望の光は
天使の子だったのでしょう。

2014/03/04

すごく衝撃的で切ない恋愛小説。作品全体を通して共感できる部分は一つもなかった。結局、カオリもダニエルも自分のいいように解釈しすぎという風にさえ思ってしまった。作中で引用されている詩が良かったので、もっと読んでみたい。

2014/03/02

実際にあった事件をもとに書かれたとのこと
真実を知ってしまえばダニエルを責められない気がするが、かといって自分がカオリの立場だったらやっぱり受け入れられないでしょう